絶命詞
秋雨
秋風愁煞人!
******
絶命詞
さつ
秋雨 秋風 人を 愁煞す!
**********
私感注釈
※秋雨秋風:ここの文字の部分が王燦芝編の「秋瑾女侠遺集」(1929年刊)では、 逆になり、「
秋風秋雨愁煞人
」 となっている。他の『秋瑾集』は、始めに掲げた通りの句である。平仄の点からだけ見れば、やはり 「秋雨秋風……」の方がよく、「
●●○○●●○
」に則った「
●○○
●○
」となる。
※愁煞:人の気持ちを愁いの極みにさせる。この「煞」(さつ、sha1)字は、「殺(sha1)」字に通ずる。「忙殺」「笑殺」等の「殺」と同じで、意味を強めるための接尾辞。『古詩源』の古歌に「
秋風
蕭蕭
愁殺人
,出亦愁,入亦愁。」
とあり、『古詩十九首』の十四に「去者日以疏,來者以已親。出郭門直視,但見丘與墳。古墓犁爲田,松柏摧爲薪。白楊多悲風,
蕭蕭
愁殺人
。思還故里閭,欲歸道無因。」
とあり、唐・岑參の『題苜蓿烽寄家人』に「苜蓿烽邊逢立春,胡蘆河上涙沾巾。閨中祇是空思想,
不見沙場
愁殺人
。」
とある。この「蕭蕭愁殺人」の「蕭蕭」は吹く風の形容で、燕の刺客・荊軻の『易水歌』にも「風
蕭蕭
兮易水寒,壯士一去兮不復還。」
として使われている。関係は如何。 *この詩について、七忘斎主人
より、「この詩句は清代の詩人・陶澹人の詩句に拠る。」とのことで、陶澹人の『滄江紅雨樓詩集』の『秋暮遣懷』「人生天地一葉萍,利名役役三秋草。秋草能為春草新,蒼顏難換朱顏好。籬前黄菊未開花,寂寞清樽冷懷抱。
秋風秋雨愁煞人
,寒宵獨坐心如搗。出門拔劍壯槃游,霜華拂處塵氛少。朝凌五嶽暮三洲,人世風波豈能保。不如歸去臥糟丘,老死蓬蒿事幽討。」が送られてきた(2011.1.3追記)。
*この詩について:この詩は、秋瑾が捕まり、取り調べで、自供をせまられた時、語ることなく、この七字を書いてその答えとしたという。そして、その後間もなく、処刑された。但し、この詩を本当に秋瑾が作ったのかどうかは、疑問が残るとされる。確かに、この絶命詞は秋瑾の他の詩作とは、趣が違う。但し、秋瑾は「秋」字を集めた詩
をいくつか作っている。
*この詩のところは、次のように書かれている。「………想到革命尚未成功,同志已慘遭殺戮,悲憤交加,愁緒萬千,提筆寫下了“秋風秋雨愁煞人”七個字。…………秋瑾爲了(為了:ために)祖國睡獅的(的:の)覺醒,爲了民族的解放,爲了四萬萬(万万:億)同胞跳出苦海,獻出自己寶貴的生命。
秋瑾視死如歸,英勇就義,精~令人感佩,………。」
紹興には秋瑾の墓地があったが、後に移した。前の墓の後に「風雨亭」が建てられたが(右写真)、その名は「秋風秋雨……」から来ている。
1999.10.25
11.15完
2003. 2.23補
3. 4
9.26
2012. 1. 3(七忘斎主人)
次の詩へ
前の詩へ
秋瑾詩詞メニュー
天安門革命詩抄
毛主席詩詞
詩詞概説
唐詩格律
宋詞格律
詞牌・詞譜
《天安門詩抄》写真集
参考文献(中国社会と文化大革命)
参考文献(毛主席と文化大革命)
わたしの主張
メール
トップ