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          抗日萬歳,中國共産黨萬歳!  
                       吉鴻昌
恨不抗日死,
留作今日羞。
國破尚如此,
我何惜此頭。

        
中国人民抗日戦争紀年館にある吉鴻昌の碑板(2005年)


******

抗日萬歳,中國共産黨萬歳!

                       
恨むは 抗日をせずして 死せんとし,
留まりて 今日の羞
(はぢ)を 作(な)す。
國 破れて  尚
(な)ほ 此(か)くの如し,
我 何ぞ 此の頭を 惜しまんや。

*****************

◎ 私感註釈

※抗日萬歳,中國共産黨萬歳!:この作品は「九年義務教育三年制初級中学教科書『中國歴史』第四冊の39ページから採った。今、テレビニュース等で、話題騒然の中国教科書である。

※吉鴻昌:上掲中国の歴史教科書では次のようになっている:「(1895−1934年)河南扶溝縣人,曾任國民軍軍長,寧夏省主席。1931年,他因反對進攻紅軍,被蒋介石強令出國。第二年回國,不久加入中國共産黨。抗日同盟軍失敗後,吉鴻昌到天津,1934年被國民黨逮捕。在押往刑場的路上,他停下來用小樹枝在地上寫下一首詩。臨刑時,他説:“我爲抗日而死,死得光明正大,不能背後挨槍,我要親眼看到敵人的子彈是怎打死我的!”吉鴻昌高呼:“抗日萬歳!”“中國共産黨萬歳!”英勇就義。((1895年〜1934年)河南省の扶溝県の出身で、曾(かつ)て国民軍の軍長に任じられたことがあり、寧夏省の省主席を努めた。1931年に、彼は紅軍に対しての攻撃に反対したため、蒋介石のために強制的に出国させられた。翌年に帰国して、ほどなく中国共産党に加入した。抗日同盟軍が失敗した後、吉鴻昌は天津に到るが、1934年に国民党に逮捕された。刑場に護送される路上で、彼は立ち止まって、小枝で地上に一首の詩を書きとどめた。刑が執行されようとする時、彼が言うには:「わたしは抗日のために死ぬので、死んでも光明正大であり、背後から銃撃されることはできはない。わたしはこの眼で、敵の弾丸がどのようにしてをわたしを撃ち殺すのかを見つめるのだ!」吉鴻昌は高らかに「抗日万歳!」「中国共産党万歳!」と叫んで、勇敢に死に赴いた。)

※恨不抗日死:遺憾なのは、抗日をなし(得)ずして死ぬことである。 *南宋・陸游の『示兒』に「死去元知萬事空,但悲不見九州同。王師北定中原日,家祭無忘告乃翁。」とあり、言いたい雰囲気は似ているが、表現上の影響は受けてはいまい。 ・恨:恨めしく思うことは。遺恨なのは。 ・不:用言を否定する語。 ・抗日:日本帝国主義の侵略に対して抗争、抵抗運動をすること。後には抗日民族統一戦線が成立した。ここでは、動詞として使われている。

※留作今日羞:生きながらえて、今日の恥辱を作った。 ・留:とどめる。ここでは、生きながらえる、の意で使われている。 ・作:…となる。 ・今日:きょう。こんにち。 ・羞:はじ。恥辱。

※國破尚如此:国家の秩序の破壊は、なお、かくのとおりである。 ・國破:国家の秩序が破壊される。なお、杜甫の『春望』「 國破山河在,城春草木深。」の「國」は、国都長安のこと。 ・尚:なお。まだ。 ・如此:かくのとおり(である)。かくのごとし。

※我何惜此頭:わたしは、この頭を(断たれることを)どうして惜しむことがあろうか。 ・何惜:どうして惜しむことがあろうか。なんぞ惜しまんや。 ・何:なんぞ。反問、疑問を表す語。 ・此頭:この頭(が断たれることを)。



◎ 構成について

韻式は「AA」。韻脚は「羞頭」。現代語韻では、〔-ou韻〕。平水韻では下平十一尤。次の平仄はこの作品のもの。

●●●●●,
○●○●○。(韻)
●●●○●,
●○●●○。(韻)

2005.4.18
     4.22



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