第３０７回四天句会
平成２７年３月２３日

　 　
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兼題　野焼き　春暁　草青む 席題　卒業

利孟 春暁の空港バスに客二人 頂上へ猛る炎の輪を縮め野火 生涯に一度の袴卒業す 花冷えや闇に光の観覧車 バリスタのカップに描く絵霾曇り 　 武甲 火襖を立て進撃の野焼かな 湧水の絶え間なき音草青む 菜の花の絵葉書で知る転居かな 春暁や新線に沸く北陸路 跡残し走り去る猫春の泥 　 比呂志 神々を天に上らせ野焼の火 一筋の光座敷に春の朝 石庭の小石押し退け草青む 観梅や香に包まれて嗅ぐ一輪

義春 春暁の湖に漁火消えて波 山焼く火舞ひては天へ登りけり 春の日の園児が遊ぶ城の跡 卒園のセピアの写真我のゐて 草青むカラス戯るラフの上 　 恵一 春暁やかすかにパンを焼く匂ひ 草青む間宮林蔵なほ北へ オアシスに天山よりの春の水 菷もて野焼きの男服払ふ 硝子窓拭けば庭木に小鳥来る 　 あやの 裏路地に幼子ひとり草青む 卒業の頬ひきしまり隣の子 サラマンダーの炎のぶつかりて野焼果つ 春暁の夢の断片案じけり 春光や文庫ワゴンに古本屋

雨竜 起立する床の軋みや卒業す 頬被りの友の老いたる野焼きかな 草青む石橋山の古戦場 車窓から多摩川走る春の朝 春暁の仕事疲れの目赤し