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バラバラのチェロ修復 PartU-4 | Feb.2007 |
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前述した通り、中央には新しくパッチを貼り直します。 この写真ではあまりよく写っていませんが、やはり下地がとても悪い! |
左のものを拡大した写真。 ジョイント部の、手前側はややなだらかですが、向こう側がいけません。 |
さて、ここでニカワの接着について、ちょっと説明します。 糊や接着剤は、使う前の状態と乾燥後の体積の違いで、その特性は大きく異なります。乾燥後にどれくらいの体積が残るか、それが「固形物」という言葉でいい表されています。 和紙のような、極端に薄いものは、当然、固形物の少ないものがよく、コンクリートの上に直接貼るタイルやリノリュームなどの床材としては、コンクリそのものの砂粒の凹凸がありますから、固形物の多い接着剤がベターということになります。 そうした凹面をカバーするために、床用の接着剤には、わざわざ別の、固形物としての体積を増やすための材料(炭酸カルシウムや石灰のようにもの)を加え、乾いたら、凹みが極力が埋まるような配慮がされています。 このように、ある程度の補填を目的とした接着剤のことをエマルジョン・タイプといいます。 その意味でも、ニカワは固形物が少なく、凹みの部分もある程度は埋まりますが、一度、貼ったものを剥がしてみたりすると、 やはり、しっかりと平らにして貼ることは「基本中の基」と、私は心得てやっています。 |
ニカワの接着 点か、面か? それが問題なんです。 |
表板・エンドピンの脇にも、少しのだけの欠落がありましたが、半分はブロックの中にかくれてしまうでしょう。 汚れ具合から、これは最初からあったものと思われます。 |
この程度の補填は、内側をペーパー掛けした、その粉末をとって置きコーンスターチ系の糊でよくかき混ぜ、ウッド・パテをつくります。 それをヘラで塗りつけているところです。(コクソの項を参照) |
エフ字孔の真横にも、ほんの少し割れがありました。 |
割れ目には、よくニカワをすり込み、裏からはパッチで補強。 |
コーナーの突端にも欠落があり、これは、スプルスの端材から 欠けていない反対側から型をとり、裏返せばこちら側に使えます。 なお、欠けた部分だけでは小さすぎるし、形も不安定ですから、 都合がいい大きさに広げて本体をカットします。 このカットにも意味があり、先だけの補填では接着面積が少なく、弱いわけです。それで、下の写真のようにL字型にすると、なんと、約3倍の接着面積になります。 |
小さい切片ですから、よりしっかり貼り付けるために、竹クギ2本をダボ・ピンにして合わせて接着。また、カットしたものに仕上げのペーパーがけをしたら・・・、なッ、なんと、わずかに小さすぎてしまい失敗。 こんなもので、つくり直とはヤレヤレ〜! これも、余談ですが、その後、チェロ製作にかかったのですが、表板一枚がNG。同じ失敗でもこれと比べたら、スケールが違います。 |
そして接着、ほんの少しだけ大きめに削ってありますから、今度は、乾いてからしっかりと形に合わせ、成形します。 |
パフリングもおおき目に彫り、パフ材とともに、共支えするようにしました。赤茶とこげ茶の着色剤で、ほぼ近い色に塗ってあります。 |
こんな大きさでも、ベンディングアイロンでしっかりカーブをつけ、 |
そして、ニカワで接着。この程度の接着ですから、 ライニングの接着に使っている洗濯バサミで、クランプしています。 |
これで、表板の修復は、バスバーを残すだけになりました。 ザラザラだった削り面も、ご覧の通りのもち肌?に・・・。 |