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バラバラのチェロ修復 PartU-4 Feb.2007 HOME
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◇ 気になるところ、悪いところを修整


前述した通り、中央には新しくパッチを貼り直します。
この写真ではあまりよく写っていませんが、やはり下地がとても悪い!

左のものを拡大した写真。
ジョイント部の、手前側はややなだらかですが、向こう側がいけません。
さて、ここでニカワの接着について、ちょっと説明します。

糊や接着剤は、使う前の状態と乾燥後の体積の違いで、その特性は大きく異なります。乾燥後にどれくらいの体積が残るか、それが「固形物」という言葉でいい表されています。
和紙のような、極端に薄いものは、当然、固形物の少ないものがよく、コンクリートの上に直接貼るタイルやリノリュームなどの床材としては、コンクリそのものの砂粒の凹凸がありますから、固形物の多い接着剤がベターということになります。

そうした凹面をカバーするために、床用の接着剤には、わざわざ別の、固形物としての体積を増やすための材料(炭酸カルシウムや石灰のようにもの)を加え、乾いたら、凹みが極力が埋まるような配慮がされています。

このように、ある程度の補填を目的とした接着剤のことをエマルジョン・タイプといいます。
その意味でも、ニカワは固形物が少なく、凹みの部分もある程度は埋まりますが、一度、貼ったものを剥がしてみたりすると、 やはり、しっかりと平らにして貼ることは「基本中の基」と、私は心得てやっています。
ニカワの接着

点か、面か? それが問題なんです。
 

表板・エンドピンの脇にも、少しのだけの欠落がありましたが、半分はブロックの中にかくれてしまうでしょう。
汚れ具合から、これは最初からあったものと思われます。

この程度の補填は、内側をペーパー掛けした、その粉末をとって置きコーンスターチ系の糊でよくかき混ぜ、ウッド・パテをつくります。
それをヘラで塗りつけているところです。コクソの項を参照)

エフ字孔の真横にも、ほんの少し割れがありました。

割れ目には、よくニカワをすり込み、裏からはパッチで補強。

コーナーの突端にも欠落があり、これは、スプルスの端材から
欠けていない反対側から型をとり、裏返せばこちら側に使えます。
なお、欠けた部分だけでは小さすぎるし、形も不安定ですから、
都合がいい大きさに広げて本体をカットします。
このカットにも意味があり、先だけの補填では接着面積が少なく、弱いわけです。それで、下の写真のようにL字型にすると、なんと、約3倍の接着面積になります。

小さい切片ですから、よりしっかり貼り付けるために、竹クギ2本をダボ・ピンにして合わせて接着。また、カットしたものに仕上げのペーパーがけをしたら・・・、なッ、なんと、わずかに小さすぎてしまい失敗。

こんなもので、つくり直とはヤレヤレ〜!
これも、余談ですが、その後、チェロ製作にかかったのですが、表板一枚がNG。同じ失敗でもこれと比べたら、スケールが違います。

そして接着、ほんの少しだけ大きめに削ってありますから、今度は、乾いてからしっかりと形に合わせ、成形します。

パフリングもおおき目に彫り、パフ材とともに、共支えするようにしました。赤茶とこげ茶の着色剤で、ほぼ近い色に塗ってあります。

こんな大きさでも、ベンディングアイロンでしっかりカーブをつけ、

そして、ニカワで接着。この程度の接着ですから、
ライニングの接着に使っている洗濯バサミで、クランプしています。
これで、表板の修復は、バスバーを残すだけになりました。
ザラザラだった削り面も、ご覧の通りのもち肌?に・・・。

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