星の見方楽しみ方 

(星のこと、望遠鏡のこと=日記・レポート風)
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目次は下ほど古く、記事は下ほど新しくなっております。



奇蹟のような好天  ニート彗星

第22回 星空の音楽会 in 星の里  笠をかぶったお月様

彗星の如く!  惑星勢ぞろい(3)

細いお月様  惑星勢ぞろい(2)

輪ゴムの意味  なかなかの「見え味」

惑星勢ぞろい  お月様は浮気者?

やっぱり女性は“光り物”がお好き?  春を釣り上げる=さそり座

安いレンズが生まれ変わる  自分で使う望遠鏡(2)

『新星雲』ってあるんだな〜!  見せかけの人気

赤い星を見る  望遠鏡交代

星空見上げて  変身する星団NGC2301

星のネックレス  富士山と金星

突然の双眼鏡比較観望会  デジカメのレリーズ工作

今年最初の太陽  土星に挑戦

IKONOSが撮った火星  星ナビ「ドブ日記」再開

今年最初の火星  年の初めの諸現象






年の初めの諸現象
2004.01.01

  本当に一年が経つのが早い!去年の正月おととしの正月のことが昨日のように思い出される(気がするだけだが…)
  私達の村では、午前0時をめざして、それぞれの部落の神社に初詣に行くのが盛んで、早く行かないと長い行列に延々並ぶことになる。でも、午前0時の太鼓を合図にお参りが始まるので、いくら早く行ってもお参りできない。お参りして、お神酒をいただき、「当番」の人達の用意した甘酒や豚汁を御馳走になり、ダルマを買って帰る。たったこれしかない「初詣」だが、年年行列が長くなっている気がする。

  ひとつは、こんな深夜の初詣の行き帰りでの発見。北極星をはさんで北斗七星とカシオペアが左右に並ぶのだ。年が新まると北を示す星達も「交代」するという訳だ。
  もうひとつは南の空。先日(12/25の日記)ご紹介した、小笠原の「天空のたびんちゅ」ことよっしーさん発案の冬の大三角に土星を加えた「今シーズン限定」の「大ウインタークロス」が、この時間に南中するのだ。これもなかなか壮大な眺めだ。ところで、「今シーズン限定」といったのはあくまで「土星を加えた」場合。実は、土星がいなくなっても、双子座のγ星が頂上星となって「ウインタークロス」は堅持されている。

  初詣で夜更かしをしたのに早起きするのは辛いのだが、毎年初日の出を見るのにいちおう早起きをすることにしている。でも、たいていは天候に恵まれず、最近はほとんど見ていない。
  今年は、東の空に低い雲があったが「だめもと」で行ってみた。といっても、村外れを流れる桜川という霞ヶ浦に注ぐ川の堤防。地平線に横たわる雲、土浦市のビル群に加えて、高圧電線と鉄塔が幾重にも重なって、とてもまともな「初日」が見えるとは考えにくい。
  ところが、日の出時刻よりちょっと遅れて雲の上に顔を出した初日は、それらのチマチマした前景を全く無視するように、実に堂々と昇ってくるではないか!思わず手を合わせたのはいうまでもない。

  左の写真は、そんな正真正銘の「2004年の初日」である。また、この太陽部分を拡大してみたら「黒点らしきもの」がいくつか写っていた。(写真をクリックすると見られる)

  ついでといってはなんだが、右の写真は「新年の筑波山」。正月の三箇日だけ夜通し登山ができるよう登山道に明かりが入るのだ。また、その時は山頂の食堂やみやげ物店も開店しているので、このように向かって左の男体山から右の女体山にかけて光のループが出現するというわけである。




今年最初の火星
2004.01.04

  いちおう晴れていれば毎日覗いている火星だが、視直径がずいぶん小さくなったことに加えて冬型のめちゃくちゃな気流の乱れでとても撮影する気になれなかった。でも今日は、ちょっとマシかな?という気がしたので久しぶりの火星撮影を行った。
  まあ、結果はこのとおり。「何が何でも模様を出そう!」と色味も荒れも無視して画像をいじくり、なんとか模様らしきものを「出した」。

  撮影をサボっていたのはもう一つ理由があって、ニコンのデジカメ用のコントローラーが完全に使えなくなっていたからだ。火星接近中、誤作動、接触不良、電池消耗とこれでもかというほどのトラブルを起こしてくれたコントローラーだが、ついに「断線」まで起こしてくれた。かつて絶対ともいえる信頼を集めた「ニコン」の面影は、このコントローラーを見る限り微塵もない。それを騙し騙しこの半年間使ってきたのだから、もう愛想を尽かしてもバチはあたるまい。
  ちなみに今日の撮影は「セルフタイマー」での撮影である。少なくとも「非常事態」への的確な対応力だけは養ってくれたと感謝すべきか?




星ナビ「ドブ日記」再開
2004.01.05

  今回はまったく「内輪ウケ」の話題で恐縮だが、「星ナビ」という天文雑誌に連載を「再開」した友達のお話である。
  今日発売の「星ナビ2004年2月号」の「星ナビ日記‐しあわせ星見生活」に「Ninja320」という連載が「再開」されたが、これを書いているのが、このコーナーで昨年「星が縁でみつけた味噌と甘酒」という記事でご紹介した「栃木県で味噌屋をしている星仲間」こと野沢さんそのひとだ。

  恐縮だが、私は野沢さんがこんな記事を連載していたなんて今回はじめて知った。でも、それだけの実力を身につけた人だということは、少し話をしているとすぐわかる。
  これはホンの一例だが、この秋「2003年石川町スターライトフェスティバル報告」というリポート?を書き、この中でジローさんの「TOA双眼」にたくさんのお客さんが集中していたように報告している。が、実は、もう1箇所お客さんでにぎわっているところがあり、その中心にいたのが野沢さんだった。
  彼の愛機はもちろん「Ninja320」というコンパクトなドブソニアン望遠鏡。会場ではいちばん大きいわけでも、いちばん目立つわけでもないし、はたまた超注目の器械というわけでもない。なのに、お客さんでにぎわっていたのは、野沢さんが次々と「ちょっと」珍しい天体を視野に導入し、さらにそれについての解説を実に巧みにしていたからに他ならない。とにかく興味をそそられて面白い。私なぞ、隣りで自分の望遠鏡に来たお客さんの相手にしながら、ついつい耳が彼の方に行ってしまっていた。

