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2004 HK 95 Min. 劇映画
出演者
周星馳/
Stephen Chow
(Sing - ゴキブリのような口八丁手八丁の無責任なチンピラ)
Hao Tian Yuan
(Sing、子供時代)
林子聰/Lam Chi Chung
(シンの子分 - 骨)
元秋/Qiu Yuen
(大家のおかみさん)
元華/Wah Yuen
(大家)
陳國坤/Chan Kwok-Kwan
(斧頭会組長)
Suet Lam
(斧頭会副会長)
田啓文/Tin Kai Man
(斧頭会組長のアドバイザー)
梁小龍/Leung Siu-Lung/ブルース・リャン
(火雲邪神、史上最強の殺し屋)
黄聖依/Shengyi Huang
(Fong - シンの幼馴染の女の子)
呉孟達/Ng Man-Tat
逍薇/Zhao Wei/ヴィッキー・チャオ
劉鎮偉/Lau Chun-Wai
馮小剛/Feng Xiaogang
(チンピラのボス)
Xiaogang Feng
(鰐皮会の組長)
Zhi Hua Dong
Kang Xi Jia
(琴を弾くギャング)
Hak On Fung
(琴を弾くギャング)
Chi Ling Chiu
(洋裁店の主人)
David Hung
(長身の男 )
見た時期:2006年8月
2005年ファンタ オードブル 参加作品
評判の良かった少林サッカーを見ておらず、この種の作品は全く知らなかったとお断わりしておきます。香港映画は嫌いな方ではなく、時たま見るのですが、井上さんほど詳しくないということもお断わりしておきます。この作品は2005年ファンタのオードブルに出ていたのですが、このファンタには参加する事ができませんでした。ですから先入観無しに見たと言えます。
井上さんは「『少林サッカー』を軽々超えた『カンフー・ハッスル』」(下へスクロール)という意見。私も結論を言えば「おもしろかった」の一言。こんなおもしろい映画は世界中探しても滅多に無いです。少林サッカーを見る前に見てしまったのが悔やまれます。とにかくユニークさに圧倒されました。
洪金寶が監督の予定だったのが変更になり周星馳、アクション監督はマトリックスの袁和平なのだそうです。マトリックスの袁和平だと聞いて意外な印象だったのは、ワイヤー・アクションのイメージがあったからでしょう。カンフーハッスルはいかにもワイヤーだというアクションではなく、人が本当に空を飛んでいるように見えました。トランポリンでも使って撮影しているのかと思いました。実際にはワイヤーも特殊撮影も使ったようです。
1930年代か40年代の退廃的な町にやくざの斧頭会がはびこり、シン・シティーかゴッタム・シティーのようになっているという設定で始まります。この設定が本当に中国版ゴッタム・シティーという感じで、女性は長い中国服、建物も古そうに見え、おもしろい雰囲気をかもし出しています。
斧を振り回す斧頭会が町を乗っ取っていて、警察も手が出せない状況。斧頭会組員を名乗るチンピラが問題を起こしたら、貧乏長屋風のアパート猪籠城寨(豚小屋砦)に住む人があっさりやくざをやっつけてしまうという意外な展開が冒頭。
やくざがどんどん町を征服して行くシーンをやくざに斧を持たせてダンスをさせるというユニークな手法で象徴的に表現。この凝りようは何だ!とぶっ飛びました。香港のやくざ映画にこういうシーンを出すなんて、一体誰が思いついたんだろう。監督か?
貧乏アパートの住民は根に持ったやくざの反撃に遭いますが、なんとアッパッパを着て髪にカーラーをつけたカカア天下の大家のおかみさんにあっけなくのされてしまいます。スーパーウーマンがこの姿、この凝りようは何だ!とまたぶっ飛びました。何だ、この存在感は!Super-Ex のウマ・サーマンの存在が消えてしまいます。
この後やくざがアパートの住民を襲う、やり返されるというパターンが続き、果ては囚われていたカンフーの達人までが呼び出される騒ぎに。その上チンピラには子供の時のトラウマが・・・。どこまでもエスカレートする大袈裟なストーリー。いや、これは傑作だ・・・。
作っている人たちはブルース・リーに対する尊敬の念もあり、香港アクションの底力を見せつけようという気もあり、やる気のテンコ盛り。とぼけ切ったキャラクターに圧倒されます。
主人公はやくざとして名を上げたがっているチンピラ。名を上げるのになぜやくざなんかになりたがるのか、その短絡さも愉快です。彼について来てくれる相棒もあまり頭が良くありません。気取った金縁眼鏡のサラリーマンに因縁をつけたら、逆にボコボコに殴られてしまいます。
もう1人の主人公は家主のおかみさんを演じる元秋。凄い迫力です。ちょっと太めですがかなりのアクションをこなします。ちょっと前に狼よ静かに死ねでも太目のおじさんが物凄いアクションをやったのでびっくりしたばかりです(相撲取りがあれだけすばやく動けるのだから、太ったアクション・スターがいても不思議がっては行けないんでしょうが)。 太った奥さんの亭主というのがやせ細ったおっさん。いかにも夫婦として合いそうな2人です。元秋と元華は絶妙な夫婦愛を演じていました(笑)。
悪役も個性があり、ダンディーな斧頭会の組長は率先してダンスを踊ります。後半お呼びのかかる史上最強の殺し屋は日本で言えはステテコ姿の老人。演じているのは最近10年演技をやっていなかったというブルース・リャン。
時々流れるキューバ風のラテンの曲がなぜか伊東ゆかりの小指の思い出に聞こえてしまいます。
っとまあ、香港映画予備知識限りなくゼロに接近の私は香港映画だと意気込まず、ただの劇映画だと思って見始めたのですが、これはどこの国のどんな映画と比べてもかなりな存在を主張しています。人生に疲れた、毎日の生活に疲れた、スランプに陥った、トラブル続きで凹んでいるなどという方は、世をはかなむ前に1度カンフーハッスルをご覧下さい。大半の方が笑いを取り戻せます。
最近香港映画はちょっと下火という話を聞きますが、是非過去を振り返り、自分たちにはこういう物を作る力があるんだと確信して、また前に進んでいただきたいです。
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