第146回 平成20年12月21日
・ 腸の苦味の詰まる秋刀魚買ふ
・ チェロを抱く女足早々クリスマス
★ 空つ風に研がれとがれて奥白根山
◎ 蓮根掘り空を掴みて畔上がる
ミヨ
★ 雲を得し龍の吐息か乾つ風
・ 柊の小花ふりつぐ裏鬼門
・ 幾許の灯はかなき影の聖樹かな
比呂
・ 白息が餌に寄り来る牛舎かな
・ 毛の国の語尾を吹きあげ空つ風
・ 高音なる寒禽高き枝選ぶ
◎ 名なきまま外す仮橋寒夕焼
・ 聖誕祭貧乏神も神のうち
永子
◎ 峡の宿水柱注意の木札下げ
・ 聖樹の灯見ゆる窓辺の予約席
・ 室咲きのつぼみ次々出荷早や
・ 揺り椅子の父の微睡み白障子
敬子
◎ 牧牛の鼻面を打ち空つ風
・ 冠雪し草津白松山は近よりぬ
・ 聖夜劇イエスは五歳男児にて
・ 閉店の貼り紙破る空つ風
◎ 薪ストーブに珈琲の香の丸ろむ
一構
・ 靄に浮くモンサンミッシェル冬ざるる
◎ マヌカンピの赤き衿立て夜半の冬
良人
◎ 空風の風の末なる筑波嶺
登美子
・ クリスマス父に最初の贈り物
・ 神主の赤きネクタイクリスマス
・ 赤い箱どの子も手にし降誕祭
ともこ
・ 封緘の星のシールやクリスマス
・ 空つ風那須野ケ原を舐めつづけ
・ 筆先に吸い付く砂子賀状書く
幸子
・ 容赦なく窓打つ北風に声紛る
・ バスを待つ右も左も懐手
喜市
・ 夕闇に青き電飾ツリーかな
・ 冬鳥の声に重なり梢泣く
・ 切り分けし一つは供へ聖夜菓子
憲
・ 空つ風どこ吹く風と童かな
利孟
つかの間は正気の会話からつ風
唾をした指で押さえて炭の爆ぜ
みちのくの雪と曇りに尽く予報
シヤンパンの泡の金色聖夜餐
鉄塔の時に寄り道枯野果つ
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