八代と言えば八代亜紀の故郷ですが、そこで歯科医を営む一人の女医が、講演会のため東京へ列車で向かうくだりからWayne Hendersonの「ROSA CAFE」がスリリングに耳にこだましてきます、やがては都内のホテルで絞殺死体となって発見されることになるこのインテリ令嬢の予兆をはらみながら。後に「女医の愛欲日記」という題名で映画化されることになる女性の顛末と、他にエリート女性二人の殺人事件を扱った朝倉喬司著のノンフィクション「誰が私を殺したの」を読み進んでいると、「ROSA CAFE」の響きにハートが共振するのです。
男性遍歴を重ねるエリート女性の零落を、色とりどりの無常の視線で見つめる夜の繁華街のネオンサイン。あの廃家の一室で無残にも殺された「東電OL」の昼と夜の二面相。OL嬢の手帳にぎっしりと記された行きずりのセックスの数々。セックスの後、終電に揺られてパクつくコンビニの「おでん」が物語るこの肌寒くなる東電OL嬢の虚ろな行為の一部始終を、サスペンス映画に化学変化してくれるのがこれまた「LADY IN WAITING」。
一時的に消滅したCrusadersを「Back To The Groove」で救い、このアルバムで一気に炸裂したwayne hendersonの底力が、この本に充満する虚無感を木っ端微塵にして元気なサスペンス劇場へと変幻させてくれるのでした。
ところで「誰が私を殺したの」?
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