第123回 平成19年月01月14日
☆ 鳥影を目で追ふ猫の日向ぼこ
△ 出初式鳶は火の見の手をかざす
寒釣りの岸に水面に音の無し
初雀の鳴き声こもる垣の中
・ 寒釣りは筑波をのぞむ日向渕
永子
・ 初雀寝惚け眼を起こし来る
・ 絡みたる糸の解けず寒の釣り
△ 海苔粗朶を縫うて水尾引く定期船
☆ 脱衣籠食み出す程に着ぶくれて
ドア開く度に寒風乗りて来し
昭雄
・ いつも来る雀なれども初雀
☆ 初雀翔ちて深空を展げけり
・ 初鐘や折れんばかりに身を反し
・ 寒釣師紫煙くゆらすばかりかな
・ 寒釣りの汐待つ脚立並びけり
△ 富士山窓に納まる宿の雑煮かな
・ 七草の粥の色よく古代米
寒釣りの誘ひに父と釣具屋へ
・ 寒釣やひねもす筑波濃く聳え
☆ 聞き取れぬ早口ばかり初雀
比呂
・ 閊へたるままの抽斗松七日
輪飾りをかけて迎える厠神
対峙せる海に肌脱ぐ初日かな
・ と見かう見しては鳴き交ひ初雀
・ 寒釣りの山見て測る舟の位置
敬子
水仙の一輪ひらく六地蔵
・ 床飾る始祖の薙刀淑気満つ
・ 寒鯉釣り無念夢想に浮子見つめ
・ 川岸に降り身繕ひ初雀
△ マジックの種を落として初笑ひ
近づけば翔つ畦道の初雀
・ 七草のいつしか雨に神詣で
・ 七草や雨路来て入る喫茶店
△ 筆太の亥の一文字賀状かな
△ 寒釣りの山晴れ渡る日和かな
幸子
神の水に翅を繕ひ初雀
・ 初雀榊の枝を揺らし来る
・ 高きもの高き音立て霜柱
魚二匹上げたる後の糸凍みる
・ 雲間より後光のごとき初日かな
美代子
・ 寒参り舌に覚えの団子食ふ
・ 三方に裏白のはや捲くれだす
・ 手すさびの干支の炙り絵みかん汁
△ 大香炉の煙にむせび厄払ふ
田を掠め声張り継ぐや初雀
・ 日輪に飛び翅つ対の初雀
・ 掛け合ふも福のひとつや達磨市
・ 正座して墨の匂ひの吉書かな
寒釣の人の背丸く黒き影
ふるさとの山並み照らす初茜
清子
△ 落日は雲間に熟れて冬ぬくし
マラッカ海峡にて
海賊の潜む海峡年暮るる
津波禍の浜に倒木枯れ止まず
寒釣りの果て湯宿へと急ぎけり
鳴き頻り狭庭に弾み初雀
清二
・ 障子開け放てば発ちて初雀
初詣帰りに大声肩ぐるま
・ 天日受け窓辺を飾る柿暖簾
タコ焼の匂ふ参道ダルマ市
迷ひ人に道を教へて春明ける
好天の鬼怒の流れや寒の釣り
初雀庭の木枝に膨れをり
・ 枯れ庭に赤を散らして冬椿
初雀今年も我を起こしけり
・ 寒釣りの動くともなき魚の影
ともこ
・ 陽の当たる屋根から屋根へ初雀
熟睡の闇打ち破る冬の雷
樽なりの形にあがり沢庵漬
がらんどうの野外ステージ冬桜
・ 踏み台の夫に手渡し年用意
聖子
キャンパスの静もるベンチ初雀
・ 玻璃越の動き音なく初雀
・ ローブデコルテの裾引いて舞ふ初芝居
・ 寒釣りや遠大杉のゆるく揺れ
・ 書初や部屋に墨の香ほの匂ふ
餅花の枝垂れ仲見世混みあへる
初雀磴ゆるやかに国技館
恩賜庭園内へ街騒鴨の陣
煙草揉み消し寒釣りの座を定む
雪踏めばほてりの癒る野天の湯