  こんな野沢さんの書く記事だからきっと「へ〜っ」と思うような天体がたくさん紹介されることだろう。野沢さんの記事の隣りは「双眼狂」の小田さん。盟友同士が並んで記事を書いているわけだ。来月からまた楽しみが増える。春から縁起がいいな。




IKONOSが撮った火星
2004.01.06

  IKONOSはスペースイメージング社が運用する商業用の高解像度地上画像を撮っている衛星。もとはスパイ衛星だったようだ。そのIKONOSが最接近の頃の火星を撮った画像が、同社のHPで公開されているのを見つけたのでご紹介する。
http://www.spaceimaging.co.jp/gallery/wkimg/030910w.html
  ちなみにトップページはhttp://www.spaceimaging.co.jp/main.htmlで、その「画像ギャラリー」というところから入る。

  この火星像は「20メートル解像度」で撮られているが、IKONOSの「売り」である「1メートル解像度」(道路のセンターラインはもとより自動車の車種くらいまでわかる)で撮ったらどんな火星像になるのか興味が尽きない。
  もちろん「商用」なので、希望すれば世界中どこの画像でも(雲がなければ)入手可能。どこぞの国の動きが心配でならないという向きには定期購入(3〜6日ごとに同じあたりを飛ぶので)をオススメする。わが国が上げようとしている「スパイ衛星」はこれと同じかちょっと劣るのでIKONOSの方が「お買い得」である。(買えるお金があればだけど・・・)




土星に挑戦
2004.01.09

  朝からよく晴れて、ここつくば市からも富士山がよく見えた。といっても今年は富士山の見える日が少ない気がする。見えても霞がかかってすっきりしない。
  この冬の狙い目は富士山と金星。冬の初めごろは、金星の高度も低く富士山の近くに光っていたので何とか写真に収めたいと思っていたが、先ほど言ったような訳で1月に入ってもなかなかチャンスに恵まれない。金星はすっかり高度を上げ、富士山のはるか上空に輝いているので写真としてはつまらなくなっている。でも何とか撮りたいと、今日もデジカメを持って出勤。しかし、夕方わいた雲は富士山を隠しやっぱりダメだった。
  天気予報では、夜は曇ることになっていたので早寝しようと思っていたら、曇らない!逆に気流の良さそうなホンワカした晴。
  望遠鏡を覗くとなかなか落ち着いた像が見える。特に天頂付近が良い。それではとデジカメをセットして土星を狙ってみる。まあ悪くはないのだが、まだレリーズがない状態が続いている。仕方なくセルフタイマーで何コマか撮ったが結果はあまり良くなかった。

  右の写真は職場の窓から撮った朝の富士山。左は土星。良さそうな3枚の画像を重ね焼きしている。輪にある「カシニ」という名の黒いスジ(空隙)のシャープさが土星写真の良し悪しの決め手になるのだが、私のはお話しにならないレベルだ。まあ、これから修行を積んで段々良くなっていく「始めの1歩」ということにしておこう。




今年最初の太陽
2004.01.10

  年末年始を「自宅でゆっくり」とか「遊びに出かける」とかいう事ができる人達というのはどんな社会環境に居られる人達なのだろうといつも思う。そのくらい、年末は大掃除やら正月の準備やらで毎年戦争のようだし、年が明ければ年始の挨拶だの「里帰り」(これも結局親戚への挨拶回り)で「忙しい」。まあ盆と正月しか会わないもの同士が訪問しあって、お酒も入って、と楽しみには違いないのだが結構疲れる。
  そんな訳で、正月明け最初の連休となる「成人の日」を含む3連休は、趣旨もさることながら生活上も誠に有難い。
  昼は久しぶりに太陽の写真を撮った。元日ごろあらわれた黒点だが、昨年世間を驚かせたものよりはるかに規模は小さいが一応「肉眼黒点」である。(写真をクリックすると大きい写真が見れる)
  題名を「今年最初」としたが、これは嘘で、本当の「今年最初の太陽」写真は例の「初日」である。




デジカメのレリーズ工作
2004.01.11

  天体写真用に使っているニコンのクールピクス5000というデジカメのコントローラーが完全にだめになった話を前に書いた。
  そこでアバウトだが絶対確実なカメラレリーズでシャッターを切るための工作をした。参考(と言うよりコピー)にしたのはリンクはっていただいている「デジボーグ」の使い手「十勝の自然とFly Fishing」の万年坊主さんのモノ。
  用意したのはライカ用のレリーズアダプター、とステンレス製の組立棚かなにかの金具。これをちょこちょこっと削ったり曲げたりしただけの物で、果たしてこれを「工作」と威張っていいかどうか疑問な作業で完成!。
  さっそく、昼間に太陽、夜にお月様を撮影してみた。昼の強風で気流は乱れに乱れ望遠鏡で見る天体はボケボケ状態だったが、写真はごまかしがきくので冒頭の写真くらいには写る。ちなみに題名は「1月11日午後11時のお月様」である。
  参考になるかどうか分からないが、一応作ったものもお見せする。





突然の双眼鏡比較観望会
2004.01.12

  「双眼狂」の小田さんから突然電話があり、野沢店長がフジノンの10倍50o双眼鏡を買ったので見せてもらいに行くけど付合わないかといわれ、一も二もなく同行させてもらった。
  野沢店長こと野沢さんは先日書いたとおりの「Ninja320」ドブソニアンの使い手だが、最近小田さんの影響もあってか双眼鏡にも造詣が深くなっている。我が家は小田さんの住む土浦市から車で15分ほどのところにあり、小田さんが野沢さんのいる栃木県喜連川(きつれがわ)市に行く時はいつも我が家の横を通っていた事になる。
  野沢さんのお店につくと、後から昨年お邪魔した「益子町スペース250」のスタッフのお二人が来るという。5人も集まるというのはまったくの偶然で、野沢さんは小田さんを呼んだだけ。それに私がくっついてきて、益子町のお二人は「星ナビ」の登場した野沢さんに会いに「たまたま」こられたという次第である。
  野沢さんのフジノンの10倍50o双眼鏡をメインに最近ネットで入手したドイツの双眼鏡などと、小田さんご自慢のツアイスやスワロフスキーの双眼鏡の数々。これらをとっかえひっかえ見比べるといういつもの趣向。あいにく夜になって曇ってしまい星はわずかしか見られなかったが、夜の景色や街灯ごしの見え方など色々比較してみた。結果は「星ナビ用記事ネタ」になるかも知れないというので多くは語れないが、フジノンの新機種10倍50o双眼鏡は、並居る外国製有名双眼鏡を凌駕する実力を持つウワサに違わぬ名品である事が分かった。
  さらに野沢さんにはドイツの双眼鏡ケースの作りの良さ(美しい!)も教えてもらった。また、「益子町スペース250」のスタッフのお二人は、10年近く前、濱野さんのヨシカワ40cmニュートン納入をお手伝いした際、私などが立ち上げた望遠鏡の愛好会への入会を誘っていた事も分かった。

