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Сотовый

David R. Ellis

2004 USA/D 94 Min. 劇映画

出演者

Kim Basinger
(Jessica Martin - 生物の先生)

Richard Burgi
(Craig Martin - ジェシカの夫)

Adam Taylor Gordon
(Ricky Martin - ジェシカとクレイグの息子)

Chris Evans
(Ryan - 能天気の青年)

William H. Macy
(Bob Mooney - ちょうど引退する警官)

Caroline Aaron
(Marilyn Mooney - ボブと一緒にウェルネス・ビジネスを始めるはずの妻)

Jason Statham
(Ethan Greer - 刑事)

Jessica Biel
(Chloe - ライアンのお目当ての女性)

Eric Christian Olsen
(Chad - ライアンほど能天気でない友人)

Noah Emmerich
(Jack Tanner - ボブの上司)

Eric Etebari
(Dmitri - イーサンの仲間)

Valerie Cruz
(Dana Bayback - 婦人警官)

見た時期:2008年11月


Code of Silence: Inside the Rampart Scandal

セルラーの元ネタ - Rampart Scandal

Chris Sikorowski

USA 2004 27 Min. 再現映画とインタビュー

本人出演

Scott Glover

Matt Lait

Kevin McKeeson

Richard Rosenthal

Bernard Parks (署長、写真のみ)

Rafael Pérez (CRASH 警官、写真のみ)

再現部分の俳優

Celestin Cornielle
(Nino Durden - CRASH 警官)

Fatal Instinct
(Rafael Pérez - CRASH 警官)

Elizabeth Lawrence (婦人警官)

Mills Pierre
(Armando Coronado)

Franco Vega
(Javier Ovando - 犠牲者)

見た時期:2008年11月

★ タイトル

各国とも似たようなタイトルにしています。日本ならさしずめ《携帯》。日本は英語のタイトルをそのままかたかなにしました。ドイツのタイトルは Final Call - Wenn er auflegt, muss sie sterben。この長いタイトルは DVD 用で、劇場では単に《ファイナル・コール》だったようです。

2人の主人公の電話がつながった状態でストーリーの大部分が進行します。まあ、《女性主人公に取って下手をすればこれが生前最後の電話になるかも知れない》という風に取れば正しいタイトルです。ドイツでは DVD にする時に副題をつけることがあります。この長ったらしいタイトルは訳すと《もし彼が通話を止めたら、彼女は死ななければならない》です。そういう意味で《ファイナル・コール》というわけです。他の国に倣えば Handy という1語で済みます。ドイツでは携帯のことはハンディーと言います。

★ しょ〜もないストーリー

・・・はティーン向けの他愛ないスリラー。スタイルはエリス監督が以前に作った デッドコースター(Final Destination 2) のような乗りです。ちなみに Final Destination 4 も作るのだそうです。そんな作品になぜ LA コンフィデンシャルのオスカー女優が・・・?

後記: The Final Destination として2009年のファンタに来ましたが、ベルリンでは上映されませんでした。

94分見てしまって、B級としてもそれほどパッとしないと思ったのですが、ちょっと時間があったのでスペシャルを見てみました。するとメイキング・オブの他に2つほどドキュメンタリーが入っていました。何の気なしに1つをクリックしてみると、あるロサンジェルスで起きた事件の再現映画でした。結構長いです。再現場面は俳優に演じさせ、解説部分には当時の検事や関係者自身が出て来ます。「一体何の話をしようっていうんだろう」と思って見ていたらあっと驚く・・・五郎(またまた古語を使用してしまいました)。

セルラーを語る時にこのドキュメンタリーを外すと、つまらない話になってしまうので触れますが、話が長くなるので次のページに書きます。件の三浦氏が呆気なく死んでしまった上に正式に自殺と認められた話を思い出しながら見るとちょっとしたものです。

★ しょ〜もないと言いながらも一応ストーリーをご紹介

☆ 拉致 - 主婦兼先生

学校で科学の先生をやっているジェシカには夫クレイグと、まだ小学校ぐらいの子供がいます。中産階級らしく、結構いい家に住んでいます。今日は息子は学校で、彼女は家事などを。そこへ突然トランスポータージェイソン・ステイサムがここでは悪党イーサンになって、2人ほどの手下を連れて押し込み強盗。物は取らず、彼女だけを拉致。

彼女は見知らぬ家の屋根裏に監禁され、人違いで拉致されたと思っています。賊たちは下の階の居間に陣取ります。屋根裏にあった親子電話は賊の1人がぶち壊しますので外とは連絡が取れません。彼女は自分が拉致された理由が分からずパニック状態。暫くすると落ち着きを取り戻し、壊れた電話で外部との連絡を取ろうと試みます。

