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ノミネートが発表された時期:2013年12月
受賞が発表された時期:2014年1月
映画賞のシーズンに入りました。昨年12月は忙しくてノミネートをすぐ掲載できませんでした。受賞と一緒にご紹介します。
今年は久々に佳作のラッシュだそうで、前評判を聞いていずれ見ようと思っている作品がいくつかあります。忙しくてまだ劇映画は1本も見ていません。
テレビの方はどういうわけかドイツで新作が無料公開されたため(インターネット配信)見る機会がありました。中の1本がノミネートされています。見た上でいちゃもんをつけられるのは今年が初めてではないかと思います。
アフリカ系の人物を主人公に据えた作品もいくつかノミネートされていますが、オバマ政権が失政をしなければ入ったと思われる大統領の執事の涙は落選。
今年目立つのは、リメイクがほとんど無く、代わりに実話を元ネタにした作品が大量に出ていること。リメイクでもネタが切れたのか、あるいは「またリメイクだ」と批判が出たからではないかと思います。安易な方向でテーマを探したと言えない事もありませんが、まあ、新しいテーマを扱ってくれるなら観客としてはその方がいいかも知れません。
受賞作品が決まりました。
今年はちょっと捻った受賞で、あげたいけれど大御所に押されてだめだろうなあと思った作品に行きました。オスカーにどういう影響が出るかが見物です。
ある程度佳作が揃ったのか、一つが全部の賞を独占とは行かず、票が割れた様子。
作品賞・ドラマ
2009年に実際にあった海賊人質事件の映画化。元ネタは船長の出版した回想録キャプテンの責務。
監督の名前がスティーヴ・マックイーンなどというのでびっくりしますが、あのマックイーンとは別人。出演者は名前を知らない人ばかり。
奴隷が残っている時代に自分で商売をして食べていた自由黒人が騙されて、奴隷に売られてしまう・・・。その体験を12年経って解放され本人が本にしたものが原作として使われています。
去年のファンタの後忙しくなり、映画を見る時間が取れず、ここに挙がった作品も全く見ていません。
サンドラ・ブロックの宇宙物は見るつもりでマークしていたのですが、それも時間が無くて実現しませんでした。井上さんが先に見て記事にしています。
今年のノミネート作品の中では数少ないフィクションらしいです。事故の原因を作ったのはロシアという筋ですが、ちょっと前に中国が似たような爆破を行っています。なのでSFとは言ってもリアリティーがあります。
監督はロン・ハワード。主演はドイツの元若手(間もなく中年)ダニエル・ブリュール。彼はスペイン語も行け、ファンタでも活躍。
ラッシュ プライドと友情はニキ・ラウダの話なので、ドイツ語が話せる人がいいという事でブリュールに話が行ったのでしょう。でもあのオーストリー訛りをちゃんと話すんだろうか。この作品もいずれ見ようと思っています。
ラウダは1976年の事故で顔面も含む重症火傷を負っており、いわば仲間の1人に当たります。大金持ちの彼はその気になれば火傷の痕をきれいに治す事も可能ですが(ドイツの場合ですと、それすら大きな部分は健康保険)、本人は外見に無関心で、医学的な治癒が終わった後、整形手術を受けた形跡がありません。私自身事故の後何ヶ月かお岩の幽霊状態だったのですが、自己治癒力で顔は整形せずに何とか元に戻りました。ラウダも顔はどうやら自己治癒力で何とかなったようです。皮膚の色も質も目茶苦茶状態から始まるので非常に忍耐は必要ですが、かなりの部分は自分の力で回復可能です。それを的確に判断できる医者がいれば、ちょっと見にはそんな事があったとも分からないぐらい治ります。
火傷で困るのは外見よりも、傷口に大穴が空いてしまって塞がらないとか、治癒後筋肉が縮まって手足がちゃんと伸ばせない問題の方。そういう時は美容整形とは違う意味ですが整形手術が必要です。その点ラウダの顔は何とかなったようです。(他の部分をどうしたのかは分かりません。) しかも年を取ると普通の人でも皮膚が乾いたり、皺やしみが出るので、火傷の痕がそこにうまく紛れてしまいます。俳優やファッション・モデルのような職業でなければそれで十分。
主演女優賞・ドラマ
主演男優賞・ドラマ
後記: 主演、助演とも大御所を抑えて受賞。
作品を見ないでの発言ですが、ハンクスとレッドフォードにはご遠慮願って、あまり名前の知られていない俳優にあげたいです。ネルソン・マンデラの役はモーガン・フリーマンに行くものと長い間思っていましたが、違う人、それもあまり似ていない人が演じたようです。
レッドフォードの作品はほとんど台詞が無いそうで、表情が勝負なのだそうです。まあ、彼ががんばりたいという気持ちは分かりますが・・・。
作品賞・ミュージカル&コメディー
主演女優・ミュージカル&コメディー
後記: 実力はあるんだろうけれど、ストリープもそろそろ遠慮していただきたい。有能な新人に注目したいです。