  写真は1台20万円近くする「名機」を含む比較双眼鏡の数々。中央右側の灰色っぽい双眼鏡が今回の主役フジノンの10倍50o双眼鏡。




富士山と金星
2004.01.15

  「夕焼けに浮かぶ富士山が撮りたい」と9日の日記に書いたが、このところ夕方良く晴れる日が続いていて綺麗な富士山が見えている。
  写真は、日没直後の西の空を撮ったもの。富士山の近くに沈んでいるのが分かる。冬至を過ぎているから日没の位置は毎日どんどん北にずれて行くからこれからは富士山から離れるばかりだ。ところで、いったいここ(職場=つくば市内)から見た日没位置は、どれくらい富士山に近づくのか、もう20年以上いるのに確かめられないでいる。ひょっとしたら富士山の背後に沈む夕日も観られるのかもしれないのだが、なぜか観られない。

  夕日が沈んでさらにしばらくすると、地平線付近だけが赤くなり、上空は夜空(黄昏=たそがれ)となる。今年はそこに宵の明星=金星が輝いている。もうずいぶん太陽から離れたので、金星と富士山の間にお月様が来ると絶好のシャッターチャンスとなる。来週25日前後がその時期だが何とか晴れて欲しいものだ。




星のネックレス=NGC2264
2004.01.19

  16日の夜、久しぶりに冬の銀河を望遠鏡で流していたら表題のようなとても綺麗な星の集りをみつけたのでご紹介する。
  場所は一角獣座の双子座との境界近く。NGC2264という星雲のある場所である。星雲は「コーン星雲」と呼ばれる星の誕生している場所としてかなり有名だが、もちろん普通の望遠鏡ではほとんど見ることが出来ない。その代わり、望遠鏡では明るい星の集りを見ることが出来る。その見事さは「クリスマスツリー」などと形容されるほどなのだ。
  私が見た感じでは、ネックレスを首にかけた形に星が並んでいて、要所要所を一段と明るい星が飾っている、とでもいおうか。なるべく口径の大きい望遠鏡の方が楽しめる。

  実は、アップが今日になったのは、是非とも写真をお見せしたかったからだ。ただし写真だと、見た感じより星の並びが目立たなくなってしまうので、「なあんだ」といわず肉眼で是非眺めていただきたい。(楕円で囲んだあたりがお勧めの領域)
  ついでだが、この写真を撮ったら近くに「彗星」のような天体が写っていて、ビックリして調べてみたら「ハッブルの変光星雲」という明るさが変わるといわれている有名な星雲だった。




変身する星団NGC2301
2004.01.21

  今回も、16日にみつけた星の続き。
  NGC2301は一角獣座の北、デルタ星の西4度ほどのところにある星団で、5cmくらいの双眼鏡だと南北に密着して並んだ星の列としてみとめられる。これは望遠鏡の低倍率でも同じで行儀よく並んだ星の列が印象的だ。
  ところが、これらの明るい星はNGC2301を構成するメンバーの星達ではなさそうで、実は、この星の列の真中へんを大きな望遠鏡で倍率を少し高めてみると、そのうしろに細かな星の集団が隠れているのが見えてくるのだ。
  さらに、この明るい星の列をもう少し大きな望遠鏡で見ると、いろいろな色をした実にカラフルな星達であることが分かる。

  ちょっと大げさなネーミングで、期待ハズレになるかもしれないが、30cm前後の望遠鏡を覗く機会があったら是非確かめてみていただきたい。




見上げる星空
2004.01.25

  昨晩(24日夜)は、美和村の花立山天文台「美(ビ)スター」のボランティア当番の日だった。
  週間天気予報では晴れない予報が前日から「晴れる」と言い出したが、空はうす曇状態。半信半疑の気持ちで夕飯を買いこみ天文台に向かうと空は次第に晴れてきてなんだか期待が持てそう。
  天文台につくと、相次いで現地スタッフの方や相棒のMくん、それに、泊まり込みで望遠鏡の修理に来たというT君。さらには全開曇られた「双眼鏡比較観望会」のリベンジ(?)に小田さんや野沢さんもやってきた。ただ、小田さんの後輩で最近「Ninja320」を購入したSさんも来る予定だったが仕事の関係で急遽来れなくなり、私が一番楽しみにしていた「Ninja320ファーストライト」はお流れになった。(残念!)

  この日のお客さんは圧倒的多数が若い女性とあって、一同大ハッスル。もちろん私も「比較観望」用に持ってきたニコン10×70SPを出してスバルや二重星団、アンドロメダ大星雲など有名どころを案内しよろこんでもらった。
  最近の私の得意技は「北極星のハート」(写真)。これはこちらで北極星のリング」としてご紹介しているが、これは外国の方の命名で、わたしは、実際に見た感じから「ハート型」として紹介している。(写真をクリックすると大きな画像が見れる)。実際は、向かって左半分は整った形だが、右半分はちょっと判然としない。でも、これがかえって「いい!」といってもらえるから不思議だ。不思議といえば、もう一つ。この「ハート」、女性に見せるとすぐに分かってくれて凄く喜んでもらえるのだが、男性に見せると「どれがハート?」。説明してやっとわかってもらっても「だから何?」と、なぜか全然受けないのだ。

