崔顥長干曲長干行詩詞世界　碇豊長の詩詞：漢詩 cui hao

                         長干曲

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　唐・崔顥

君家何處住，
妾住在橫塘。
停船暫借問，
或恐是同鄕。

　　　
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　　　　　　　　　　　　　　長干曲

君家は　　何處(いづこ)にか　住む，
妾(せふ)は　　橫塘(わうたう)に在りて　住む。
船を停めて　　暫(しばら)く　借問(しゃもん)せん，
或(あるい)は恐らくは　是(こ)れ　同鄕ならんと。

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◎　私感訳註：

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南京市南郊：地図の中心が長干村・長干路

※長干曲：楽府題。長江下流一帯の民歌の称でもある。そのため、竹枝詞

と形式は異なるものの、表現内容はそっくりである。『唐詩選』では『五言絶句・長干行』とする。この作品は四首からなり、これはその第一首になる。第二首はここ

。水辺に生活する男女の問答歌（≒船着場での船旅の行商人と遊女との戯れ言）である。それぞれ男女のどちらの言になるのか、それによって微妙に意味が変わるが、相聞歌には変わりがない。　・長干：地名。現在の江蘇省の省都・南京市の中心部より南南東３０キロメートルのところで、秦淮河の朱雀橋一帯

。船着場での船旅の行商人と遊女との戯れを歌った。

※君家何處住：あなたは、どこに住んでいるのですか。また、あなたの家は、どこにあるのですか。『唐詩選』では「君家住何處」ともする。　・君家：あなた。また、あなたの家。前者の場合「…家」には、人の属性に関する接尾辞で、建物の意はない。文の構成から考えれば前者の意が妥当。　・何處住：どこに住んでいるのか。

※妾住在橫塘：わたしは、橫塘に住んでいます。　・妾：わたし。わらわ。せふ（しょう）。古代の女性の謙譲を表す自称。　・住在-：…に住む。　・在：…に。場所（時間、状況）を表す名詞の前に附く。介詞（前置詞）。…に。…で。…にて。　・橫塘：地名。南京の西南、朱雀橋の下流。もと秦淮に沿って堤を築き、その地にやがて庶民が住みだした。

※停船暫借問：船をとめて、しばし少しおたずねしますが。　・停船：船をとめて。　・暫：しばらく。しばし。・借問：〔しゃもん；jie4wen4●●〕少しおたずねするが。李徳裕に「遠謫南荒一病身，停舟暫弔汨羅人。」

がある。

※或恐是同鄕：もしや、同郷人になるのかもしれませんね、と。　・或恐：ひょっとしたら。もしや…かもしれない。　・或：あるいは。・恐：おそらくは。　・是：これ。…は…である。主語と述語の間にあって述語の前に附き、述語を明示する働きがある。〔A是B：AはBである〕。　・同鄕：同郷人。方言や風体、容貌から判断してのこと。身内に準ずる。

◎　構成について

　韻式は「AA」。韻脚は「塘鄕」で、平水韻下平七陽。次の平仄はこの作品のもの。

○○○●●，
●●●○○。（韻）
○○●●●，
●●●○○。（韻）

２００４．１．２３完
２０１１．３．　１補
２０１７．７．１９