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指板などの部品制作 |
◇指 板 | 黒檀(エボニー)またはそれに類するもの |
◇ ナット、およびサドル | 上に同じ |
◇4分割スケール | 部品ではありませんが、ナットやブリッジの、弦の溝を正しく4分割するゲージの説明 |
黒檀の床柱から・・・ |
写真上から、原木を1.5〜2cm程度の厚さに、大きな帯ノコでひいてもらったもの。
黒っぽく見えるのは、床柱としての表面加工で濃い色のウレタン・ニスが塗ってあるからです。 こうしてカットしてみると、黒檀として売られていてもこれはきっと東アジア産でしょう、縞黒檀でした。 その1.5cm厚のものから、長台形の、指板の形に切り出します。 長辺・上部の角をカンナで落としながら、半径62mmの半円形になるように目指して削っていきます。 ほぼ、外形ができたもの。裏側も、半円に彫り込んで完成です。 |
4/4サイズに使われる普通の指板サイズは下の図のようになっています。 右の写真はその現物、全長270mm、幅(末・42mm)・(元24.5mm)。 部品として市販されているのものは、幅でやや1mmほどは大きめでも、 実際に使うときには、それぞれの楽器に合わせて少し削って使う。 今回のものも、どんな楽器にも調整して使えるようにほぼ標準サイズ。 |
市販品の、比較的に安い方のもの〜真っ黒ではな, やや焦げちゃ色。 |
縞黒檀も、このまま使うとローズウッドのフィッテングに合う。 |
ナット側は24.5mmとしてありますが、ネックに貼り付ける際に、 最終的には23.5mmほどに仕上げる。 |
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小道具のつくり屋の私は、下の写真のようなの指板削り台もつくって愛用。3寸角の端材を使い、指板の形に彫り込んでから、
さらに、赤いネルの布を貼り、指板の表面には少しのキズもつかないようにしてある。 右側の白く写っている小さなものは、白いプラスチック板でつくった 指板アーチ(半径42mm)の定規。 その下の、木の取っ手がついているスクレーパーは、裏のアーチ(凹面)を削るためにつくった専用のスクレーパー。 台の上の方に置いてある黒いスクレーパーは、 表面(凸面)を削るための専用スクレーパー。 よくご覧いただくと分かると思いますが、その上側は、およそ半径35mmほどのアーチ、左側はそれよりややなめらかな曲線に。 つまり、上部はナット側専用で、左はその他と場所と、 これひとつで、二面が使えるように工夫してあります。 カンナの、いちばん小さなものは、DIYで市販されている内丸カンナ(凸・曲線専用)で、 これが意外に指板の曲線ぴったりなんですねェー! |
これに、しっかりはめ込んで削りますと、滑らない、危なくない、楽にできる・・と、
こんなものでも、一石三鳥のすぐれもの。さらに、この木の台を90度、右にコロンの転がすと、普通の大工さんが使うような、
カンナ削り専用の「小型削り台」に早変わりするという、多目的ツールなんです。 よーく見ると、台(角材の柱)の左下・側面に、白っぽくポツンと出っ張りがありますね。 それが、程良い高さ、細さの木を「当たり」として埋め込んであり、削るものがコツンとあたる、ストッパーになっているわけ。 ヴァイオリンに使うスプルースや、マツ、ヒノキ、スギのような針葉樹とは違い、黒檀やカシ、ナラ、カエデでのような広葉樹は堅く、 髄線の素直ではない木が多いです。そんな、堅木をカンナがけする場合は、刃はよほど薄く出すようにして、よく研いでおくこと。 それに、逆目にならないように裏刃の調整もしっかりしておきます。 そうしないと、堅くて粘性がない分、角の方で刃が食い込んで、ポロリと欠けたり・・なんてことがおきてしまいますからね。 |
3寸角の端材でつくった指板専用の削り台。
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左から、板状の外形に合わせてカットしたもの、次は、表側だけ曲線に荒削りしたもの。さらに、カンナ、スクレーパーで表面をならしたもの。 右のものは、撮影が悪くてよく分かりませんが、裏側の凹んだアーチも彫ってあり、ほぼ完成品。 なお、黒くしたい場合は、墨汁+酢酸(定着剤として少量加えている)で、好みの黒さに染めることができるし、 薄いニスを布きれでこするように塗るだけで、かなり濃い仕上げになります。お試し下さい。 |
