第222回 平成27年7月20日
兼題 海の日 祭
買物券配られ園の夏まつり
祭列の馬上の禰宜の緋の衣
場所入りの己が名散らし藍浴衣
遭難の霊に黙祷開山祭
海の日の凪にしほたれ旭日旗
昭夫
☆海の日や波の底より平家琵琶
△吹き終へてぬぐふ歌口祭笛
石畳蹴つて華やぐ祭り足袋
海の日や水平線の沖に夢
海の日や沖航く船も祓われて
比呂
△鳴らせぬ子まぢりて復習ふ祭笛
△反転の金魚の眇餓鬼忌かな
・海の日や貝殻で聞く海の音
・山百合の香に咽せ朝き眠りかな
遠雷や午後休業の火薬店
△郭公や影おぼろげな磨崖仏
海の日や机上の旅の時刻表
子供山車たくし上げたるパッチかな
青那須の疎水こぼさじ大水車
山百合の崩えがちに咲く茶臼山かな
良人
・海の日や山の宿なる海の幸
・男衆に混ぢり女の祭足袋
・無言の舞胡弓際立つ風の盆
銭湯を神輿の担ぎ手席捲す
街中の広場の祭りはやはてし
輝子
・声混ぢり合ひて御輿の担がるる
・海の日の日差し頂きバーベキュー
・路地抜けて吹く風に乗り祭笛
祭り果て路上に残る屋台屑
とりどりの浴衣華やぐ出店かな
・手古舞にひかれもみゆく荒神輿
・銭包み神輿へ供え大女将
・長老とまつられ疼く祭胼胝
祝水みな濡れそぼち神輿担く
細流や名越帰りのブルームーン
木瓜
・海の日の青空顔に海の風
・川底に住まひて美味の洗ひ鯉
祭笛立つる太鼓の狭間縫ひ
海の日やさやぐ白波人の波
恐ろしや驚異の無音盆踊り
信子
・また一歩夫の回復夏の雲
御旅所の灯り上町下町に
夏至晴れの午前俄かに雨の午後
海の日の海無し県の山と川
梅雨寒の正座に曲げる膝二つ
海の日や艦もろともに逝きし兄
老鶯や四つ揃ひの竹の椅子
生きることの新書ひもとく梅雨晴間
夏まつり戦後七十年の笛
凌霄花杖に縋りてうねる路
健
海の日や大海原に吸ひ込まれ
鉦の音の鎮守の杜に夏祭り
囃子立て熱気あふるる練り歩き
燦燦と砂浜照らし素肌焼く
若衆や大通り練る神輿振り