![]() ![]() |
![]() |
一溪 | |
金・段繼昌 |
一溪流水走靑蛇,
春在江邊漁父家。
竹外寒梅看欲盡,
淸香移入小桃花。
******
一溪
一溪 の流水 青蛇 を走らせ,
春は江邊 漁父 の家に在 り。
竹外 の寒梅 看 れば盡 きんと欲 し,
淸香 移り入る小 桃花に。
****************
◎ 私感註釈
※段継昌:金の詩人。字は子新。白水(現・陝西省中部)の人。自ら適安居士と号した。家は、はなはだ貧しかったが、酒を嗜み、お金が手に入れば、必ず飲み屋に行って使い果たしたという。詩を作ることを喜び、その詩風は清新自然であった。
※一渓:ある一つの谷川。早春からだんだんと春の盛りに移っていくさまを詠う。
※一渓流水走青蛇:ある一つの谷川(の流れるさま)は、青い蛇を走らせる(かのようで)。 ・流水:盛唐・李白の『山中問答』に「問余何意棲碧山,笑而不答心自閑。桃花流水杳然去,別有天地非人間。」とあり、北宋・蘇軾の『浣溪沙』に「西塞山邊白鷺飛,散花洲外片帆微。桃花流水鱖魚肥。 自庇一身靑箬笠,相隨到處綠蓑衣。斜風細雨不須歸。」
とある。 ・走青蛇:青い蛇を走らせる(かのようである)。渓流の青くうねって流れるさまの譬喩。 ・走:前に進む。現代・毛沢東は『長征』で「紅軍不怕遠征難,萬水千山只等閒。五嶺逶迤騰細浪,烏蒙磅礴走泥丸。金沙水拍雲崖暖,大渡橋橫鐵索寒。更喜岷山千里雪,三軍過後盡開顏。」
とする。
※春在江辺漁父家:春は、川のほとりの漁師の家に(まで来て)いる。 ・江辺:川のほとり。 ・漁父:漁師。
※竹外寒梅看欲尽:竹藪の外側の早咲きの梅を眺めれば、(もはや)散って尽きようとしており。 ・竹外:竹藪の外側。北宋・蘇軾の『惠崇春江曉景』に「竹外桃花三兩枝,春江水暖鴨先知。蔞蒿滿地蘆芽短,正是河豚欲上時。」とある。 ・寒梅:寒中に咲く梅。早咲きの梅。 ・看:(手をかざして)みる。(物を)臨みみる。うかがいみる。 *意識的に「みる・みつめる」ことであり、受動的・無意識に「みる・みえる」ことの表現は「見」。 ・欲尽:尽きようとしている。
※清香移入小桃花:清らかなにおいが(梅の花から)若い桃の花に移ってきている。 ・清香:清らかなにおい。よいかおり。北宋・蘇軾の『春夜』に「春宵一刻値千金,花有淸香月有陰。歌管樓臺聲細細,鞦韆院落夜沈沈。」とある。 ・移入:移し入れる。 ・小:わかい。おさない。
***********
◎ 構成について
韻式は、「AAA」。韻脚は「蛇家花」で、平水韻下平六麻。この作品の平仄は、次の通り。
●○○●●○○,(韻)
○●○○○●○。(韻)
●●○○◎●●,
○○○●●○○。(韻)
2013.2.16 2.17 2014.8. 6 |
![]() ![]() ![]() ************ ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
![]() |