少年易老學難成, 一寸光陰不可輕。 未覺池塘春草夢, 階前梧葉已秋聲。 |
偶成詩******************
少年 老い易(やす)く 學 成り難(がた)し,
一寸の 光陰 輕んず 可(べ)からず。
未だ覺めず 池塘 春草の夢,
階前の 梧葉は 已(すで)に 秋聲。
少年 | 易老 | |
學 | 難成 |
※一寸光陰不可軽:わずかな時間軽んじててはいけない。・一寸:わずかな量のこと。陶潛の「雜詩十二首」に「…氣力漸衰損,轉覺日不如。壑舟無須臾,引我不得住。前塗當幾許,未知止泊處。古人惜寸陰,念此使人懼。」とある。蛇足になるが、おそらくこの句から生まれたであろう諺に“一寸光陰一寸金”(「時は金なり」)というのがある。 ・光陰:時間の経過をいう。 ・不可:…ことはできない。…てはいけない。不可能の表現、禁止の表現。
※未覚池塘春草夢:池の堤に春草の萌える頃、楽しくまどろんでいた(ばかりなのに)。 ・未覺:まだ目覚めていない。 ・池塘:池の堤。 ・春草夢:(池の堤に)春草の萌える頃、楽しくまどろんだ(はかない)夢。
※階前梧葉已秋声:(時間はあっという間に経過して、)もう秋の気配がしのびよっている。歳月は、素速く過ぎ去ってゆくことをいう。漢樂府『長歌行』の「陽春布コ澤,萬物生光輝。常恐秋節至,焜黄華葉衰。」とある。 ・階前:きざはしの前の。階段の前。中国の建物は土間で、床が少し高くなっており、部屋の入り口の前は二、三段の階段があり、その前を云う。日本風に謂えば、「入り口の外」
「部屋の外」「庭先」「玄関先」という雰囲気。 ・梧葉:アオギリの葉。「梧桐」は物事の凋落を表す時に使う常套表現。 ・已すでに。とっくに。 ・秋聲:秋の風音をたてている。秋の気配になる。
2002. 8.13完 12.11補 2003. 7.17 2010.10.20 |