第194回 平成25年2月24日
兼題 立春 雪祭


  利孟
 比良八荒水音細き水時計
 飯炊きの湯気良く香り春立つ日
 肌脱ぎとなりてうつ伏し二日灸
 太刀と笏冠の纓を差し男雛
 雪像を刻みて影の青深む



 瀧凍てゝ水にねむりの刻もどる 重次


  ミヨ
☆万燈のまたたき谷戸の雪祭り
◎手遊びの紙縒百本春立てり
◎春寒や紅茶にそそぐ火酒ほのと
○春寒や杉粉の水車灯ともして
 春めくや毛鉤細工のイヤリング

  信子
◎春立つ日手に綾取りの橋かけて
◎立春の空真二つに飛行雲
○集落に灯る百灯雪まつり
○集落の皆が出揃ひ雪祭り
○立春や月を真上に大伽藍
  昭雄
◎立春大吉神籤を結ぶ笹揺れる
○節くれの手合はせ祈り冬帽子
○立春の納屋黒板と農事暦
○初雪やおばしま朱き雲巌寺
○牛小屋に鎖の音や余寒なほ

  良人
○赤々と残る夕日や春立てり
○野の風の白雲に添ひ春立てり
○鬼怒川の淀み青ぐみ春立てり
○山峡の村の灯の増す雪まつり
 日溜りの小畔の息吹き春立てり

  比呂
○神木の虚の仏や玉椿
○年の豆一粒嬰の枕上
○夜を灯し像の浮き立つ雪祭
 春立つや遊戯坐菩薩の半眼に
 冬薔薇風に盗らるる花の色

  登美子
○人波の進みまだるき雪祭
○雪祭音無く燃ゆる火を祀り
○立春の光の中へ足踏みす
 早春や鉢植ゑ講習誘ひ合ふ
 雪祭眠る大地は神宿る

  鴻
○雪祭り子供の広場に子の群れて
○日もすがら水道栓の凍てつける
 ハイカーに写真撮られて座禅草
 細やかに被災地の凍て返る
 春立つや入試合格受験生

  聖子
雪祭りキヤンドル巡り立てた城
○かあちやんの電話よ春の待たるなり
 立春や図書館新装コンサート
 春一番朝も息子と口喧嘩
 

  敬子
○春浅し木魚の音天蓋に
 黄梅や金の鈴の音青空に
 露天湯に里の歌声雪祭り
 春立つや夕辺に和むアベマリア
 遠蛙三世帯占む蕎麦処

  健
○白々と雲間に月の雪まつり
 雪像に辞任の首相雪祭
 雪灯里光の蛍舞ふまつり
 窯倉やラーメンライスを出前して
 立春や花のごと咲け志

  大越
 赤ら顔中にまぢりて雪祭り
 桃の花「ミスタードーナツ買って来て」
 目覚ましのかはりのラジオ春立てり
 早春の白木衣装のああ富士よ
春の風品格のある白き富士