☆ 救いの手 - 能天気な青年

運良く繋がったのが能天気の青年ライアンの携帯。「誘拐された、助けて」と彼女が言うのをいたずら電話と思っていたものの、ジェシカに説得されて一応警察署に通報。

☆ 通報 - 鈍そうに見える警官ボブ

テレビでは麻薬取引に絡んだ殺人事件が報道されています。一見頭が鈍いように見える警官ボブが実はゆっくり深く考える人物で、テレビの報道と自分が聞いたばかりの誘拐事件通報に関係がありはしないかなどと考え始めます。上の階に担当の部署があるのでライアンに行けと指示をします。

ところが警察署で大騒ぎが勃発。ボブは調書は上の階がやると思い、取っておらず、紙切れにメモをしただけ。

☆ 救出までの道 - 本当の意味でのライフライン

ジェシカは壊れた電話から話しており、1度切れてしまうとライアンや警察がこの電話に掛け直すことは無理。そのためこの通話をずっとキープしておかなければなりません。しかしトンネルに入ってしまったり、バッテリーが切れそうになったりといくつか障害が用意されています。

☆ 能天気が目覚めて - アメリカン・ヒーロー

ライアンはこういう映画によくあるように「警察だけに頼れない」とばかりにジェシカを救出しようと試みます。監督は時々電話が通じなくなりそうになり、観客をハラハラさせることも忘れていません。

☆ 犯人の目的 - 誘拐の理由

イーサンの目的はジェシカの夫が隠し持っている何か。夫は旅行中。ライアンはイーサンがジェシカを脅して口を割らそうとしている時の会話を聞いてしまい、事件を放り出すことができなくなってしまいます。

しかも彼女を更に強く脅すために子供を学校からさらうという計画も知ってしまい、ライアンはジェシカの息子を引き取りに小学校に向かいます。ジェシカにもライアンにもなぜこの家族が狙われているのかは分からないのですが、どうやら謎はジェシカの夫の方から解けそうです。学校にたどり着いたライアンですが、息子は一瞬の差でイーサンの一味にさらわれてしまいます。

☆ それぞれの試み

これでジェシカが本当の事を言っているどころか、本当に命が、それも3人の命が危ないとライアンが確信したのはいいのですが、イーサンとチェイスになり、町を混乱させてしまいます。

子供をさらったイーサンはジェシカの前で脅してみますが、ジェシカはイーサンの目的がよく分からないので直接助けになる事は言えません。一味は今度は町に戻って来るジェシカの夫クレイグを狙います。

警官ボブは騒がしい署内でやはりジェシカとライアンの事が気になり、チラッとメモをした住所を見に行きます。ところが家を訪ねるとそこにはちゃんと主婦がいます。観客はジェシカがベージンガーで英語にアクセントが無いことを知っていますが、ボブはそんな事は知りません。ですから「あれは悪戯電話だったんだ」という結論を出します。

☆ ジェットコースター風の演出

ジェシカとライアンの会話には色々な難関があって、途切れそうになります。その難関が大袈裟。デッドコースターの乗りで笑えます。

☆ アメリカン・ヒーロー頑張る

息子を助けそこなったライアンは今度は空港に向かい、ジェシカの夫クレイグをイーサンたちより先につかまえようとします。しかし努力は報われずクレイグもイーサンたちにつかまってしまいます。落ち着いてよく考えてみると間抜けな話です。しかし空港の騒ぎで重大な事実が見えて来ます。ジェシカをつかまえた男たちはロサンジェルス警察の警官。新ロス疑惑発生の瞬間です。

これまで誘拐は人違いだと確信していたジェシカ、そうあって欲しいと思っていた観客。しかしクレイグの登場で「いや、間違いない」と確認されてしまいます。クレイグが隠し持っている何かをイーサンが狙っていたのです。銀行の貸しロッカーに隠してあるというので、イーサンたちはクレイグを引っ立てて銀行へ。イーサン一行は警官なのになぜか応援を呼びません。しかし警官が数人も集まって、一般市民を拉致、一体何をやっているんだね、君たちは。

☆ ヒーロー・タイプでないヒーロー

恐妻家ではあるようなのですが、幸せな結婚をしているらしい警官ボブ。奥方と一緒に居間でテレビを見ていたら、ライアンが道中起こしている騒ぎが報道されていました。家でくつろいでいる場合じゃないと気付き、ジェシカの家に電話を入れてみます。留守番電話の女性にはアクセントがありませんでした。穏やかな表情のボブですが、頭の中はフル回転。

☆ アメリカンひったくり、ライアン

まだジェシカと連絡を取り合っているライアンはクレイグ、イーサンを追って銀行へ向かいます。隠してある物をイーサンに渡してしまえば親子3人の命は風前の灯火。能天気のライアンにもその程度は理解できます。銀行でライアンの方がイーサン一味を襲い、クレイグが金庫から出して来た鞄をひったくります。大成功。

逃げる最中にジェシカと繋がっていた携帯が壊れてしまいます。最初は能天気、アホだったライアンはこの数時間の経験ですっかり頭が良くなり、いい事を思いつきます。道中起こした騒ぎのおかげで、もう1つの電話もジェシカと繋がっていたのです。

