漫述 | ||
佐久間象山 |
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謗者任汝謗, 嗤者任汝嗤。 天公本知我, 不覓他人知。 |
謗 る者は汝 の謗 るに任せ,
嗤 ふ者は汝 の嗤 ふに任す。
天公 本 我れを知れば,
他人の知るを覓 めず。
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◎ 私感註釈
※佐久間象山:幕末の兵学者。信濃松代藩士。文化八年(1811年)〜元治元年(1864年) 名は啓、字は子明、通称は修理。号して象山。佐藤一斎に朱子学を学び、江戸神田に私塾・象山書院を興す。後、蘭学と砲学を学び、開国論を倡え、攘夷派に暗殺された。勝海舟、橋本左内、坂本龍馬、吉田松陰は、門人。
※漫述:とりとめのないことば。そぞろ書き。
※謗者任汝謗:悪口を言う者(について)は、お前の悪口を言うのにまかせ。 ・謗:〔ばう;bang4●〕そしる。悪口を言う。うらむ。 ・任:まかせる。ゆだねる。 ・汝:〔ぢょ;ru3●〕なんじ。お前。
※嗤者任汝嗤:あざわらう者(について)は、お前のあざわらうのにまかせ(よう)。 ・嗤:〔し;chi1○〕あざわらう。わらう。
※天公本知我:天の神は、もともとわたしを理解しており。 ・天公:天子。天帝。⇔(後出・)他人。 ・本:もともと。
※不覓他人知:他の人の理解をもとめ(る必要は)ない。 ・覓:〔べき;mi4●〕もとめる。さがしもとめる。
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◎ 構成について
韻式は、「AA」。韻脚は「嗤知」で、平水韻上平四支。この作品の平仄は、次の通り。
●○○●○○○,(韻)
○○●●●○○。(韻)
○●●○○●●,
●○○●●○○。(韻)
令和3.10.3 |
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