huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye



李淸照詞
李清照
  一翦梅

紅藕香殘玉簟秋。
輕解羅裳,
獨上蘭舟
雲中誰寄錦書來,
雁字回時,
月滿西樓。


花自飄零水自流。
一種相思,
兩處閑愁。
此情無計可消除,
才下眉頭,
却上心頭。

    **********************


      一翦梅

紅き藕
(はす)の 香は 殘(すた)る  玉簟の 秋。
輕やかに  羅裳を解
(あ)げ,
獨り  蘭舟に 上る。
雲中 誰か  錦書を 寄こして 來
(きた)る,
雁字 回
(かへ)る時,
月は  西樓に 滿つ。


花 自
(おのづか)ら 飄零して  水 自ら 流る。
一種の 相思は,
兩處 閑愁す。
此の情 消し除く 可
(べ)き  計(すべ) 無し  ,
(やうや)く 眉頭(みけん)を  下(くつろげ)しも,
却って  心頭に上す。

             ******************


私感訳注:

※一翦梅:詞牌の一。双調。六十字。平声一韻到底。詳しくは下に示す。この作品の韻式は「AAA AAAA」。この作品は、初期の作品なので、他の詩詞や諺・成語の影響が大きい。唐・温庭筠の『瑤瑟怨』「冰簟銀床夢不成,碧天如水夜雲輕。雁聲遠過瀟湘去,十二樓中月自明。」と、趣は似ている。

※紅藕香殘玉簟秋:赤いハスの花の香りもすたれてきて、(時季が移り去り、たかむしろの椅子が冷たく感じられる)秋となった。 ・紅藕:赤い蓮の花。藕:レンコン、ハスの花。ここでは後者。藕は主として、レンコン(蓮根)の意で広く使われるが、レンコンには赤い色が着いていたり、香りを云々するようものはない。ここでは花を指している。これは、第一句二字目が仄・
にすべきところで、ハスの意味の仄字は:「藕」しかない。(平)では、「荷」「蓮」「芙(蓉)」「蕖」等がある。それ故「藕」を使った。  ・香殘:夏に咲いた赤い蓮の花の香りも すたれ。 まだ夏に咲いた蓮の花の香りが微かに残っている。 ・玉簟秋:夏物の竹製の敷物が冷たく感じられる秋。 ・簟:たかむしろ。竹や葦の葉を編んで作ったむしろ。夏の調度。玉簟竹で作っているので、光沢や堅さ、冷たさから「玉」の美称が使われている。

※輕解羅裳:夏物の衣裳を軽やかに脱ぎ。 ・解:とく。ほどく。ぬぐ。わかれる。ここは、古代の別離の風習である「羅帯を贈る」ということか。そうすれば「輕解羅裳,獨上蘭舟」は、旅支度ともとれる。或いは、「とく」「ほどく」「ぬぐ」と取り、軽やかにうすぎぬのもすそを脱ぐ、衣類を改めることで、「輕やかに (夏物の)羅裳を 解く」となる。秋の気配が漂う季節の変わり目なので、夏物の羅裳を脱ぐこと。また、「獨上蘭舟」のための動作、裳裾を持ち上げる、という具合にもとれる。別離を云うのか、季節の移り変わりを云うのか。 ・羅裳:うすぎぬの もすそ。輕解羅裳:秋の気配が漂ってきたので、夏物の羅裳を軽やかに脱ぎ。或いは、軽やかにうすぎぬの裳すそを持ち上げ。或いは、軽やかにもすその前を割って(舟に乗る)。羅裳、または裙の前が割れるのか、劇映画『楊家将』を見て確かめたが、どうも前は割れないようだ。劉長卿の『滴仙怨』「晴川落日初低,惆悵孤舟解携。…」