鞄の中身はライアンを驚かせますが、観客はもっとびっくり。出て来たのはビデオ・カメラで、やばい場面にボブの上司も映っています。クレイグは警官が麻薬の売人を(私的に)殺す場面に居合わせてしまったのです。

☆ ボブの頑張り

ジェシカの家に調査に来たボブは中にいた女性と一騎打ち。ピストルを持っている女性は婦人警官風。ボブは家に入る時に規則どおり「警察だ」と言うのですが、中の婦人警官は無言。ボブの仕掛けた罠にはまって間違った方向に撃って来ます。ボブは彼女をしとめますが、彼女はやはり警官でした。ボブは規則通り本署に連絡。警察と救急隊が来ます。

☆ ジェシカの頑張り

映画の展開としては予想以上に長く持ちましたが、ついにジェシカが外部と電話していることが一味にばれてしまいます。その男と果敢に戦う弱いジェシカ。何しろこの作品に出ているベージンガーは骨と皮だけ。外から骸骨が見えるといった細さ。こういう女性が警察でしっかり訓練を受けた男と戦うには頭が必要。科学の先生なのでばっちり知識はあります。で、彼女が男をしとめます。やったー!

3人のうちジェシカは自由の身。次に彼女は息子を救い出します。いよいよ本性をあらわした一味。ボブの上司とイーサンは連絡を取り合います。イーサンたちは逃げようとするジェシカを見つけ、また人質は3人。そこへライアンが電話をかけて来て「家族と鞄を取引しよう」と持ち掛けます。観客にはそんなうまく行くはずが無いと分かりますが、イーサンたちは取り合えずライアンに「応じる」と答えます。

☆ ショーダウン近し

取引はやばいビデオと生きたままの家族3人の交換。場所はサンタ・モニカ。ややこしいのはライアンの見分け方。ジェシカたち3人、一味、警察の上司の誰もライアンの顔を知らないのです。服装は上司がボブから聞き出します。しかしライアンはこの頃には頭が切れるようになっていて、違う服装をしています。しかも《携帯を持った男》と全員が思い込んでいるのですが、ライアンはヘッドセットを使っていました。たったの90分でも結構成長します。

そこへライアンと冒頭喧嘩をした女の子が現われ、ライアンを発見してガンガン文句を言い始めます。最悪のタイミング。それが警官の注意を引いてしまいます。何も知らずに上司に協力したボブですが、上司のまずい会話を聞いてしまい、あれこれ考え合わせた結果ライアンと家族と助けなければ行けないと気付き、行動開始。ジェシカも夫と子供を助けなければ行けないと思い、行動開始。ライアンはボブに犯人をはっきり示すために電話をかけます。携帯が鳴ったところでボブはイーサンをしとめます。このトリックは他の映画でも見たことがありますが、ちょっと楽しいです。携帯はこういう時には役に立つなあと思います。

この後ライアンが携帯でビデオをコピーしていたので証拠もあり、携帯はこんな時にも役に立つというところを改めて強調。スポンサーに携帯の会社が入っているのでしょうか。取り合えずこれでハッピーエンド。

★ しょ〜もないB級作品の重〜い背景

このしょ〜もないB級作品になぜ今をときめくスターや、業界にもう名を成した名優が出ているのか。この作品を DVD 屋さんで見つけた時変だなと思って借りて来ました。

主演のエヴァンスはテレビから始めて今では ファンタスティック・フォー [超能力ユニット]ファンタスティック・フォー:銀河の危機サンシャイン 2057 などに出演している人。時期を見るとセルラー以後運が垂直上昇という感じです。

動をエヴァンスとすると静のベージンガーはご存知オスカーを受賞しています。オスカーを取ってしまうと有名女優はその後あまり仕事が来なくなるらしく、最近あまり見ませんが、ギャラは受賞でアップしたことでしょう。そう気楽にキャスティングできる格ではありません。

さらにはステイサム。2004年より前に既に自分が主演の作品を撮っていますし、その後はとんとん拍子。ジェシカ・ビールはエヴァンスと似て、この作品以降調子が良くなっています。

マーシーはご存知大ベテランですが、この作品の前に既に大ブレークをした人。

ま、若手の2人はこの作品の後運が開けたと言っていいかも知れませんが、オスカーを取った大女優がこんなしょ〜もないB級作品に出て来るにはちょっとしたわけがあったようです。

★ ちょっとしたわけ

三浦氏のロス疑惑とは別に、ロサンジェルスには悪徳警官が絡んだ大疑惑事件があり、関係者が逮捕されています。セルラーは重心を拉致されたベージンガーと救出に向かうライアンの通話に置いていますが、映画ではチラッとしか触れていない麻薬の密売人と警官の関係の部分に重たい実話が隠れています。ベージンガーがオスカーを取った作品もロサンジェルスのストーリーですが、彼女はロサンジェルス、警官に縁があるようです。

その事件を説明した再現映画がセルラーの付録についていました。ドキュメンタリーに似せた俳優による再現映画ですが、中で言われている話は裁判記録や調書のままです。

《ちょっとしたわけ》はかなり長い話になるので、別なページに書きます。

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