  ところで、他の観望会でもそうだが、私は必ずファインダーとか双眼鏡とかで、その星と「正対」してみてもらうことを忘れないようにしている。望遠鏡は楽な姿勢で見られるようにプリズムや鏡を使って横とか斜め上から覗けるようにしているのだが、そうすると何を見ているのか分からなくなってしまうのだ。「(今見ている星はどの星なの?」と聞かれれば説明が出来て救われるが、黙って見みていって、他の人にとんでもない方向を教えている人もいたりする。
  だから、こちらから先に「今見てるのは、このちっちゃい望遠鏡で見えているあたりだよ」とファインダーを覗かせると、たいていの人が「ああ、あっちの星ね!」とすぐ理解してくれるのだ。
  この晩も、スバルといえばほぼ天頂にあって、直視式の双眼鏡などではたいへん覗きずらいのだが、ほんのちょっとだけきつい姿勢を我慢してもらい覗いてもらった。(といっても、たいへん感激されるので結構長い時間覗いておられる)対象の位置を直感できる「直視」は、冬の夜の寒さの厳しさや星の光りの冴えなどと相俟って、「星を体感」するのにはある程度は必要な行為のようだ。
  人間の目は、水平より下方向を見るのがいちばん楽なのだ。だから、忙しい毎日を送っているとついつい目線がうつむきかげんになってしまう。すると考え方まで下向きになってしまいがち。
  「上を向いて歩こう」「見上げてごらん夜の星を」などなど、坂本九ちゃんの歌ではないが慰めたり励ましたりする時は、視線を上に向けるように薦めるのは、あながち「キザ」でいうだけではないのだ。また、市民に星を見てもらう意味も、深いところではこんな役割もあるのではないか?などと思っているのだがいかがだろうか。

  最後まで残った彼女達に、床暖房の入った暖かい部屋で、いつもはけして出してこない手作りの天体写真集まで引っ張り出しての星談義。帰り際には「また来てもいいですか〜?」といわれ「季節に1回はおいで」「イヤ毎月おいで」などと、天まで舞上がっていたこの晩の私達オジさん達でありました。




望遠鏡交代
2004.02.01

  まずは、写真をご覧になっていただきたい。これを見てすぐにピンと来る人はちょっと”望遠狂”が進んでいる人。
  これは、私の「お宝」の一つ、25cmF5の反射鏡と斜鏡。ある若手の鏡面製作者にお願いして、元もとの鏡を磨きなおしていただいたもの。もとは写真用に使っても甘かったものを惑星観測にも使えるくらいに生まれ変わらせてもらった。ただし、F5という明るい鏡面のため製作が非常に難しいそうで、「会心」といえるだけの出来ではないので「○○鏡」と名前を名乗ることは許されないでいる。
  でも、気流の良い時600倍以上かけても全く像が劣化しないので、私の持つ望遠鏡としては「もったいない」くらいの出来映えなのだ。
  この夏の間、火星を見るのに「双眼望遠鏡」を使っていて、25cm反射望遠鏡はお休みしていた。しかし、火星が遠のき、土星と木星のシーズンがやってきて、さらに5月には大彗星が見られるかもしれないと言うことで、双眼望遠鏡は、軽便な架台に載せて機動観測用に使うことにしたのだ。
  そんな訳で、交代に際して鏡面にたまったほこりを洗い流して綺麗になったところをパチリ。超ややこしい構造のレンズ枠(3層構造になっていてその間が合計15個の鋼球にのっかている…分かる?)への組み込みも、嘘のように一発で決まり、無事もとの姿に戻った。

  望遠鏡の組み立てがうまくいったと喜んでいたら、もうひとつ嬉しい事が飛び込んできた!
  あの25cmBigBinoの製作者で、「双眼鏡・望遠鏡サミット」の主催者の中心人物である服部さんと、相互リンクのお話がまとまってしまったのだ。でも、相手がBigな方だけにチョッピリ気恥ずかしくてしかたがない。




赤い星を見る
2004.02.08

  すっかり更新が滞ってしまっていた。理由は、ちょっと忙しかったのとこの写真を撮るのに手間取ったからだ。
  向かって左がケフェウス座S星。右がうさぎ座R星。どちらも特別に赤い星である。
  とりわけうさぎ座R星は、発見したハインドという人が血のしづくのようだということで「クリムズン・スター」と呼んだほどの赤い星なのだ。一方のケフェウス座S星はあまり有名ではないらしいが、私が見た赤い星の中では「もっとも赤い」と感じている星なのだ。

  星の赤さは、「赤い」といってもいわゆるガーネットやルビーのような「真紅」ではなく「橙色」の濃いものだと思っていただきたい。しかし、上記の星は全く「真紅」といっても良いくらい赤い。そのため、探すとき空を掃くように流しながら探すと見逃してしまう。視界を止めて見える星を一個一個吟味するように探すと「エッ」と驚くような赤さにきっとビックリされるはずだ。
  ただ、このようなローマ字の名前がついた星は変光星という明るさを変える星で、しかもこの2星はきわめて長い周期で大きく明るさを変える種類の変光星なので、しばらくの間見えないくらいに暗くなってしまうことがある。
  今頃ならどちらもそこそこ明るいので「見頃」といえよう。

  うさぎ座はあのオリオン座のすぐ下にある星座で、西側を向いたデカイうさぎの姿をイメージしている。R星は、そのうさぎのおでこの先にある。ちょうどうさぎに赤いニンジンをあげようとしている格好だ。ただ、星座の西の外れのエリダヌス座との境にあるのだが、そのホンのわずか南側にエリダヌス座R星というのがあるので紛らわしい。
  ケフェウス座S星は、秋の星座であるケフェウス座の真中よりちょっと北極星寄りにある。秋の星座が、真冬の今頃に見えるの?と思われるかもしれないが、ケフェウス座の片足は北極星であり(小熊座と共有している)、構成するほとんどの星が周極星なのだ。S星は、今頃の時節では夜中の十二時ごろに北極星の真下に来るが、北極からわずか11度という位置にあるため本州ではそれでも25度前後の高度があり、それほど見えにくい位置ではない。
  ケフェウス座S星とうさぎ座R星を交互に見比べたければ、今頃であれば夜の9時前後。兎に角うさぎ座が見やすい位置にある時間帯にどうぞ。




