huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye




金錯刀行
            

            
        宋 陸游

黄金錯刀白玉裝,
夜穿窗扉出光芒。
丈夫五十功未立,
提刀獨立顧八荒。
京華結交盡奇士,
意氣相期共生死。
千年史冊恥無名,
一片丹心報天子。
爾來從軍天漢濱,
南山曉雪玉嶙峋。
嗚呼,楚雖三戸能亡秦,
豈有堂堂中國空無人。


    **********************

      金錯刀行
          


黄金の錯刀  白玉の裝,
夜 窗扉を 穿ちて  光芒を 出だす。
丈夫 五十  功 未だ立たずして,
刀を 提げ 獨り 立ちて  八荒を 顧りみる。
京華に 交を結ぶは  盡く 奇士,
意氣 相ひ期すに  生死を 共にせん。
千年の 史冊に  名の無きを 恥づ,
一片の 丹心  天子に 報ふ。
爾來 從軍す  天漢の 濱,
南山の 曉雪  玉 嶙峋
(りんじゅん)たり。
嗚呼,楚は 三戸と 雖も  能く 秦を 亡す,
豈に 堂堂の中國  空しく人の無きこと 有らんや。


             ******************

私感訳註:

※金錯刀行:金錯刀の詩。黄金の象嵌の刀。黄金造りの刀。 ・…行:楽府の題、歌行につけたもの。「…の歌」「…の詩」。

※黄金錯刀白玉裝:黄金の象嵌の刀身に、白玉の鞘飾り。 ・黄金錯刀:黄金の象嵌の刀。黄金造りの刀。金錯刀。夷狄を征伐する節刀として表現されている。秋瑾のに詩にも使われている。 ・白玉裝:白玉のつくり。白玉の鞘飾り。

※夜穿窗扉出光芒:夜になると窓やとびらを通り抜けて、光を放っている。 ・穿:つらぬく。通り抜ける。うがつ。 ・夜穿窗扉:夜になると窓やとびらを通り抜けて。 ・窗扉:窓ととびら。 ・光芒:〔くゎうばう;guang1mang2○○〕尾をひく光のすじ。南宋・陸游の『隴頭水』に「隴頭十月天雨霜,壯士夜挽綠沈槍。臥聞隴水思故鄕,三更起坐涙數行。我語壯士勉自強,男兒堕地志四方。裹尸馬革固其常,豈若婦女不下堂。生逢和親最可傷,歳輦金絮輸胡羌。夜視太白收
光芒,報國欲死無戰場。」とある。なお、現代では文革期に毛沢東思想の形容に「光芒万丈」 は、よく使われた。

※丈夫五十功未立:一人前の男が五十歳にもなって、(これも天命なのか)未だに功を立てていない。 ・丈夫:〔じゃうふ;zhang4fu1●○〕一人前の男。 ・五十:五十歳。天命を知る年齢。『論語・爲政篇』「子曰:吾十有五而志乎學,三十而立。四十而不惑,
五十而知天命。六十而耳順,七十而從心所欲,不踰矩。」  ・功未立:功績が未だに立てられていない。

※提刀獨立顧八荒:刀を手に持って、ひとり立って、天地の間を顧みる。 ・提刀:刀を手に持って。刀を携えて。 ・提:手にさげる。 ・獨立:ひとり立つ。ひとりたたずむ。 ・八荒:八方のはて。地の果て。八垠。転じて、世界。天地。魏~西晋・張華の『壯士篇』「天地相震蕩,回薄不知窮。人物稟常格,有始必有終。年時俯仰過,功名宜速崇。壯士懷憤激,安能守虚沖。乘我大宛馬,撫我繁弱弓。長劍橫九野,高冠拂玄穹。慷慨成素霓,嘯咤起淸風。震響駭
八荒,奮威曜四戎。濯鱗滄海畔,馳騁大漠中。獨歩聖明世,四海稱英雄。」 とある。前出・陸游の『隴頭水』の「我語壯士勉自強,男兒堕地志四方。」に同じ。

