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偶題 | |
明・于謙 |
薰風何處來,
吹我庭前樹。
啼鳥愛繁陰,
飛來不飛去。
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偶題
薰風 何處よりか 來り,
我が 庭前の樹を 吹く。
啼鳥 繁陰を 愛し,
飛び來りて 飛び去らず。
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◎ 私感註釈
※于謙:明代の清官。1398年(洪武三十一年)~1457年(天順元年)。字は廷益。号して節庵。錢塘(現・浙江省杭州)の人。
※偶題:たまたま出来た詩。たまたま作る。即興の詩。「題」は、書きつける意。 *唐・劉禹錫の『秋風引』に「何處秋風至,蕭蕭送雁群。朝來入庭樹,孤客最先聞。」とあり、その影響を受けた。
※薰風何處來:どこからか心地よい初夏の風がきて。 ・薰風:〔くんぷう:xun1feng1○○〕おだやかな初夏の風。若葉を吹いてくる快い風。=南風。 ・何処:〔かしょ;he2chu4○●〕どこ。いづこ。
※吹我庭前樹:わたしの庭先の木に吹きつけてきた。 ・吹我-:「□□□□□」(節奏は「□□・□□□」)の句で、「吹+庭前樹」ということを表現したい場合、「吹我+我庭前樹」という兼語的な表現をとり、「吹我+庭前樹」とする。 ・庭前:庭さき。にわ。
※啼鳥愛繁陰:さえずる鳥は、樹木のしげりのかげを愛して。 ・啼鳥:鳴く鳥。さえずる鳥。盛唐・孟浩然の『春曉』に「春眠不覺曉,處處聞啼鳥。夜來風雨聲,花落知多少。」とあり、晩唐~・韋莊の『晏起』に「爾來中酒起常遲,臥看南山改舊詩。開戸日高春寂寂,數聲啼鳥上花枝。」
とある。 ・繁陰:〔はんいん;fan2yin1○○〕樹木などのしげりのかげ。
※飛來不飛去:飛んできた(ままで)、飛んで行こうとしない。 ・飛來:飛んでくる。 ・不:…しようとしない。意志の否定。 ・飛去:飛んで行く。飛び去る。唐・劉希夷(劉廷芝)の『白頭吟(代悲白頭翁)』「洛陽城東桃李花,飛來飛去落誰家。洛陽女兒惜顏色,行逢落花長歎息。今年花落顏色改,明年花開復誰在。已見松柏摧爲薪,更聞桑田變成海。古人無復洛城東,今人還對落花風。年年歳歳花相似,歳歳年年人不同。寄言全盛紅顏子,應憐半死白頭翁。此翁白頭眞可憐,伊昔紅顏美少年。公子王孫芳樹下,清歌妙舞落花前。光祿池臺開錦繍,將軍樓閣畫神仙。一朝臥病無人識,三春行樂在誰邊。宛轉蛾眉能幾時,須臾鶴髮亂如絲。但看古來歌舞地,惟有黄昏鳥雀悲。」とある。 蛇足になるが、現代語では「~來~去」は(…して)行ったり来たりの意があり、動詞性の用言の後に附く。但し、この詩句では、片方を打ち消しているので、こうにはならない。
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◎ 構成について
韻式は、「aa」。韻脚は「樹去」で、平水韻去声七遇(樹)、六御(去)。この作品の平仄は、次の通り。
○○○●○,
○●○○●。(韻)
○●●○○,
○○●○●。(韻)
2010.5.23完 2013.7. 3補 7. 4 2013.8.23 2014.5.28 |
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