見せかけの人気
2004.02.13

  昨日は牛久市内の小学校での観望会に参加した。
  あいにく、夕方からわいて来た雲が取れず、雲の切れ間から土星がのぞき始めたので観望を開始したが30分ほどでほとんど雲ばかりの空になってしまった。
  この日の器械は屈折の10〜15cmが3台と、私の32cmドブソニアン。ところが気がつくと、私のドブソのまわりに長蛇の列ができていた!。意外な注目を浴びて、ちょっといい気分になったが、すぐに理由がわかった。他の屈折はみな土星を見せていて(しか見えなくて)私のだけM42に向いていた。だから土星を見終えた子ども達が、別なところを向いているこの望遠鏡に集ってきたのだ。が、運悪くM42は雲の中。雲が切れたら覗こうとしてできたのがこの行列というわけ。
  結局、この後全く星は見えなくなってしまった。しかたがないので、望遠鏡を取り囲んでいた子供たちや親御さん達に、これが手作りであること、接着剤で貼り合わせて組み立てていること、飾りの絵のことなどを「解説」してお茶を濁し、鏡筒の中を覗いてもらってあきらめてもらった。
  ちょっと気の毒な観望会だった。




『新星雲』ってあるんだな〜!
2004.02.15

  14日開催された「つくば星の会」年次総会での話題の中で「新星雲が発見された」というのがあった。
  アメリカのアマチュア天文家が7.6cmの望遠鏡で(ただしCCDカメラ)オリオン座の中のウルトラマンの故郷ということで有名なM78星雲のそばに発見したという。このあたりは星の材料になるガスが密集し暗黒星雲となっているが,その中で輝き始めた原始星が周囲の星雲を照らした結果と言うことらしい。
  言われてみれば「なあんだ」と変に納得してしまうが、これまで原理としては分かっていても,まさかそれが目の前で起こる現象であるなどとは思ってもいなかった。

  持ち前の野次馬根性を発揮して、さっそく写して見たのが上の写真である。中央やや上の大きな雲がM78星雲。その下の赤い矢印の先にある淡いモヤッとしたふたつのかたまりが「新星雲」である。(写真をクリックすると大きな画像が見れる。25cmF5反射望遠鏡で1分×3コマ合成)

  この現象は「現在進行中」らしいので、星雲の形とか明るさが変化するらしい。とても小さな望遠鏡では見ることはできそうにないが注目したい現象である。




自分で使う望遠鏡(2)
2004.02.17

  もうひとつ「つくば星の会」年次総会での話題から。
  以前、観望会に「自由に使える望遠鏡」を持ちこんだ話を書いたが、その中で、この発想が、あの田中千秋さんのものだが、「実際の望遠鏡は使いにくそう」などと書いた。
  ところが、今回の総会に田中さんは、1台の望遠鏡を担いでおいでになった。(写真)
  田中さんが言うには、私から「自由に使える望遠鏡」について「使いにくそう」などといわれたが、なるほどバランスが悪くて使いにくい。そこでより使いやすいものを考えてみたとのこと。
  構造は写真をご覧になるとお分かりと思うが、タカハシのスペースボーイ赤道儀の赤緯軸ふたつをL型金具で連結した簡単なもの。これでも写真のような小型の望遠鏡から、10cmクラスの望遠鏡まで使えるとのこと。しかも、最大のミソは「微動」が使えること。そうする事で導入も楽だし、うっかりして視野から逃げられてしまう事も少なくなるそうだ。確かに、接眼部をつかんで自由に振りまわせる「フリーストップ式」は使い方は簡単だが、せっかく導入した星がチョットぶつかっただけで居なくなってしまう危険も多いのだ。

  でも、それより何より私が感心したのは、田中さんの謙虚さ。チョットした言葉の行き違い(時に行き違わなくても)から、喧嘩を売ったり売られたりといったことの多い昨今、私の言いぐさもかなり誤解されやすいもの。なのに変な意見もキチンとプラスに受け止めて、こんな素敵な望遠鏡を作ってしまわれた田中さん。やっぱり「只者」ではない!

  ところで、「自分で使う望遠鏡」。私のも田中さんのもそんなに「安物」ではない。「初心者用=安物」とは、壊れたり飽きてしまった時、捨ててもおしくない値段という発想から生まれたものだろう。でも、そうやって作られた使いづらい望遠鏡がせっかく芽生えた星への興味を失わせてしまってはいないだろうか?。一方、だからといって高級赤道儀をポンと置いて「さあ使え」といっても初心者は戸惑うばかりだろう。
  初心者が「自分で使う望遠鏡」とは、とりもなおさずあらゆるレベルの人が自由に楽しく使える望遠鏡ということだ。でも、多種多様な望遠鏡が氾濫している現在、そんな望遠鏡が果たしてどれほどあるだろうか?。と考えると、「ほとんどない」と言わざるを得ないのではないだろうか?
  初心者が「自分で使う望遠鏡」。「自由に使える望遠鏡」。なんだかすごく身近で大きなテーマのように思えてきた。




安いレンズが生まれ変わる
2004.02.19

  写真はテレビュー社の「パラコア」。ご存知の方も多いと思うが、F5とか6とかいった明るい光学系で星を見ると周辺がボケる事が多い。これを解消するのがこのレンズだ。
  実は、パラコアの50o径のは持っているのだが、私の25cm反射鏡筒は、今では古い時代の製品の部類なので、50o径の接眼レンズが使えない。しかし、Fが5というこの鏡筒で低倍率で星見を楽しもうとすると周辺がボケて気持ちが良くない。そこで、ネットで31.7o径のパラコア(1〜2年前生産終了)を譲ってくれる人を探したら、幸運にもほとんど使用感のない綺麗なものを譲ってもらえた。
  さっそく実際使ってみた。接眼レンズは国際光器のプローゼル40o(¥5500)。パラコアは15パーセントほど焦点距離が伸びるのでこれで約36倍。有効最低倍率ぴったりの倍率となる。見掛け視界46度なので視野は約77分。視野の広さでは今流行りの高性能レンズには及びもつかないが、価格差が4分の1。それで見え味はというとほとんど期待どおり。周辺まで不快なぼやけは感じられなかったし、なかなか高いコントラストの像を見せてくれた。
  いわゆるパーフェクトな見え味を楽しみたい向きなら、いくらでも欠点は並べ立てられるだろうが、お買い得値段で買える接眼レンズが、高性能レンズと比べられるくらいまで性能アップできるのだから小気味が良い。しばらく超低価格の接眼レンズ探しにハマりそうだ。