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指板の端材で、図の大きさにあらかじめカットしておき、丸ノミか彫刻刀、スクレーパーで仕上げる。 厚さは響板にぴったり合うようにし、後ろ側の曲線はボディのアールに合わせる。 |
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ナットも、指板と同じ材質の木からとり、低弦側では指板より1.5mm、E線側で1mmほどの高さに調整。低弦側は、弦も太く、張りも弱いので、こちらを低くすると、指板に弦がふれ、ビリつき(異音)の原因になる。 反対に、弦の張力が強いE線側をあまり高くしすぎると、1〜2ポジを押さえたとき、結果として、弦を余分な力で押すようになり、位置の割に少し高い音になってしまう。 量産品なんかだと、幅が一定のものを多く見かけますが、筆者は、中央部の後ろ(ペグボックス側)に、ややゆるやかなアーチをつけている。 |
弦の溝はネックに貼り付けてから・・・ブリッジ同様、私は小型・精密ヤスリの三角や半アールの先端部でで、軽くこすって削っている。 |
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Quarter Division まず、水平線を描き、任意の点からコンパスで大きな円弧を描く。 その円弧の中心線から、例えば1cmずつ、小さなコンパスで上下に1、2、3、と3つ点(間隔では三分割だから)を円弧に印します。 その各点から、左端に設定しておいた任意の中心点を結ぶと、図のような、正しい4分割の線が得られる。 この図の場合だと、円弧のところ(右端)では、上下の幅は8cmということになる。 求める幅のところに線を入れ、例えば、A点は4/4サイズのヴァイオリンだと、ナットの弦幅17mm、Bはブリッジの弦幅33mm、 というようにその補助線を入れておくだけで、いつでも、任意の幅が分割できることになる。ただし、この数値はあくまで標準的なもの。 |
ブリッジの弦の溝を彫ったり、ナットの溝を正しく1/4ずつの間隔にするのは、意外と難しいもの。 それでつくったのが、数学の幾何を応用して、まず、左の図形を描き、それを元にして透明のプラスチック板でつくったクウォーター・ゲージ(1/4)ゲージ。 紺色の実線くらいにの長さに、プラ板に0.5mm(尖らせた鉛筆が入る巾)程の溝を切っておけば、分数系からヴィオラ程度まで、このケージ1枚で用が足りてしまう。 「必要は発明の母」といいますが、このように、あるものだけでつくったものでも、たいへん便利なものです。 そのことをふまえ、右端にあるような黒檀の端材を、まず適当な外形寸法にカット
(中央の細いもの)し、彫刻刀やスクレーパー、サンド・ペーパーなどを使って、図面通りの大きさ・形になるように、成形していく。 |
そして、これができあがった指板とナット、サドルです。 ナットやサドルは、実際に使う際、実物に合わせてさらに修正したり、調整して使います。弦の溝も、そのときに付けます。
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圧縮した写真では、よく分からないかも知れませんが、上の図で説明した、G線側とE線側の高さの違いにご注目下さい。 左が、今回、筆者がつくったもの、中央と右は、某・大手メーカーの量産品から外したもの。 右のものは、ナットにやや高低がついているが、中央のものはほとんどフラットな仕上げになっている。 |
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量産品の、品番からすると最低価格のものだと思うのだが、
外したものの中には、黒檀ではなく、フレーム(斑模様)のないカエデか何かの堅木でつくり、表面を黒く塗ってあるものもよく見かける。 ここでご覧いただきたいのは、いずれも、この量産品のものは、ナットがただの棒きれのような形状。 意図したものかどうかは分からないけど、この2本とも、やや低弦側が厚くなっている。 左側、トップ部に少しアーチをつけるのが、筆者の好む形です。 |
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