主演男優賞・ミュージカル&コメディー
後記: スコシージ監督、カプリオ主演で受賞。オスカーに繋がるかは別問題。
競合しています。ベイルは本人はがんばっているのに好きになれない俳優。ブルース・ダーンはなぜ今頃という気がします。若い頃賞を取れるような作品に多々出ていたように思います。カプリオはそろそろ手抜き仕事を改めて実力を出してもらいたいところ。ドイツのメディアでは今年は気合を入れているからオスカーも取るかも知れないなどと書いています。親戚がドイツ人だから贔屓はあるでしょうね。フェニックスにはいつかオスカーを取ってもらいたいところ。歌も上手いし。
外国語映画
日本も参加しています。
助演女優賞・ドラマ
ブッシュの時代はとうに終わったのにジュリア・ロバーツが出て来たのでびっくり。
助演男優賞・ドラマ
注目しているのはブリュールとレト。ブリュールはニキ・ラウダ役です。たまたま今引退したシューマッハーがレース中の事故でないのに重傷で入院中。ラウダは無事引退し、まだ存命。レーサーの鏡。F1レーサーには無事引退生活を送ってもらいたいと心から願うのですが、グレアム・ヒルも飛行機事故で亡くなってしまい、好きだったスター・レーサーの多くがレース中の事故で亡くなってしまっため、F1を追いかけるのは止めてしまいました。
後記: レトが有力だったわけではなく、他も重要な助演として存在感のある人たち。レトは個性はあるけれど賞では見過ごされ易い人でした。ブリュールはアメリカではまだ知名度が低い。
監督賞
作品はどれも見ていないのですが、ここに並んだ監督の作品が他の部門でもたくさんノミネートされており、かなりの競争になりそうです。票は割れそう。
脚本
音楽(オリジナル)
ウィリアムズとツィンマーは常連。
音楽(オリジナル・ソング)
元ネタは小説。シリーズ物。
アンデルセンの童話が元ネタ。
後記: 音楽や歌手がテーマの作品ですが、受賞を逃しました。
実話。本人はホセ・カレラスを聞いて、オペラ歌手を目指す。プロになるほど自信が持てず、大学を卒業し、普通に就職。その間議員になるなどしている。歌は趣味として続ける。オーディション番組で賞金を貰い、短期間音楽留学。その後も職業としてではなくオペラを続けるが、私生活では健康問題などを抱え不運続き。入院費も稼がなければならず、お金に困りながら英国で有名なオーディション番組に参加。これでダメなら歌は諦めるという覚悟が吉と出て、大絶賛。本職の携帯販売会社は音楽で生活が立てられるようになり、退社。
容姿はぱっとしませんが、彼をメジャーにしたオーディション番組にはよくそういう人がサプライズの才能を持ち込んで来ます。イギリス人ではなく、パバロッティーかと思えるような歌唱力と声量。パバロッティー亡き後彼が代役に入ってもおかしくありません。クラシック音楽の世界では劣勢の英国からこういう人が出るとはねえ。絶賛も当然。私も知っている無礼な意地悪審査員も唖然。・・・本人はそれでグローブの音楽賞ぐらい取ってもおかしくないのですが、その彼を映画化した作品の方はどうだったんだろう。ドキュメンタリーではないから、俳優が演じて歌っているはず。
長編アニメ
TVシリーズ・ドラマ
ハウス・オブ・カード 野望の階段は第1シーズンを見終わったところです。ワシントン政界のえぐい部分を描いたドラマ。主演の3人の憎ったらしいこと。政界の実情を知っている人なら、さもありなんと思えるエピソードに気づく事ができるのだと思いますが、そこまで詳しくなくてもついて行ける筋です。
TVシリーズ主演女優賞・ドラマ
ケビン・スペーシーの妻役のロビン・ライトもおよそシンパシーを感じないような役を演じています。彼女は去年のファンタでも見たのですが、どうもここ暫く感じの悪い役に選ばれているようです。ただその役柄を本人は良く理解して感じ悪く演じているので、俳優としてはそれでいいのだと思います。コニー・ニールセンと似て容姿に妙な透明感がある人なのですが、それがプラスに働かず、感じ悪〜いです。ま、そういうキャラクターを望まれているんだからいいんだろうけれど。もう1人スペーシーの愛人ジャーナリストの役の女優もがんばっています。ところが彼女はノミネートされず、男性の助演が入っています。
後記: ライトはそれなりに個性を出して演じています。彼女が受賞にふさわしいかはライバルの様子を見ないと分かりませんが、私は他の作品は全部見ていません。なので判断ができない。
TVシリーズ主演男優賞・ドラマ
スペーシーは余裕で悪役を演じています。1つ損をしているのはスペーシーが観客に直接語りかけるシーン。アメリカン・ビューティーを意識して取り入れたのかと思いますが、この演出は実力ある俳優の評価を下げます。スーペーシーにそのシーンでは台詞は与えず、カメラに向かってとぼけた顔を見せれば効果があったかと思えますが。