  写真のとおり、このパラコアシリーズは「コマ(=周辺のボケ)」を食べるオームがキャラクターになっていて随所に大きく印刷されている。




春を釣り上げる=さそり座
2004.02.24

  夜、目がさめると空の様子が気になって外を見る。
  今朝は、4時ごろ目が覚めたので外を見ると、冬型の戻った澄んだ空にさそり座がスッと立ち上がっていたので、慌ててカメラを持ち出してパチリ…。
  さそり座はご存知のとおり夏の代表星座だが、星屋の私にとっては「春を告げる」星座なのだ。
  毎日寒さに震えながらの星見に、そろそろ嫌気がさしてきたころ、望遠鏡を片付けながらふと目をやった南東の空に、このさそり座の頭を見つけると「あ、もう春が近いんだ」と肩の力が抜ける。
  この、さそり座の一番好きな姿は、今朝のように尻尾が地平線からやっと離れたくらいの立ち上がった姿。
  さそり座の和名に「鯛釣り星」というのがあるそうだが、ゆるやかなS字のカーブを描き最後にくるっと方向を変える星の並びは、まさに巨大な釣り針そのもの。海からあがるこの姿を見れば誰でも釣り針を連想するだろう。
  そしてこの巨大な釣り針が今釣り上げているのは、待ちに待った「春」だ。

  写真をクリックすると大きな画像が見れる。




やっぱり女性は“光り物”がお好き?
2004.02.26

  昨日は隣接する市内の小学校の観望会がありお手伝いに参加した。
  開催決定の直前まで雲が広がり、主催する先生方を悩ませたのが嘘のように綺麗に晴れ渡った。オマケに、望遠鏡でみるとビックリするような落ち着いた像が見られ、絶好の観測日和となった。
  空には、西から金星、月齢5のお月様、火星、土星、そして東の空に木星と、どれから見せて良いか迷うくらいの賑やかさ。誰かが月火木金とチェックして「あれ、水星がないよ!」といったので「今日は水曜日だから水星はお休み〜」と笑いを取ろうと思ったがあまりウケなかった。
  いろいろな望遠鏡でそれぞれの星を存分に楽しんでもらって、さあお終い・・・と思ったら、ひとりのお母さんが「あの、シリウス見せてくれませんか?」。「ああ、いいですよ。でも別に大きく見えるわけではないからつまんないですよ〜」と前置きしてシリウスを視野に入れた。
  そのお母さん「うわ〜〜綺麗〜!!!」と大感激。そばにいたご主人も「ホウ、これは!」と見入っておられた。ところがそのあと異変が・・・・・・。そのお母さん、他のお母さんのところに走っていってお仲間を呼び始めたのだ。さらに、ウワサを聞きつけてやってきたお母さんたちも、次々に集って来てたちまち長蛇の列が。しかもみんながみんな悲鳴に近い歓声を上げて喜んでおられる。ところが黙って聞いていたら、お母さんたちの口から出る言葉に不思議な共通点が浮かび上がってきた。「うわ、ダイヤモンドみたい」「まるで宝石だわ〜」・・・。そうなんです。シリウスのあの強烈な輝きにこそ、女性の心を捉えて離さない魔力があったのだ。たしかに、土星やお月様を見てもらっても、こんなに激しくは感激されなかった(ただし、お母さんたちには)。
  やっぱり女性は“光り物”がお好き!。下手な星雲星団を見せるよりよっぽど喜ばれること請け合いで、「恒星なんて望遠鏡で見てもつまらない」なんて言う「星屋の常識」こそ、さっさと返上すべきだと悟った。

  写真はシリウス。虹のような色着きや光状は望遠鏡やレンズのせい。実際は青っぽい白とでも言えるか。




お月様は浮気者?
2004.03.12

  現在、4個の大惑星が同時に見えていて空を飾っている。そしてその間をお月様が訪問するように近づいて、これまた楽しい風景を作り出す。
  写真は、そんな「ランデブー」をその度に撮ったもの。残念ながら土星とのランデブーは曇りのため撮影できなかった。(写真をクリックしてご覧いただきたい)

  ギリシャ神話では月は女神アルテミス。ゼウスの娘で太陽の神アポロンとは兄妹である。生涯独身でいる許可をゼウスから得て、ニンフ(妖精)達と狩りをして過ごしていたという。
  そんなアルテミスのことだから、題名のような浮気心で惑星(=神々)の間をわたって歩いているとは考えられない。狩をしながら「星の森」を見まわって、動物をいじめたり自然破壊をしている輩を、持っている銀の弓でこらしめているのだろう。でも、この頃はそんな連中が多すぎて、1ヶ月にいちどの見回りではとても退治しきれなさそうだ。

  余談だがアルテミスはローマ神話ではディアナ。英語読みでダイアナである。



惑星勢ぞろい
2004.03.28

  久しぶりの日記である。
  ここ2週間ほど、揉め事の仲裁などで気分的に星見どころではなかったのだ。

  このところ、太陽系のいちばん内側を周っている水星が、高度が高く夕方の空で見やすくなっている。そのため、肉眼で見られる大惑星が全て夕方の空に並ぶという、チョット面白いことになっているのだ。まず西の空でいちばん明るく光っているのが金星だが、その下に(6次半ごろだと地平線から金星の1/3くらい?)やや暗く光っているのが分かると思う。金星の東(斜め上)に火星、天頂近くに土星、そして東の空の中高度に木星、そして、これらの惑星の間を訪ねるようにお月様が通って行くのだ。つまり、月/火/水/木/金/土が一堂に見られるというわけだ。

  写真は、すばるを挟んで金星(下)と火星が並んでいる様子(写真をクリックすると大きな画像が見れる)



なかなかの「見え味」
2004.04.04

  3日、つくば市の市街地の程近くにあるキャンプ場で、フォークシンガーの笠木透さんや地元のフォークグループによる、ごく内輪のコンサートがあるというので家内と一緒にかけつけた。(私達夫婦は彼らの大ファンなのだ)
  最近家内は、私が夜の集り(遊びの)に行くというと「望遠鏡、持っていけば」というようになった。理由は、私が星を見せることでものすごく喜ぶ人がいるからだという。確かに「長生きして良かった」と言ってくれた老夫婦もおられたっけ。
  そんな訳で、飛び入りで参加して責任者の若者に「望遠鏡持ってきたよ」といったら、「誰かお願いしたんですね」というので不思議に思って、聞いてみたら、なんとテーマが「星空コンサート」。あまりの偶然に思わず笑ってしまった。

