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楚人謠
          

                         
         『古詩源』古逸

楚雖三戸,
亡秦必楚。


    **********************
        楚人の謠
   
楚は  三戸と 雖も,
秦を 亡すものは  必ず 楚ならん。


             ******************

◎ 私感訳註:

※楚人謠:『古詩源』卷一「古逸」の中にある。楚は僅かな人であっても、秦を亡ぼすものは、きっと楚にちがいない。秦に対する楚の怨みは骨髄に徹しているのだから。これは、『史記』の楚南公の言辞、「楚は三戸と雖も秦を亡すは必ず楚なり」に基づいている。『史記巻七・本紀第七』に「…范掾C…往説項梁(項羽のおじ。秦の章邯と戦い、敗死した人物)曰:『陳勝敗固當。夫秦滅六國,楚最無罪。自懷王入秦不反,楚人憐之至今,故楚南公曰:『楚雖三戸亡秦必楚』也。今陳勝首事,不立楚後而自立,其勢不長。今君(項梁のこと。以下同じ)起江東,楚蜂午之將皆爭附君者,以君世世楚將,爲能復立楚之後也。』」とある。この句に基づいて陸游が『金錯刀行』「黄金錯刀白玉裝,夜穿窗扉出光芒。丈夫五十功未立,提刀獨立顧八荒。京華結交盡奇士,意氣相期共生死。千年史冊恥無名,一片丹心報天子。爾來從軍天漢濱,南山曉雪玉。嗚呼,
楚雖三戸亡秦,豈有堂堂中國空無人。」を作っている。
※楚雖三戸:楚は僅かな人(だけになった)としても。 ・楚:戦国の七雄の一。拡張してくる秦に亡ぼされた。 ・雖:…ではあるが。…と いえども。 ・三戸:ここでは、わずかな民の数の謂で使われている。 ・戸:家を数える。
※亡秦必楚:秦を亡ぼすものは、(やはり)きっと楚にちがいない。 ・亡秦:秦の国を亡ぼす。 ・必:きっと。かならずや。 ・楚:楚の国。



◎ 構成について

韻式は「bb」。韻脚は 「戸楚」。次の平仄はこの作品のもの。

●○○●,(韻)
●○●●。
(韻)
2004.3.20

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