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梅子黄時日日晴, 小溪泛盡却山行。 綠陰不減來時路, 添得黄鸝四五聲。 |
三衢道中
梅子 黄ばむ時 日日 晴れ,
小溪 泛べ盡くして 却って 山行す。
綠陰 減ぜず 來時の路,
添へ得たり 黄鸝の 四五聲。
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◎ 私感訳註:
※曾幾:南宋の詩人。字は吉父。茶山居士と号する。 赣州(現・江西省)出身で、のち洛陽に移住する。1084年(元豐七年)~1166年(乾道二年)。浙西の提刑となる。
※三衢道中:三衢の道中にて(詩を作る)。 *初夏の情景の変化を詠う。 ・三衢:衢州(府)(現・浙江省衢州市)『中国歴史地図集』第六冊 宋・遼・金時期(中国地図出版社)59-60ページ「南宋 両浙西路 両浙東路 江南東路」にある。杭州の南西200キロメートルのところ。当時の浙江(銭塘江からその上流、富春江)の更に上流の蘭渓の上流にある。 ・道中:路上にて。途中に。
※梅子黄時日日晴:梅の実が黄色くなる季節(=梅雨期)であるが、毎日、晴が続いて。 ・梅子:梅の実。 ・黄:黄色くなる。黄ばむ。用言。 ・日日:日ごと。連日。毎日。 ・晴:(本来は梅雨時で、雨になるのだが、意外と)晴れている。
※小溪泛盡却山行:小さな谷川(蘭渓)に舟を浮かべて(遡って)きたが、(それもいよいよ行き詰まってきて、舟で行くことから)反対に、山を行くようになった。 *晉・陶潛の『桃花源記』「晉太元中,武陵人捕魚爲業,縁溪行,忘路之遠近,忽逢桃花林。夾岸數百歩,中無雜樹。芳草鮮美,落英繽紛。漁人甚異之,復前行,欲窮其林。林盡水源,便得一山。山有小口。髣髴若有光。便舎船從口入。」や、唐・王維の『藍田山石門精舍』「落日山水好,漾舟信歸風。玩奇不覺遠,因以縁源窮。遙愛雲木秀,初疑路不同。安知清流轉,偶與前山通。捨舟理輕策,果然愜所適。老僧四五人,逍遙蔭松柏。朝梵林未曙,夜禪山更寂。道心及牧童,世事問樵客。暝宿長林下,焚香臥瑤席。澗芳襲人衣,山月映石壁。再尋畏迷誤,明發更登歴。笑謝桃源人,花紅復來覿。」
の雰囲気がある。 ・小溪:小さな谷川。臨安府(銭塘、杭州)から衢州府への道筋の川は浙江(現・銭塘江/富春江)は大河なのでその更に上流の蘭渓のことになろう。 ・泛:〔はん;fan4●〕(舟を)うかべる。(舟を)うかび漂わせる。 ・盡:つきる。 ・却:反対に。かえって。 ・山行:山道を行く。動詞。
※綠陰不減來時路:青葉の茂った木(こ)かげは、往路としてやって来たときよりも減ることはなく。 ・綠陰:〔りょくいん;lyu4yin1●○〕みどりの木(こ)木蔭(かげ)。青葉の茂った木(こ)かげ。 ・不減:減ることはない。 ・來時:(はじめに)来たとき。往路。
※添得黄鸝四五聲:(かえって、)チョウセンウグイス(の鳴き声)が、幾声か増えた(ことである)。 ・添得:…が増えた。…が加わった。 ・添:附け加える。 ・-得:動詞の後に附き動作の結果、程度…を表す。 ・黄鸝:〔くゎうり;huang2li2○○〕チョウセンウグイス。コウライウグイス。=黄鳥。黄鶯。 ・四五聲:数声。『楊柳枝』其二「陶令門前四五樹,亞夫營裏百千條。何似東都正二月,黄金枝映洛陽橋。」や、宋・徐積の『漁歌子(漁父樂)』に「水曲山隈四五家,夕陽煙火隔蘆花。漁唱歇,醉眠斜,綸竿蓑笠是生涯。」
とある。南宋・辛棄疾の『浪淘沙』山寺夜半聞鐘に「身世酒杯中,萬事皆空。古來三五個英雄。雨打風吹何處是,漢殿秦宮。 夢入少年叢,歌舞匆匆。老僧夜半誤鳴鐘。驚起西窗眠不得,卷地西風。」
とある。
◎ 構成について
2008.1.13 1.14 1.15 |