兼題 初め一切 去年今年 蜜柑 席題 七福神詣り |
利孟 七福に詣で蕎麦屋の昼の酒 練炭の底に残り火去年今年 BCCにてをざなりの初メール 買物の道のその先恵方道 みかん買ふ箱のサイズと糖度にて 比呂志 はとバスで廻る七福詣かな 得意先リストをひろげ事務始め シンバルの遂のひと打ち去年今年 二三房一気に頬張る蜜柑かな 温もりの胃の腑に落ちて七草粥 義春 事始め洗ひ晒しの作業服 神様の顔を確認福まいり 瀬戸内の青き島並み蜜柑山 ITの本社玄関松飾り 日めくりの同じ店の名去年今年 |
恵一 七福神詣土産を探しつつ パソコンのスイッチを押す初仕事 去年今年待受画面馬に変へ 冬鴎漁師の長押魚捉え 小料理屋上がりのお茶に蜜柑添ふ 武甲 福詣り残り一つとなり朱印 富士山を望む鉄橋寒入日 ことさらに声の弾みて競り初め 去年今年妻のデニムの割烹着 蜜柑箱底より開ける品定め あやの 包丁の切れ味良くて去年今年 あぶりだし教室中にみかんの香 読初の随筆で知る馬芝居 道草に日の傾きて福詣 客捌けし馬喰横山日脚伸ぶ |
雨竜 輪切りみかんに番いの鳥の寄り来たる 年明けの生みたて卵割りにけり 去年今年振り子時計の刻む音 玄関を跳び出して行く初出勤 |