氛蘭麝體芳滑,
容色玉耀眉如月,
珠佩戲金闕。
戲金闕,
遊紫庭,
舞飛閣,
歌長生。
******
遊女曲
氛たる 蘭麝 體は 芳滑,
容色 玉 耀きて 眉は 月の如し,
珠 佩びたる 金闕に 戲(たはむ)る。
金闕に 戲れ,
紫庭に 遊び,
飛閣に 舞ひ,
長生を 歌ふ。
◎ 私感註釈 *****************
※梁武帝:蕭衍。
※遊女曲:女性の肉体の美しさを詠う。『玉臺新詠』卷九では梁武帝の作品は七首あり、そのうち『江南弄』『龍笛曲』『採菱曲』『朝雲曲』とこの『遊女曲』の五首は、全てこれと同一の形式で、第三句末を第四句で繰り返す畳句形式になっている。如夢令や長相思の詞調に似ている。第四、五、六、七句の節奏は、詞の逗に似ている。
※氛蘭麝體芳滑:気は盛んで、蘭麝の香がする肉体は、いいにおいで滑らかである。 ・氛:〔ふんうん;fen1yun1〕気の盛んなさま。 ・蘭麝:名香。蘭と麝香。 ・體:肉体。ここでは女性の肉体。 ・芳滑:いいにおいで滑らかである。
※容色玉耀眉如月:顔かたちは、白玉のように輝き、眉は三日月のように弧を描いている。 ・容色:顔かたち。みめ。器量。 ・玉耀:白玉のように輝いている。 ・眉:マユ。 ・如月:三日月のように弧を描いている。
※珠佩戲金闕:おびだまを腰に付けた仙女のが天帝の居所の城門に戯れている。 ・珠佩:おびだま。貴人が腰に付ける飾りの玉。 ・:〔くゎくゎ;nuo2nuo3。わくゎ;e1nuo3〕伝説上の月妃。また、弱々しく美しいさま。 ・戲:たわむれる。まといつく。まつわる。 ・金闕:天帝の居所の城門。天帝の居所。ここでは、宮城を謂う。「戲金闕」は畳句になっている。『玉臺新詠』卷九では梁武帝の作品は七首あり、そのうち『江南弄』『龍笛曲』『採菱曲』『朝雲曲』とこの『遊女曲』の五首は、全てこれと同一の形式で、第三句末を第四句で繰り返す畳句形式になっている。
※遊紫庭:神仙の居所である紫庭に遊び。 ・遊:あそぶ。たわむれてあそぶ。 ・紫庭:神仙の居所。幕府。
※舞飛閣:高殿に舞う。 ・舞:まう。舞い飛ぶ。 ・飛閣:高い建物。高楼。
※歌長生:不老長生を(言祝ぎ)歌う。 ・歌:うたう。ほめ歌う。 ・長生:長生き。不老長生。不老長寿。
***********
◎ 構成について
韻式は「aaa〔a:畳韻〕BB」。韻脚は「滑月闕〔闕:畳韻〕」「庭生」で、平水韻でいえば、下平八庚・九青通用と、入声六月。次の平仄はこの作品のもの。
○○○●●○●,(韻)
○●●●○○●,(韻)
○●○●●○●。(韻)
●○●,(畳韻)
○●○,(B韻)
●○●,(B韻)
○○○。(B韻)
赤字部分が畳韻になる。
氛蘭麝體芳滑,
容色玉耀眉如月,
珠佩戲金闕。
戲金闕,
遊紫庭,
舞飛閣,
歌長生。
2004.2.10 2.14 |
メール |
トップ |