※京華結交盡奇士:みやこでのつきあいは、皆一風変わった人物ばかりである。 ・京華:京。花の都。帝都。ここでは、臨安(現・杭州)を指している。開封府ではない。 ・結交:つきあう。交際する。侠客と交わる場合によく使われる。宋の賀鑄『六州歌頭』「少年侠氣,
交結五都雄。肝膽洞,毛髮聳。立談中,生死同,一諾千金重。推翹勇,矜豪縱,輕蓋擁,聯飛, 斗城東。轟飮酒,春色浮寒甕。吸海垂虹。閒呼鷹嗾犬,白羽摘雕弓,狡穴俄空。樂怱怱。」 王昌齢『少年行』「走馬遠相尋,西樓下夕陰。結交期一劍,留意贈千金。高閣歌聲遠,重門柳色深。夜闌須盡飲,莫負百年心。」や沈彬の『結客少年場行』「重義輕生一劍知,白虹貫日報讎歸。片心惆悵清平世,酒市無人問布衣。」などがある。 ・盡:ことごとく。 ・奇士:奇人。風変わりな人。ここでは壮士のことをいう。

※意氣相期共生死:意気投合して、生死を共にすることを誓い合った。 ・意氣:正義感、義侠心、男気。義理堅い。 ・相期:あい期す。 ・共生死:生死を共にする。前出・賀鑄『六州歌頭』「生死同,一諾千金重。」、前出・沈彬『結客少年場行』「重義
輕生一劍知,白虹貫日報讎歸。」の表現に同じ。

※千年史冊恥無名:悠久の歴史の記録に、名を留めていないのを恥じる。 ・千年:千年。長い年月。悠久の歴史。 ・史冊:歴史の記録。歴史書。論功定封に用いた丹冊。 ・無名:無名である。手柄を立てていない。

※一片丹心報天子:ひたむきな真心で天子にこたえる。 ・一片:満腔の、胸一杯の。また、一面(の)。ひとしきり。ここでは、前者の意。唐・王之煥の『涼州詞』に「黄河遠上白雲間,一片孤城萬仞山。羌笛何須怨楊柳,春風不度玉門關。」があるがこれは、後者の用例に合致する。後世、日本の吉村寅太郎は『舟到由良港』で「囘首蒼茫浪速城,篷窗又聽杜鵑聲。
丹心一片人知否,不夢家鄕夢帝京。」と使う。 ・丹心:〔たんしん;dan1xin1○○〕まごころ。赤誠。赤心。丹情。丹誠。ひたむきな真心。宋・包拯の『拒壽禮』「鐵面無私丹心忠,做官不可念叨功。操勞本是内事,拒禮爲開廉潔風。」や、宋末・文天祥の『過零丁洋』「辛苦遭逢起一經,干戈寥落四周星。山河破碎風飄絮,身世浮沈雨打萍。惶恐灘頭説惶恐,零丁洋裏歎零丁。人生自古誰無死,留取丹心照汗靑。」、前出・文天祥『江月』の「鏡裏朱顏都變盡,只有丹心難滅。去去龍沙,江山回首,一綫青如髮。」がある。 ・報天子:天子にむくいる。天子にこたえる。君王の皇恩に(感謝して)こたえる。唐・張巡の『守睢陽作』に「接戰春來苦,孤城日漸危。合圍侔月暈,分手若魚麗。屡厭黄塵起,時將白羽揮。裹瘡猶出陣,飮血更登陴。忠信應難敵,堅貞諒不移。無人天子,心計欲何施。」とある。

※爾來從軍天漢濱:それより後は、天の川(のような漢水)の畔に従軍した。 ・爾來:近来。それより後。 ・從軍:従軍する。 ・天漢濱:天の川のほとり。漢水の畔。天漢は、本来天の川。天の川のような漢水の畔。「黄河遠上白雲間」や「唯見長江天際流」などと、中国の大河は遙か天に連なっている。 ・濱:『詩経』小雅(『左傳・昭公』、『孟子・萬章上』、『荀子・君子』、『韓非子』、『呂氏春秋』)にある「普天之下,莫非王土;率土之
,莫非王臣。」の意でもある。

