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8620 その3-マイクロエース製品/KATO製品

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マイクロエース

●初回シリーズ

9mmゲージ初となる8620のプラ量産品で、1999年から2000年にかけて単品3種が発売されました。
この頃、市場になかった形式を次々と製品化するマイクロエースへの期待度は大変高く、かつ痛快でもあり、少々へんてこりんな格好の模型が連発されても大目に見られることはあったと思います。
(その反面、一向に進歩の見えない造形に苛立ちを募らせる方々がいたのも事実かと)

A6101 8620形・デフ付(68692) 1999年

デフ付

A6101
8620形・デフ付(68692)

1999年 (拡大写真)

記念すべき初製品。一見別形式に見えるようなスタイルですが、マイクロエースのスタイルに慣れていれば一発でそれとわかります。

A6102 8620形・デフなし・箱型テンダー(18688) 1999年

デフなし

A6102
8620形・デフなし・箱型テンダー(18688)

1999年 (拡大写真)

デフ付と同時に発売されました。これら2つはクロスヘッド等が黒で成型されているのが特徴です。次のお召指定機からは他と同様の銀成型になりました。

A6109 8620型-48647 お召指定機 2000年

お召し

A6109
8620型-48647 お召指定機

2000年 (拡大写真)

日章旗は印刷がはがれやすいので取り扱いに注意が必要です。同社のお召し客車の初回製品は転がりが悪く、この8620では空転して牽けないことがありました。

待望のプラ量産品の8620の発売にとりあえず安心した人、何かが違う外観に面食らった人、もしくはその両方とさまざまでした。
私は走らせる前にいきなり車高下げを行い、失敗して買い直しました。

最初の2製品は窓ガラスが厚いため、キャブがモーターに押し広げられており、後ろから見るとハの字になっています。これと、ボディが水平に収まりにくいことが関係して、全体的に立て付けが悪い感じがします。 キャブがボイラーから取れやすいことも多く、残念ながら製造品質的にはあまりよくありませんでした。
しかし8620ファンの方にとっては唯一の貴重な製品でした。

●車両セット

2006年に追加された「あそBOY」です。

A-8642 8620型58654「SLあそBOY」 2006年

SLあそBOY

A-8642
8620型58654「SLあそBOY」

2006年 (拡大写真)

50系700番台「SLあそBOY」4両セットとして発売されました。車輪が黒色になり、細かい印刷が追加されています。
これまでスポークのモールドが裏返しだった先輪も修正されました。

テンダーを含む機関車の基本形は従来品と同じです。煙突など一部装備以外は目立った変更がありませんが、色彩的にメリハリのきいた模型なので走らせると結構楽しいです。ちなみにセットのキャッチコピーは「火の国のSL・ハチロク!」でした。

当初、客車内部にあるはずのウェイト兼通電板がセットされておらず、メーカーが別途部品を配布するということがありました。しかし、室内灯を付けるのでなければ、通常支障はありません。私は取り付けていません。

非公式側 「SLあそBOY」の非公式側です。ATS発電機とその配管が追加されて割と精密感があります。キャブには各種表記が追加されました。このキャブの形は何とかしたくなりますね。ただキャブの加工だけでバランスを保つのは困難かもしれません。
公式側後方 「SLあそBOY」の公式側後方です。テンダーは実物と違い高くなっていませんが、重油タンクは表現されました。またシリーズで初めて後部ライトに銀色が入りました。

マイクロエースの8620シリーズは一度見たら忘れないユニークな形ですが、市場に何もなかったときに8620と断言して発売した思い切りの良さは、数々の楽しいプラ模型の販売が源流となっているマイクロエースらしいと思います。
「8620タイプ」として予防線を張っているわけでもないので、1999年当時に取り得た選択肢の中で、全力を尽くされていたものと思います。


KATO

2020年3月初め、ちょうど新型コロナウイルス感染症が日々の話題になっていた時期に発表されました。
発売は同年8月で、一度も延期されず、最初の予告通りに発売されました。

2028-1 8620 東北仕様 2020年

東北仕様

2028-1
8620 東北仕様

2020年 (拡大写真)

昭和40年代の花輪線・五能線をイメージした、延長屋根・シールドビーム灯装着の仕様です。当時知られていた一般的な姿のひとつです。
8620 東北仕様(KATO)

2028-2 8620 58654「SL人吉」 2022年

58654「SL人吉」

2028-2
8620 58654「SL人吉」

2022年 (拡大写真)

1988年にJR九州で復活し、SLあそBOY→SL人吉と活躍してきた人気の58654です。またKATOの新系列の蒸機では初めての門鉄デフです。
8620形 58654「SL人吉」(KATO)

KATOは2016年に完全新規製作のC50記念品を発売しており、その動力部の構造や性能から、8620の発売の期待も高まっていました。
とうとう発売された8620は期待に違わぬ仕上がりで、寸法的に何から何までギリギリの構造が見事にまとめられ、姿だけでなく走行性能も大変安定しています。

細いボイラーがランボード上に浮いていることから、量産の模型として構成しにくい機関車かと思いますが、上廻りの部品構造がよく検討され、車体の基軸に曲がりがなく姿勢がしっかりしています。 細い配管類は材質上曲がることもありますが、車体がきちんとしているため全体的にはヨレた感じになりません。リベットやボイラーバンドなどのディテールもカッチリと、しかし控えめにできており、精密プラ製品の強みを感じます。

8620東北仕様 動力

8620東北仕様の動力ユニットです。構成はC50記念品に似ており、火室〜キャブ前半にかけて小型コアレスモーターが収まっています。
上部には、キャブ内にある光源をヘッドライトまで導光するプリズムが見えます。

なお東北仕様では標準装備のシールドビーム灯を、別売のD51標準形ライト(LP403)に簡単に差し替えられます。テンダーのライトも交換可能です。

この模型の基礎になったと考えられるC50記念品が、すでに2万円(+税)という異例の爆裂価格であったことで、8620の価格がどうなるかを心配しましたが、初回の東北仕様は税込でギリギリ1万5000円を切る価格に抑えられました。 8620は形態がまさに千差万別のため、改造用にいくつか欲しくなることもありますから、ありがたいです。

2022年にバリエーション追加された58654「SL人吉」は、単品のほか、同時発売のセット 10-1727 58654+50系「SL人吉」にも含まれています。

なお一般的に、蒸気機関車の購入の際にはできる限り店頭での試走をお勧めします。蒸気機関車の構造はなにしろ微妙です。


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