紫藤掛雲木,
花蔓宜陽春。
密葉隱歌鳥,
香風留美人。
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紫藤樹
紫藤 雲木に 掛(かか)り,
花蔓 陽春に 宜(よろ)し。
密葉 歌鳥を 隱し,
香風 美人を 留む。
◎ 私感註釈 *****************
※李白:盛唐の詩人。
※紫藤樹:藤の木。藤のつるがのびて絡み、紫の花をつけたさまを詠う。
※紫藤挂雲木:紫の花をつけた藤が背の高い木に纏わり付きかかっている。 ・紫藤:紫の花をつける藤。 ・挂:かかる。 ・雲木:背の高い木。≒雲樹。ただ、王維の『藍田山石門精舍』 「落日山水好,漾舟信歸風。探奇不覺遠,因以縁源窮。遙愛雲木秀,初疑路不同。安知清流轉,偶與前山通。捨舟理輕策,果然所適。老僧四五人,逍遙蔭松柏。」や、劉長卿の『送舍弟之陽居』「陽寄家處,自別掩柴扉。故里人何在,滄波孤客稀。湖山春草遍,雲木夕陽微。南去逢迴雁,應憐相背飛。」では「雲や木々」の意で使われている。
※花蔓宜陽春:花房のあるつるは、陽気の満ちた暖かな春に、このましいものである。 ・花蔓:花房のあるつる。 ・宜:〔ぎ;yi2○〕よろしい。むつまじい。このましい。 ・陽春:陽気の満ちた暖かな春。
※密葉隱歌鳥::生い茂った葉は囀っている鳥(の姿を)かくして。 ・密葉:生い茂った葉。密生した葉。 ・隱:かくす。構文から見て他動詞。 ・歌鳥:囀る鳥。
※香風留美人:芳(かぐわ)しい風は、美人(の足)をとどめている。 ・香風:芳(かぐわ)しい風。 ・留:とどめる。 ・美人:ここでは、普通に美女の意で使われている。
◎ 構成について
韻式は「AA」。韻脚は「春人」で、平水韻上平十一真。平仄はこの作品のもの。
●○●○●,
○●○○○。(韻)
●●●○●,
○○○●○。(韻)
2006.5.18 5.19 |
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