第75回の2 平成14年10月6〜8日
すぎなみき・やしお長崎吟行 案内者:森 利孟

平和祈念像前にて
雨の夕方ということで、カメラ頼みの露出、ピンぼけはやむをえません


長崎吟行・眼鏡橋にて by利孟


長崎の夜は袋回し一覧
長崎某所にてくんち料理を並べてもらい、あとは袋回し
俳句馬鹿は13人、残りはその付き添いなどですから、
一回りすれば13句ものにするはず・・・ながら・・・
どうも、できの悪い?あるいは酒の回った?会員が続出
どこかで渋滞が起きていたようです

以下森利孟撰による、入選句、作者は一部推測を含むので
誤りがあれば、早急に連絡を願います(利孟)




会田比呂
秋の日や金のはじける金の千木
鰯雲龍の舞ひ込む石舞台
釜の湯の滾りて虫の声に和す
くんち舟浦島太郎乗るつもり
肌理荒き備前の徳利月見酒
オラショ唱ふ聖人の口秋時雨
如己堂の裸電球破れ芭蕉
秋長雨墓碑にクルスとみゆる筋
夕映えの波おだやかや鳥渡る

石塚信子
秋雨や鐘音湿る天主堂
ポケットにならす小錢や秋の旅
小屋裏に海女の衣干す秋の浦
旅はじめ秋雨にある肌の冷え
糠雨に昏れてゆく街破れ芭蕉
風音の日がな生まるる竹の寺
(無季ですが、温めてください)

泉・会田・へんみ姉
泉敬子
金色の秋雨にけむる天主堂
竹の春はらりと雨の天主堂
秋天に翼を拡げ天主堂
秋長崎やらずの雨の待ちにけり
掌に受けて林檎のうさぎいただきぬ
長崎の秋雨に映える天主堂

大塚登美子
錦秋や旅の衣をほめられて
横顔の子規のレリーフ鰯雲
赤飯を釜一杯にくんち晴
秋の燈や肌に甘き香戻りけり
秋うらら長崎トルコライスてふ
車掌居ぬ路面電車や秋桜

石塚・大貫・川島・大塚
大貫ミヨ
坂道にこぼるる梯沽天主堂
ジェット機の雲けり抜けて秋の空
豆を煮る釜の吹き上ぐ年の暮
紺絣の綴れ野良着の案山子かな
竹の春甘味処に緋毛氈
赤々と天へ合掌彼岸花

柏崎芳子
龍踊のうねり堂々秋祭り
金色の腕を拡げて聖母像
やは肌の乙女の像や秋桜
十六夜や殉教の地の赤き門
破蓮風のにたなびくこともなく
秋の宵天使の翼揺らす鐘
秋の雨路面電車を追ふネオン

堀江・三沢・栃木・柏崎

川島清子
金の目の龍にまづ会ふくんちかな
秋暑し海女の衣干され磯の浦
秋雨が肌に沁み入る坂の町
殉教の聖人像や暮早し
秋雨に昏るる聖堂坂の町
如己堂や雨にけぶりて破芭蕉
竹籠に土産の小物秋灯し
秋天を割りし銀翼音猛し

栃木昭雄
鰯雲明日もどうやら晴れるらし
浦上の御堂の聖歌秋灯し
秋雨や聖人像の瞳の潤み
夾竹桃聖人像に雨分けて
ジェット機の翼せり出す秋の空
秋天に翼をひろげ童子像
秋霖の御掌にしとど平和像
ステンドグラス映えて御堂の秋深し

謎の美女・福田・福田妻
福田一構
秋の夜の句会堂々巡りかな
ディオールの旅着をまとひ秋の航
釜揚げの湯気にくもりし桜海老
大楠の幹に秋雨坂の街
幼子の竹刀ひた振る良夜かな
鵙高音して広げたる翼かな
来賓の長き挨拶烏瓜

へんみともこ
汝が身打つ行者の版画秋灯
栗飯や塗りのお椀に金の縁
秋の雲手をさしのべしザビエル像
零余子飯ふくふく釜の重き蓋
山肌にひしめく家や秋灯
せせらぎに映して桜紅葉かな

へんみ・へんみ夫
堀江良人
天主堂訪ふ人途絶え秋の暮
金色の稔田翼下に続きけり
秋の日の差し雲海の凪にけり
秋雨の浦に白波分けて船
聖人の磔く壁や秋の雨
両翼の下に遠のく稔りの田
長崎や雨に色褪め萩の花

三澤郁子
秋燕や国宝大浦天主堂
巻雲の高さを飛んで日航機
十月の雨の匂ひや時津浦
西坂は聖なる径よ萩の花
破れ傘黄葉し初めて杣の径
長崎に百円電車秋の雨
秋雨を掌に受け平和祈念像
秋水に映りし雲の茜して

森・堀江

森利孟
食堂のビニールクロス焼秋刀魚
金文字の墓や木犀降りしきる
釜飯の陶の器や蕎麦の花
竜宮の浦島太郎の秋思かな
秋天を崩し発破の煙かな
おくんちの龍の小さき翼かな
到着地雨てふ機長雁渡る


詠み人知らず(?大貫・堀江・三澤
添ひ寝する子の肌にある夜寒かな