※南山曉雪玉嶙峋:朝の光に輝いている終南山の雪の嶺々は、玉のように(雪が美しく輝いて)重なり連なりあっている。 ・南山:長安南郊の終南山を指す。 ・曉雪:朝の光に輝いている雪。 ・嶙峋:(りんじゅん;lin2xun2○○)山々が重なり連なって、奥深いさま。崖の深いさま。玉嶙峋:玉のように(雪が美しく輝いている)山々が重なり連なって。

※嗚呼楚雖三戸能亡秦:ああ、楚は僅かな人であっても、秦を亡ぼすことができる。秦に対する怨みは骨髄に徹しているのだから。『古詩源』巻一「古逸」に「楚雖三戸,亡秦必楚。」がある。これは、『史記』の楚南公の言辞、「楚は三戸と雖も秦を亡すは必ず楚なり」に基づいている。『史記巻七・本紀第七』に「…范增,…往説項梁(項羽のおじ。秦の章邯と戦い、敗死した人物)曰:『陳勝敗固當。夫秦滅六國,楚最無罪。自懷王入秦不反,楚人憐之至今,故楚南公曰:『楚雖三戸亡秦必楚』也。今陳勝首事,不立楚後而自立,其勢不長。今君(項梁のこと。以下同じ)起江東,楚蜂午之將皆爭附君者,以君世世楚將,爲能復立楚之後也。』」とある。ここでは楚とは、南宋を意味し、秦は金のことをいっている。「我が祖国・南宋は、小なりと雖もまた以て亡秦の楚たりうるもので、必ずや金を覆滅せん!」ということ。 ・嗚呼:ああ。 ・楚:罪無くして、秦に亡ぼされた国の名。その国民が秦を怨んでいることに基づく。その後の西楚覇王の項羽の故国でもある。戦国七雄の一。戦国時代後期、秦は六国を統一した際、楚は前223年に亡ぼされている。 ・雖:いえども。…であはあるが。 ・三戸:僅かな人。少数でも。 ・能:よく。できる。 ・亡秦:秦を亡ぼす。

※豈有堂堂中國空無人:どうしてこのれっきとした中華の地に(国難に赴く)その人物がいないということがあろうか。きっとある。 ・豈:あに…や。どうして…か。反語。 ・堂堂:堂々とした。れっきとした。南宋・陳亮の『水調歌頭』「送章德茂大卿使虜」には「不見南師久,漫説北羣空。當場隻手,畢竟還我萬夫雄。自笑
堂堂漢使,得似洋洋河水,依舊只流東。且復穹廬拜,會向藁街逢。   堯之都,舜之壤,禹之封。於中應有,一個半個恥臣戎。萬里腥如許,千古英靈安在,磅幾時通。胡運何須問,赫日自當中。」とある。 ・中國:中国の本土。中心地。正州。中原。中つ国。固有名詞ではない。中華書局版の標点本の「二十四史」には、どの巻でも漢、楚、魏、呉等の固有名詞に引かれる傍線が「中国」には引かれていない。 ・空:むなしく。 ・無人:人物がいない。





◎ 構成について
   換韻。韻式は「AAAbbbCCCC」。 韻脚は「裝芒荒 士死子 濱秦人」で、A:下平七陽で、b:上声四紙、去声四寘で、C:上平十一真。この作品の平仄は次の通り。

    ○○●○●●○,(A韻)
    ●○○●●○○。(A韻)
    ●○●●○●●,
    ○○●●●●○。(A韻)
    ○○●○●○●,(b韻)
    ●●○○●○●。(b韻)
    ○○●●●○○,
    ●●○○●○●。(b韻)
    ●○●○○●○,(C韻)
    ○○●●●○○。(C韻)
    ○○,●○○●○○○,(C韻)
    ●●○○○●○○○。(C韻)

2001.11.13
     11.14完
     11.19補
2002.12.23
2004. 3.20
2006. 1.14

漢詩 唐詩 漢詩 宋詞 漢

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