  さて、本番といっても休憩時間に星を見てもらうしかないのだが、キャンプ場にきている人にも通りかかると声をかけていたら、結構「ハマッテしまう」家族もいてたのしかった。
  でもいちばん嬉しかったのは笠木透さんご本人に土星や金星を見てもらったこと。そしてさらに嬉しかったのは、彼が土星を見て「まるで切り紙細工のようだ!」と言ってくれたこと。分かります?そのくらいエッジが立った像が見えていた。と言うことなんです。
  写真でお分かりのように、外見はヨシカワの15cm鏡筒だが、御神体のレンズはある若手鏡面研磨師に磨いていただいたもの。そのレンズが結んでくれる像は、今でも結構自慢できるレベルにあると思っている。



輪ゴムの意味
2004.04.05

  今日は天文雑誌の発売日なので本屋に買いに行った。すると『星ナビ』誌の方に輪ゴムがかかってい「立ち読み禁止」ととでも言っているようだった。
  さては、双眼狂で闘病中の小田さんに加えて、32cmドブソNinjaに夢中(その他カメラ狂や双眼狂も併発中…)の野沢さんまで登場するなど、きわめて感染力の強い雑誌になってしまったため、青少年への影響を考慮しての「措置」ではないか。と推測。想像で膨らむ気持ちをグッとこらえ、中身も見ないで買って帰った。
  結局、輪ゴムがけの原因はキヤノンが一眼レフデジカメの宣伝用小冊子を入れていたためと判明して、話はちゃんちゃん・・・。(本屋で見て分かれ!)

  ところで、今月の『星ナビ』誌は、小田さんは今回お休み(理由は知っている…)で、野沢さんの記事だけだった。野沢さんの今月号のお話はファインダーの話。双眼鏡の片方のような形の12倍70oの単眼鏡をファインダーに使って、たいへんよい結果を得ているという内容だった。そして、文中に出てくる「宮崎師匠」の望遠鏡とはこちらのことである。
  しかも、宮崎師匠が長年愛用していたという「単眼鏡」とは、私がはじめて買った双眼鏡であるペンタックスの7倍50oの片割れというか、慣れの果てである。

  まるで自分のことが書かれているような気がする楽しい記事だったので、いい気になって、チョットエピソードを付け加えさせていただいた。



惑星勢ぞろい(2)
2004.04.08

  まずは、3.28の写真と今日の写真を見比べていただきたい。すばると金星の位置関係が逆になっていることにお気付きだろう。
  実はすばると金星は、今月の3日前後に最接近を果たしている。でも、ちょうど用事がはいって撮影の機会を失ってしまい、「金星=美の女神ビーナス」と、「すばる=プレアデス=美しい七人姉妹」の世紀の会合を写真に収めることはできなかった。

  写真をクリックすると大きな写真が見られるが、3.28のものに比べると、金星が大きく写っているように見えると思う。これは、デヒュージョンフィルターという、ソフトに写る効果のあるフィルターを使ったためで、星座の写真などでも愛用している。



細いお月様
2004.04.21

  早めに残業を切り上げて外に出ると、西の空に細いお月様がかかっていた。3月30日に「東方最大離隔」つまり太陽の東(向かって右)にいちばん離れて見え、来月5月2日には最も明るくなる金星は、そのお月様のはるか上空に輝いている。
  また、明後日(4月23日)夕方の空には、お月様のそばに金星、火星、土星の3大惑星が輝くという、なかなか楽しい天体ショーを見ることができる。

  写真は、細いお月様を200o望遠レンズで撮影、トリミングしたものである。露光を間違えてあまりハッキリしないが、細い輝きの部分の反対側がうっすらと見えているのが分かると思う。お月様から見た地球は、ちょうどこの反対、暗い部分が輝いて見えているはずだ。



惑星勢ぞろい(3)
2004.04.25

  一昨日から狙っていた「惑星とお月様の集合写真」だが、いろいろあってやっと今日何とか撮影ができた。
  高いところからお月様と土星が並んで光っていて、ずっと下がって火星。火星の横に同じくらいの星が光っているが、これはぎょしゃ座のγ星で2等星である。去年の夏から秋には夜空に君臨していた火星だが今は見る影もない。そしていちばん低いところに明るく輝いているのが金星。右の写真は昨日の金星である。
  金星は地球のすぐ内側を回っていて、大きさも地球とほぼ同じという兄弟のような惑星だ。内側を回っているため地球から見るとお月様のように満ち欠けをする。そして今年の6月8日の午後、地球と太陽の間に入りこみ、太陽の表面を通過する「太陽面経過」という現象が見られる。これは、日本では130年ぶりという珍しい天体ショーだ。




彗星の如く!
2004.04.30

  この日曜日(25日)頃から、彗星界ではチョットしたパニックが起こっている。明け方の空に長い尾をたなびかせた彗星が現れたからだ。
  今年の連休あたりから、「明るいふたつの彗星が同時に見える」といったニュースを聞いている人も多いと思うが、今騒がれている彗星はこれとはまったく別の彗星で、先月の下旬、オーストラリアの有名な彗星観測家ブラッドフィールド氏が肉眼で発見したものだ。ちなみにブラッドフィールドさんが発見した新彗星は今度で18個目。私の記憶が正しければ人間では世界最多の新彗星発見記録保持者だ。(2位は日本人の本田実氏=故人)
  このブラッドフィールド彗星は、軌道が非常に太陽に近づくタイプの彗星であったため、突然現れ、急激に明るくなり、あっという間に去っていくと言うパターンを踏んでいるのが特徴だ。よく、突然現れて有名になった人を「彗星の如く登場した…」と表現されるが、望遠鏡がなかった昔、このようなタイプの彗星は人々をびっくりさせてきたのでこんな言われ方をされるようになっているのだ。

  ところで、のんきな私はこの騒ぎを聞いて対応したのは、やっと水曜日の朝。しかも、肉眼では確認できず、闇雲に撮った写真に写っていただけと言う情況だ。関係のサイトをご覧頂けば、どれほどのものか御想像頂けると思うが、実際は、これは「写真の威力」。肉眼で見るにはチョット難しく、最低でも双眼鏡が必要だと思う。

  写真は28日早朝撮影。クリックすると大きな画像が見れる。写真中央の上の方にまっすぐ上に尾をひいた姿がお分かり頂けるだろうか?。また、このあとは29日も30日も雲に邪魔されて確認できないでいる。



