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初めての大物  チェロ・メイキング 1 まずはテンプレート HOME
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ヴァイオリンづくりをするものにとって、何台かのヴァイオリンをつくり、ヴィオラをつくると、
残るのはチェロだけということになる。
そのことは、また、弦楽カルテット(四重奏)のすべてを自作することになり、
弦楽製作者として、一種のステータスともいえるものでもある。

小生にしても、ヴィオラはとっくに2台つくっているし、チェロにしても何年も前から準備をしていたし、
材料も一昨年、すでにソロバキアのSVS.ToneWood社から個人輸入して調達済みである。
(2台目のヴィオラはこちら  May '06)

◇ 図面の転写からテンプレートの作製
さて、どの図面からつくるのか?

迷いはしたものの、Harry S. Wake. 著の[a STRAD model Cello PLANS ]に決定。

敬愛している、ヘンリー・A・ストローベルの著書[ Cello Making ]も持っているのだが、それは2台目に回し、 今回は、たまたまイニシャルが一緒という、ただの偶然を重んじ、こちらにしたという、ごくごくいい加減な選択。

ともかく、どのモデルにせよ結果は大同小異、形にせよ、音色にせよ、それほど変わるものではない。

最初のヴァイオリンづくりがストラド・モデルだったこともあり、ここでもストラド型のチェロから始めることにした。
まず、本の中の図面からカーボン・ペーパーとペンとで、内型用と切り抜き型のテンプレートを正確にベニヤに転写。
なお、私がテンプレート用に使っているベニヤは、ベニヤの中でもいちばん薄い、2.4mmという規格のもので、 建築では戸襖用として使われるものである。

それゆえ、ミシン鋸で挽いても、あとからペーパーで削ったとしても、薄くて削りやすいものだけに、比較的、正確なテンプレートがつくれることになる。

これら、テンプレートは製作における『基本の基』、すべての大元になるもの。 それだけに、丁寧に、できるだけ正確でなければならない。

例えば、カーボン・ペーパーと、鉄筆としてのペンで写した場合、 線のどこを切ったらいいか。

線の真ん中にするか、外側にするか、あるいは内側にすべきか。

それも、転写した線を描いた本人の選択であり、場所により、所により、最適な、どの部分をカットしたらいいかを選ぶ必要があるのです。

例えば、この外形と内径の図面、二枚を合わせ、ガラスにあててみた場合、
その内法の線はぴったりと合うはずであるが、 案の定、若干のズレがでているのが実情。

また、内型と切り抜き型の二枚を合わせた場合、リブの厚さやエッジの出も、均等になってなければならないのだが、ここでも多少の誤差が見られた。

その狂いもこの段階で調整し、自己責任において修正しておく必要がある。
こちらは、外形用。

つまり、表板や裏板の、切り抜き用のテンプレートとして使うもの。

切り抜き用であれば、小さめでは融通が利かないので、分かりにくいような場所では鉛筆の線一本分ほど、やや大きめの方が間違いはないといえる。

とはいっても、引いた線より、余裕をもった外側を切るようにする。

ネック用から、裏板用・表板用のアーチング・ゲージまで切り抜き、
これで、テンプレートとしての準備は万端。

なお、アーチング・ゲージにいてはヴァイオリンと同様、一本のものに 片方が表板用、その反対側に裏板用と、ダブルで使えるようにした。

写真では、ただいま出ている方の、上のラインが裏板用のアーチであり、
向かって左側が上、左側がエンド側になる。

下のラインがトップ(表板)用で、やはり、向かって左側が上。
左がエンド側の下になる。

小さいものの3つは、アッパー・バウツ、インナー・バウツ、
ローア・バウツの、それぞれの横方向のアーチング・ゲージになる。
ミシン鋸は、刃巾が狭い分、カーブの対応はいいのですが、
ややフニャフニャしていますから、その意味では不安定です。
◇ 路線変更
とまぁ、ここまでテンプレートができたところで、方向転換。

鳩山政権の辞任劇の影響ではありませんがね・・・、路線変更は、単なるわたしの気まぐれ。

自分用のものなら、小生の身体からすると、3/4か7/8もいいのではと
思ったりもしたが、やはりここは4/4のフルサイズにした。

そして、結局、ヘンリー・A・ストローベル氏のチェロ・メイキングの図面にしました。

ということで、あらためてテンプレートからのつくり直し。やれやれ・・・!!

本の中間にはめ込まれた図面を、ステップルを外してとり、コンビニに行ってコピー。

その真ん中を接ぎ合わせて、大きな原寸図にします。
このヘンリー氏のチェロもストラドを進化させたバージョンのようだが、Harryさんのテンプレートと合わせてみると、やはり若干の差はある。

ヴァイオリンの型もそうだが、多少の違いは大同小異、性能には差ほど影響はないし、だからといってハリー氏やヘンリー氏のチェロが悪いということは断じてないとわたしは信じている。
上はアーチング・ゲージ。

ネックに関しては、ご覧のように、根元と中間、ヒール側の3カ所、
ネックの太さをチェックするための、半アールのテンプレートも
用意されていたので、それも切り抜きました。

表板・裏板の中央を接ぎ合わせるための、チェロ用の締め具も製作。


板目のカエデ材から、左右から締め付けるための板と、フリーのボルトとの組み合わせです。

ボルトは、太さ3/8(インチ)の、長さ1800mmの全ネジから必要な長さにカット。

ボルトの片側は蝶ナット、反対側は袋ナットでストップにします。

なお、ボルトは上1点、下2点の三点で締め付けています。
締め付けてみて、具合良さそうなのでそのまま裏板はジョイント。

接ぎ目のカンナがけは、十分、時間をかけて削ったのでピッタリ!
外形は、一部はジグソーで、大半のところを小型のベルトソーで切り抜く。
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