※獨上蘭舟:(お連れの愛しい人もなしに)独りで舟にのる。 ・獨上:独りで(舟に)のる。 ・蘭舟:舟。木蘭(モクレン:香木)の舟。蘭は美称で、実際に木蘭(モクレン)でできた舟とは限らない。舟を表す一種の詞語。李白の『江上吟』「
木蘭之枻沙棠舟,玉簫金管坐兩頭。美酒尊中置千斛,載妓隨波任去留。仙人有待乘黄鶴,海客無心隨白鴎。屈平詞賦懸日月,楚王臺空山丘。興酣落筆搖五嶽,詩成笑傲凌滄洲。功名富貴若長在,漢水亦應西北流。」や、北宋・柳永の『雨霖鈴』「寒蝉淒切,對長亭晩,驟雨初歇。都門帳飮無緒,留戀處,蘭舟催發。執手相看涙眼,竟無語凝噎。念去去千里煙波,暮靄沈沈楚天闊。   多情自古傷離別,更那堪、冷落清秋節。今宵酒醒何處?楊柳岸、曉風殘月。此去經年,應是良辰好景虚設。便縱有千種風情,更與何人説。」とある。

※雲中誰寄錦書來:雲の中からいったい誰が手紙を届けてくれるのか。 ・雲中:手紙を運ぶと謂われる、雲中のガンを指す。 ・寄…來:(手紙を)寄こしてくる。 ・錦書:手紙。手紙の美称。ここでは夫・趙明誠からのたよりを指す。 ・誰寄錦書來:雲の中の誰が手紙を届けてくれるのか。夫からの便りがなことへの思いをいう。

※雁字回時:字のように並んで飛ぶ雁の群が戻っていくとき。  ・雁字:「人」字や「一」字に並ぶ雁の群。日本風に謂えば「ゝ」(鈎)や「丨」(竿)に並んでいる雁の群。「字」は手紙を届けることと結びつけるために使っている縁語ともいうべき用例。

※月滿西樓:月が、わたしのすむ西楼に大きく満ちて一杯に見える。西楼は女性の部屋をもいう。「月満」で満月の意が白話ではあるが、ここでは違う。この句は、夏寶松の『宿江城』「雁飛南浦砧初斷,月滿西樓酒半醒。」からきていよう。秋、落日の方向・西は、寂しい響きがある。西楼、西窗等、西…はは、李煜の『烏夜啼』「無言獨上
西樓,月如鈎。寂寞梧桐深院 鎖淸秋。」や韋荘の『荷葉杯』「記得那年花下。深夜。初識謝娘時。   水堂西面畫簾垂。攜手暗相期。惆悵曉鶯殘月。相別。從此隔音塵。如今倶是異鄕人。相見更無因。」、宋・王安石の『桂枝香』金陵懷古「登臨送目,正故國晩秋,天氣初肅。千里澄江似練,翠峰如簇。歸帆去棹殘陽裡,背西風酒旗斜矗。彩舟雲淡,星河鷺起,畫圖難足。   念往昔,繁華競逐。嘆門外樓頭,悲恨相續。千古憑高,對此漫嗟榮辱。六朝舊事隨流水,但寒煙衰草凝綠。至今商女,時時猶唱,後庭遺曲。」朱敦儒の『相見歡』「金陵城上西樓,倚清秋,萬里夕陽垂地、大江流。   中原亂,簪纓散,幾時收?試倩悲風吹涙、過揚州。」、等、詞によく使われる。女性をことを暗示する場合もある。 但し、豪放詞では、西(西北)は、胡のいる場所になり、敵愾心を燃やす方角となっている。月も現代のイメージとは異なり、太陰であり、華やかなものではない。