相合い傘の木星とお月様
2004.04.30

  夜帰宅して空を見たら、お月様にきれいな笠がかかっていた。そのお月様のそばには木星が光っていて、ちょうど相合い傘で歩いているといった風情である。
  もちろんギリシャ神話では、月は女神アルテミス。木星は神々の王ゼウスであり、アルテミスの父親なので、ここは、久しぶりに父と娘が水入らずで語り合っている姿と見たい。
  年頃の娘から見た父親は、洗濯物も一緒にされたくないくらい何か汚らしく見えるものらしいが、父親にとって、娘は多少の憎まれ口を叩かれても不思議に可愛いもの。お月様と木星の相合い傘は、チョット淋しい父親の願望と重なっていた。



第22回 星空の音楽会 in 星の里
2004.05.06

  5月連休の前半は、今年も秩父登谷山で開催されている『星空の音楽会 in 星の里』に参加した。
  この星祭り、日本で一番古い(長く続いている)星祭りで、今回で22回を数える。
  しかし、今年は大変なピンチに見舞われ、数日前まで開催すら危ぶまれていたのだ。なんと、会場の持ち主である牧場が閉鎖され、これまで何気なく利用していたお客さん用のトイレや水道が使えなくなってしまっていたのである。実行委員の必死の働きかけに牧場主が動いてくれ、連休中だけトイレと水道、そしてソフトクリーム屋さんが出店してくれて、無事開催の運びとなったが、まさに間一髪という情況だった。おかげで参加者数はかなり減ってしまい、いつもは満杯になる駐車場もゆったり望遠鏡を広げられる状態だった。

  ところで、今年は昨年の石川町スターライトフェスティバルで知り合って以来、なにかと御一緒する機会の多い「ガレージKATO」の加藤さんと「北軽井沢観測所」の大久保さん、そしてお仲間でNinja400のオーナーである石田さんに声をかけ、参加していただいた。
  それぞれが持ち寄った望遠鏡は、加藤さんが空気望遠鏡『OAT−78』、大久保さんが20cmF10反射望遠鏡、石田さんが40cmドブソニアン『Ninja400』、で、私は『ウラヌス号』という戦前の民生用望遠鏡だった。さらに、これに主催者の一人で現地に観測所『銀河』をかまえている岩崎さんの25cmF6反射赤道儀が加わって、個性あふれる望遠鏡による、なんとも不思議で、ワクワクする星見と望遠鏡談義に夜のふけるのを忘れてしまっていた。

  写真は、左が加藤さんの空気望遠鏡『OAT−78』と、右が私の『ウラヌス号』。大久保さんと石田さんのは、話に夢中になって撮りそこなってしまった。ゴメン!。望遠鏡の見え味や観望の様子などは、リンクした皆さんのページをご覧いただきたい。



ニート彗星
2004.05.11

  今世間を騒がせている「二大彗星」のうちにひとつニート彗星をようやく写真に収めることができた。
  と言っても、薄雲を通しての撮影で、強力な画像処理をしてやっとこの程度に「尾」を出すことができた次第である。
  予報では今頃が明るさのピークと言うことなのだが、そうだとすると肉眼で見えるのはよほど澄んだ空が必要になると思われる。でも双眼鏡を使えば簡単に見つけることができるので、ひとつ挑戦していただきたい。
  また、もう一方のリニヤ彗星は、今月20日過ぎ、日が沈んだ後の西の空に見え始める。こちらはもうちょっと明るくなると言われているが、やはり楽に見るには双眼鏡が必要だろう。ただし、彗星は突然に明るくなることがあるので注意が必要だ。

  写真をクリックすると大きな像が見れる。180o望遠レンズで30秒露光したものを3枚コンポジットした。



奇蹟のような好天
2004.05.30

  今月末から父島から千葉県の実家に帰省中の「Ogasawara Sky たびんちゅ」のよっしーさんを、高精度なことで定評のある「Ninja」というドブソニアン式望遠鏡の試用をしてもらうため、美和村美スタ―天文台にご案内した。
  「Ninja」を見せてくれるのは「星ナビ」誌に「ニンジャ320」という記事を執筆中の栃木県の野沢さん
  天文台には早く着いたので、定例の一般観望会の解説のお手伝いをして時間を過ごした。よっしーさんには得意のウクレレの演奏と父島の星空や海、鯨などについてお話をして、お客さんをウットリさせてくれた。実は、天気予報では星見は絶望的だったのに、薄雲は掛かりながらも兎に角「晴れ」。この日のお客さんは本当に幸運だったと思う。
  お客さんが帰った後、仕事を終えてかけつけてくれた野沢さんに、さっそくNinjaを見せてもらった。薄雲のなかでお月様や木星、明るい二重星などを接眼レンズを色々換えて眺め、よっしーさんはNinjaの性能を一つ一つ確かめておられた。
  ひととおり「星見」もすんで、チョットそばを茹でておなかに納め、野沢さん自慢のひきたてのコーヒーを御馳走になりながらおしゃべりした後、「さあ帰ろう」と天文台を出た野沢さんがすぐに舞い戻ってきた。「なんか、晴れてますよ」。「ええっ、嘘。もう降り出してもおかしくないのに!」とおもてに出ると真っ暗。目の暗順応が追いつかないほどの暗さ。しばらくして目が慣れると、なんと!お月様が沈んで、空には天の川が南中しているでは。しかも、微風のおかげで出しっぱなしだった望遠鏡にほとんど露がついていない!!!。
  3人が、こんどは銀河の中の星雲星団めぐりに夢中になったことは言うまでもない。結局、夜が明けて最後の星が消えるまで星見を続け、野沢さんは一睡もしないまま仕事に。私とよっしーさんは仮眠をして帰宅した。
  月や惑星から天の川まで、望めるものは全て見ることができて、よっしーさんは本当にラッキーな人だし、野沢さんと私はたっぷりそのおこぼれが頂戴でき、これまたラッキーな一晩だった。

  ところで、この晩の「収穫」だが、よっしーさんはアルビレオのそばに100倍くらいで見てちょうど良い小さな「北斗七星」そっくりの星の並びを発見。また、野沢さんは、30cmクラスで星の微妙な色の違いを比べて楽しむ「大人の楽しみ」を発見したりと、それぞれに「収穫」も多い夜でもあったことを付け加えたい。

  写真は、全く予想外で見えた銀河に喜んで、デジカメであわてて撮った一枚。30秒露出。








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