嘲荊卿
劉叉
白虹千里氣,
血頸一劍義。
報恩不到頭,
徒作輕生士。
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。
荊卿を嘲ふ
白虹は 千里の氣,
血頸は 一劍の義。
報恩 頭
(をはり)
に 到らざれば,
徒
(いたづ)
らに 生を輕んずる士を 作らん。
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◎ 私感訳註:
※劉叉:(りゅうさ)唐代の詩人。河朔(現・河北省一帯)の人。
※嘲荊卿:荊軻の行為をわらう。 ・嘲:あざわらう。馬鹿にしてわらう。嘲笑する。 ・荊卿:荊軻を尊敬した呼称。荊軻は、燕太子・丹から秦王・政(後の秦・始皇帝)の暗殺を依頼された刺客。『易水歌』「風蕭蕭兮易水寒,壯士一去兮不復還」
が遺されている。『史記・卷八十六・刺客列傳第二十六』には「太子及賓客知其事者,皆白衣冠以送之。至易水之上,既祖,取道,高漸離撃筑,荊軻和而歌,爲變徴之聲,士皆垂涙涕。又前而爲歌曰:『風蕭蕭兮易水寒,壯士一去兮不復還!』復爲偵゚慷慨,士皆瞑目,髮盡上指冠。於是荊軻就車而去,終已不顧。」とある。
※白虹千里氣:白虹が日を貫くようなことは、幅広い社会現象であって(個人の力では如何ともし難いものである)。 ・白虹:「白虹貫日」のこと。白い虹が日をつらぬくことで、精誠が天に感応して現れることや、兵乱の予兆を謂う。屡々荊軻の義挙を詠うときに使われる。
『戰國策・卷二十五・魏策四・秦王使人謂安陵君』に「唐且曰:『此庸夫之怒也,非士之怒也。夫專ゥ之刺王僚也,彗星襲月;聶政之刺韓傀也,
白虹貫日
;要離之刺慶忌也,蒼鷹撃於殿上。』」に出てくる。魏〜西晋・張華の『壯士篇』に「天地相震蕩,回薄不知窮。人物稟常格,有始必有終。年時俯仰過,功名宜速崇。壯士懷憤激,安能守虚沖。乘我大宛馬,撫我繁弱弓。長劍九野,高冠拂玄穹。
慷慨成
素霓
,嘯咤起C風。震響駭八荒,奮威曜四戎。濯鱗滄海畔,馳騁大漠中。獨歩聖明世,四海稱英雄。」
とある。
但し、曹丕の『黎陽作』の「
白旄若
素霓
,丹旗發朱光。」から来ているとすれば、意気軒昂としているさまになる。
・千里氣:千里をも馳せる雄々しい志。雄図。壮図。ただ、後出「一劍義」と共に考えれば、天気(天の気)、運気、といった個人の力では如何ともし難い気。
※血頸一劍義:首を釁(ちぬ)る行為は、一人の剣士のつくり出す義挙である。 ・血頸:首を血塗る。釁(ちぬ)る。 ・一劍義:一人の剣士のつくり出す義挙。
※報恩不到頭:恩義に報(むく)いるという行為にも、終極がないと。 ・報恩:恩返しをする。恩義に報(むく)いる。 ・到頭:終わり。終極。
※徒作輕生士:いたづらに生命を軽んじる人を作り出すことになる。 *報復に対する報復ということが起こりかねない、ということ。 ・徒作:いたづらに作り出す。無意味に作る。 ・輕生:生命を軽んじる。 ・士:立派な人。
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◎ 構成について
韻式は「aaa」。韻脚は「氣義士」で、平水韻去声四
。次の平仄はこの作品のもの。
●○○●●,(韻)
●○●●●。(韻)
●○●●○,
○●○○●。(韻)
2005.10.22
10.23
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