雨中二上山
竹叢碧綠櫻花濛, 五色層林山靄中。 往事金烏臨舎館, 至今春雨懷仁風。 |
竹叢の碧綠 櫻花に 濛として, 五色の層林 山靄の中。 往事 金烏 舎館に臨み, 今に至るも 春雨 仁風を 懷しむ。 |
春雨の中、傘を差して、二上山麓に行く。 幾重もになっている山の襞からは煙のように雲が湧いており、重なる山の襞の線が、ぼかした絵の中から浮かび上がってくるかのようだ。山腹は、篁の黄緑、桜の淡い緋色、木蘭(?)の紫、なにやら白い花々…と絢爛と咲き誇り、一山が綾錦と化して、それが春雨に煙っていた。雨のため人の姿も全然見られず、その静かで華麗なさまは、正に夢幻の境でもあった。 雨に濡れるのを恐れて、カメラを携えて来なかったのが実に残念だった。 満開の桜の林が春雨に煙る姿、その折のここの山の光景、これらの条件を満たした時に再び訪れることができようか。(平成18.4.10) ******************* 後日(三週間後=平成18.5.1)に撮った写真を載せておくが、先日とは、当然ながら情景は異なったものである。 |
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自註 | |
・金烏…: | 大津皇子の故事を謂う。大津皇子の『臨終』「金烏臨西舎,鼓聲催短命。泉路無賓主,此夕離家向。」![]() |
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