後記: スペーシーはもっと凄い演技もできる事が知られているので今回は外されたのかも知れません。俳優の演技と脚本とのマッチ、その効果を考えるとユージュアル・サスペクツの方が絶妙な演技だったと言えます。ハウス・オブ・カード 野望の階段にもあのおとぼけぶりと、政界の残酷さを混ぜればよかったと思います。そこへあのロビン・ライトが加われば、二人揃って受賞もあったかも知れません。脚本があと一歩でした。力のある俳優はとことん使わなければ。
TVシリーズ・ミュージカル&コメディー
テレビ部門は普段は見られないので全くコメントできずに来ましたが、ドラマ部門は今年は見たので、少しコメントしました(上)。ミュージカル、コメディー部門は今年も手が出ません。
TVシリーズ主演女優賞・ミュージカル&コメディー
後記: 知らない人ばかりなのでノーコメント。
TVシリーズ主演男優賞・ミュージカル&コメディー
後記: 俳優は一部知っていますが、作品を知らないのでノーコメント。
TVミニ・シリーズ&テレビ用に製作された映画
恋するリベラーチェは歌手と愛人関係にあった男性の自伝を元に作られた作品。ゲイらしくないダグラスとデイモンが主演というところがご愛嬌。
リベラーチェにはクラシックのコンサート・ピアニストになる道も開かれていたのですが(評価は受けていた)、当時襲って来た大不況のため、ポピュラー畑で直接お金を稼ぐ事に。ポピュラー路線は大成功し、大金持ちに。派手な衣装のために(派手ではありますが、巷で言われるほど下品には見えませんでした。きっちりしたスーツにやたら光るものをつけたりしています。彼より後でラス・ベガスに出演したスターよりはまともな格好だと思いました)実はクラシックの曲を弾けるきちんとしたピアニストだという面はあまり注目されなかったようです。とは言うものの時々クラシックに関連する催しもやっており、ポピュラーの演奏に時々クラシックも混ぜています。私が聞く限りしっかりしたクラシックの基礎があるだけではなく、曲の解釈もしっかりしているので、もう少し何度もクラシック・コンサートをするなり、クラシック・アルバムを出すなりすれば良かったと思います。どうやらクラシック畑の人からは反感を買ったらしく、良い評価は受けていませんが、私には大きな才能があったように見えます(聞こえます)。
ゲイだったのですが、ゲイの話が公にできるようになっても公表はせず、エイズが原因で死去。
生前のビデオを見ましたが、ピアニストに向いた大きな手をしていて、大して踏ん張らずに力強い音を叩き出します(という事は必要な筋肉を必要な場所に揃えているということ)。ばかでかいグランドピアノが小さく見えるのはさすが。しかも腱鞘炎にかかっていない様子。さすが職業をきちんと意識しています。びっくりするのは大きな指輪をたくさんはめて演奏している点。音楽の趣味は合わないですが、非常に達者な演奏家です。乾いた鋭い音のピアノをそろえており、自分の演奏スタイルに合わせています。生前はほんの僅かしか見ませんでしたが、こんなに上手いのならもう少し見ておけば良かったと悔やまれます。
後記: リベラーチェ家にも色々あって大変だったようですが、マット・デイモンが演じている役の本人はあまりいい感じの人物ではありません。関係を解消し、一定の退職金を貰って口をつぐむのが英国風。アメリカ風だとテレビに出て来て喋ったり、本を書いたりするんですね。ま、色々あったんだろうけれど。
デイモンは容姿を良く研究して本人に似せています。
主演女優賞・TVミニ・シリーズ&テレビ用に製作された映画
後記: 知っている女優が多いですが、作品を知らないのでノーコメント。
主演男優賞・TVミニ・シリーズ&テレビ用に製作された映画
Phil Spector は芸能界で多大な影響を残したまま刑務所に言ってしまったフィル・スペクターの話。これほどあくの強い人物ならある・パシーの起用も納得。
後記: デイモンではなく、ダグラスが受賞。役者としてのデイモンに感心した事が無いので、この決定に納得。2人が主演の時に無理して1人を助演にしなかったのは賢い。
ダグラスは音楽のパーフォーマンスをどうしたんだろう(@上手くごまかして演奏シーン無しにした、A本人にある程度音楽の素養があるので、ピアノぐらい弾ける、B一応音楽の素養があり、上手にふりをしてそこへプロのピアニストの音をかぶせた、C音楽は苦手で、音の出ないピアノを使って弾いているふりをした、Dそれでも音楽の素養が無いのでばればれに見える - どれだろう。興味津々。)
助演女優賞・TVミニ・シリーズ&テレビ用に製作された映画
後記: 作品は全部知らない。それにしても随分古い女優に賞をあげたものです。
助演男優賞・TVミニ・シリーズ&テレビ用に製作された映画
コリー・ストルはビン・ディーゼルをちょっと間延びさせたような風貌。第1シリーズの最後彼は死んでしまいます。やっては行けない事をやってしまい、自分を律せない役を説得力ある演技でやっています。
後記: 全作品お手上げ。
セシル・B・デミル賞
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