綺羅日減帶, 桃李無顏色。 思君君未歸, 君來豈相識。 |
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思公子
綺羅 日々に 帶を減じ,
桃李 顏色 無し。
君を思へど 君 未だ 歸らず,
君 來れども 豈(いづくん)ぞ 相ひ識(し)らんや。
◎ 私感註釈 *****************
※綺羅日減帶:うすぎぬのスカートは、日増しにウェストのサイズが減っていき、やつれてきた。 ・綺羅:あや絹とうす絹。美しい織物。ここでは、女性の下半身にまとう衣裳。うすぎぬのスカート。 ・日減帶:日増しにウェストのサイズが減っていく。日増しに腰回りが痩せていく。
※桃李無顏色:女性の容貌は衰えてきて、美しい顔色も無くなってきた。 ・桃李:モモやスモモのように美しい女性の容貌。 ・無顏色:顔色が無い。色が無い。白居易の『長恨歌』に「回眸一笑百媚生,六宮粉黛無顏色。」とある。
※思君君未歸:(こんなにも)貴男を思っているのに、貴男はまだ戻ってこない。 ・思君:貴男を思い(焦がれる)。 ・君未歸:貴男は、まだ戻ってこない。
※君來豈相識:貴男が(戻って)きたとしても、どうして顔を覚えていようか。 ・君來:来た(としても)。「君來」を「歸來」ともする。戻ってきた(としても)。 ・豈:どうして。いかでか。いづくんぞ。あに。 ・相識:見て分かる。顔を覚えている。
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◎ 構成について
韻式は「aa」。韻脚は「色識」で、平水韻でいえば入声十三職。次の平仄は、この作品のもの。
●○●●●,
○●○○●。(韻)
○○○●○,
○○●○●。(韻)
2004. 2.23完 2011.12.14補 |
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