玉台新詠玉臺新詠銭唐蘇小蘇小小歌西陵歌　詩詞世界　碇豊長の詩詞：漢詩 yutaixinyong

玉台新詠玉臺新詠

　　　　　　　　　　　　　　錢唐蘇小（蘇小小）
歌一首　　
蘇小小歌　　西陵歌

妾乘油壁車，
郞乘靑馬。
何處結同心？
西陵松柏下。

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歌　一首

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
妾（わらは）は　　油壁の車に　乘り，
郞（きみ）は　　靑の馬に　乘る。
何處（いづこ）にか　　同心を　結ばん？
西陵の　　松柏の下（もと）。

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◎　私感註釈

※錢唐蘇小：南斉（南齊）時代の銭塘の名妓。才色兼備の誉れが高かった。銭塘の蘇小小。　・銭唐：現・浙江省杭州市。「銭塘」のこと。唐代に「唐」字を避けて「錢唐」を「銭塘」とした。後世、蘇小小については、白居易の『楊柳枝』其五「蘇州楊柳任君誇，更有錢塘勝館娃。若解多情尋小小，綠楊深處是蘇家。」や、『楊柳枝』其六に「蘇家小女舊知名，楊柳風前別有情。剥條盤作銀環樣，卷葉吹爲玉笛聲。」、とあり、同・白居易の『餘杭形勝』「餘杭形勝四方無，州傍靑山縣枕湖。遶郭荷花三十里，拂城松樹一千株。夢兒亭古傳名謝，敎妓樓新道姓蘇。獨有使君年太老，風光不稱白髭鬚。」とあり、杜牧は『自宣城赴官上京』「瀟灑江湖十過秋，酒杯無日不淹留。謝公城畔溪驚夢，蘇小門前柳拂頭。千里雲山何處好，幾人襟韻一生休。塵冠挂卻知閒事，終擬蹉訪舊遊。」とあり、温庭には『楊柳枝』「蘇小門前柳萬條，金線拂平橋。黄鶯不語東風起，深閉朱門伴細腰。」、五代・梁・羅隱の『江南行』「江煙雨蛟軟，漠漠小山眉黛淺。水國多愁又有情，夜槽壓酒銀船滿。細絲搖柳凝曉空，呉王臺春夢中。鴛鴦喚不起，平鋪綠水眠東風。西陵路邊月悄悄，油碧輕車蘇小小。」や、牛の『楊柳枝』「呉王宮裏色偏深，一簇纖條萬縷金。不憤錢塘蘇小小，引郎松下結同心。」と、多くの作品が作られている。現在、杭州西湖畔（西北）に墳墓がある。

※歌：雜歌謠辭。『蘇小小歌』、『西陵歌』ともいう。

※妾乘油壁車：わたしは、赤い色をした轎に乗り。　・妾：〔せふ；qie4〕わたし。わたしめ。女性の謙譲を表す一人称。　・乘：のる。　・油壁車：赤い色をした漆塗りの轎。駕籠。

※郞乘靑馬：貴男は、あし毛の馬に乗っている。　・郞：貴男。　・靑馬：葦毛の馬。：〔そう；cong1〕あし毛。青、白の毛の混じった馬。

※何處結同心：どこで、契りを交わしましょうか。　・何處：どこで。　・結同心：男女が契りを交わす。

※西陵松柏下：西陵の松柏の下で（契りましょう）。　・西陵：地名。現・杭州の銭塘江の東の蕭山市。『中国歴史地図集』第五冊　隋・唐・五代十国時期（中国地図出版社）５５－５６ページ「江南東道」では、西陵は錢塘江を挟んで杭州、錢塘側の対岸（西南西側）すぐのところにある。現・浙江省蕭山県西興鎮。杭州の国際空港のあるところ。　・松柏下：松や柏（はく。コノテガシワ）の繁っている木の下。松柏は、常緑樹で、変わらぬ誓いともとれ、また、墓場の樹木でもあり、偕老同穴の誓いともとれる。

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◎　構成について

韻式は「ａａ」。韻脚は「馬下」で、平水韻でいえば上声二十一馬。去声二十二次の平仄はこの作品のもの。

●○○●○，
○○○○●。（韻）
○●●○○，
○○○●●。（韻）