※花自飄零水自流:花は、(私の心の動きとは関係なく)いつの間にか自然に散り、女性(花)であるわたしも、落ちぶれてさすらうことになるだろう。それに対して川の流れ(も私の心の動きとは関係なく)、変わることなく悠々と流れ去っていき、時も移り過ぎてゆく。散りゆく花(わたし)、去りゆく川(あなた)。劉長卿に『重送裴郎中貶吉州』「猿啼客散暮江頭,傷心水自流。同作逐臣君更遠,靑山萬里一孤舟。」 があり、唐彦謙に『金陵懷古』「碧樹涼生宿雨收,荷花荷葉滿汀洲。登高有酒渾忘醉,慨古無言獨倚樓。宮殿六朝遺古跡,衣冠千古漫荒丘。太平時節殊風景,青青水自流。」がある。 ・花自飄零:花は、(私の心とは関係なく)自然に散っていく。「花」はまた、彼女自身の事でもあり、わたしは、落ちぶれてさすらう、にもなる。 ・自:人の感情とは関係なく。おのずと。 ・飄零:(花や葉が)散る。(人が)落ちぶれていく。零落して、彷徨う。 ・水自流:(川の)水は、自然に流れ去る。「水」は天地・自然でもあり、流水は、移りゆく時間、過ぎ行く年、流年でもある。「花」を李清照ととったのなら、「水」は勿論、夫の趙明誠ととってもよかろうが、思い込みすぎである。

※一種相思:ひとつの愛慕。 ・一種:一種類の。一縷の。同一の。白居易の『雨夜憶元九』に「天陰一日便堪愁,何況連宵雨不休。
一種雨中君最苦,偏梁閣道向通州。」や、白居易『戲題新栽薔薇』「移根易地莫憔悴,野外庭前一種。少府無妻春寂寞,花開將爾當夫人。」とある。  ・相思:思いやる。愛情。「相」字は「相互に」の意もあるが、ここは、相思相愛では、意味が繋がらない。

※兩處閑愁:双方が空しく愁える。 ・閑愁:空(むな)しく愁える。 *「一種相思,兩處閑愁」:一つの側の愛慕の念に、離れて居る双方には空しく愁えている。

※此情無計可消除:この思いは、どうしても消し去ることができない。 ・此情:この思い。 ・無計:すべがない。 ・可:とすることができる。 ・無…可:ことができない。 ・消除:(白話)(徐々に)取り除く。なくす。

※才下眉頭:やっとのことで(寄せていた)眉根を拡げて(外見上)落ち着いてきたが。 ・才:(白話)やっと。やっとのことで。 ・下眉頭:(寄せていた)眉間を拡げる。落ち着くことをいう。眉頭:(白話)みけん。

※却上心頭:(今度は)かえって、深く心の内に(こだわりが)生まれてきた。 ・却:…と雖も。譲歩複文の正句に付く。ぎゃくに。かえって。 ・上心頭:心に のぼす。気にかかる。心頭:(白話)胸の内。心の中。 *「才下眉頭,却上心頭」:外見上、ようやく落ち着いたように見えても、今度は、かえって、深く心の内に(こだわりが)生まれてきた。





◎ 構成について
  双調。六十字。 脚韻は、平声韻一韻到底。韻式は「AAAAAA AAAAAA」。この作品は異体で、韻式は「AAA AAAA」。韻脚は「秋舟樓 流愁頭頭」で、第十二部平声。第二句と第三句、第五句と第六句は対にする。また、その四字句の三字もしくは二字は、同一のものを使う。
 異体に第二,第五句は押韻しない、また、必ずしも対にしなくともよい、のがある。この作品は、その異体。但し、下片第五句は押韻している。

   ●○,(韻)
   ●○○。
(韻)
   ●○○,(韻)
   ●●○○。(韻)
   ●○○,
(韻)
   ●○○。(韻)



   ●○,(韻)
   ●○○。
(韻)
   ●○○,(韻)
   ●●○○。(韻)
   ●○○,
(韻)
   ●○○。(韻)

2001.3.18
     3.19完
     3.20補
     3.21
     6.11
     8.27
     9. 2
    12. 1
2002.6.21
    11.12
2007.3.24
2011.2.28
2019.3.23

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