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古怨歌

                        竇玄妻『古詩源』より
煢煢白兎,
東走西顧。
衣不如新,
人不如故。
 
*******************
        古怨歌

煢煢
(けいけい)たる  白兎,
東に 走り  西に 顧
(かへり)る。
衣は  新しきに 不如
(しか)ず,
人は  故
(ふる)きに 不如(しか)ず。
             ******************


◎ 私感訳註:

※竇玄妻:『古詩源』より。『古詩源』の古註には「玄状貌絶異,天子使出其妻,妻以公主。妻悲怨寄書及歌玄。時人憐之。」とある。(「玄状 貌は絶異にして,天子 使して 其の妻を出でしむ,妻するに公主を以てす。(古くからの)妻 悲しみ怨みて 書及び歌を玄に寄す。時の人 之を憐む。」)(写真:右)

※古怨歌:棄てられた妻の怨みのうた。竇玄は容貌が優れ、時の帝は(皇女を竇玄の嫁とするため)、竇玄の(古くからの)妻を離縁させた。これはその離縁された妻の怨みの歌。なお、『後漢書』で調べているが、まだ見つけていない。

※煢煢白兎: ・煢煢:〔けいけい;qiong2qiong2○○〕孤独なさま。 ・白兎:白い兎。離縁された妻を謂う。

※東走西顧: ・東…西…:あちらこちらへ行くさま。うろうろするさま。 ・東走:東の方へにげる。 ・西顧:西の方をふり返る。妻の未練がましさを表現する。

※衣不如新: ・衣:ころも。衣服。

※人不如故:人は古くから知り合った者のほうがよかろう。 ・人:ここでは人であり妻のことでもある。 ・不如:…に及ばない。…にしかず。〔A不如B〕AはBに及ばない。Bの方が優れている。 ・故:ふるい。≒故。




◎ 構成について

韻式は「aaa」。韻脚は「兎顧故」で、平水韻でいえば去声七遇。次の平仄はこの作品のもの。


○○●●,(韻)
○●○●。(韻)
○●○○,
○●○●。(韻)

2007.4.23
     4.24

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