Nゲージ蒸気機関車2020年のメモ>2020.8.29

8620 東北仕様(KATO) その3

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ボディー分離・動力ユニット

この模型は走行も安定しているため、改造目的以外では、分解を迫られることはないと思います。
動力部がC50記念品に似ているだろうかという興味から分解したものです。

配管類を外す

キャブから外しましたが、その前に邪魔になるパーツを外しておきました。

発電機とその配管、公式側ランボード下の配管の前後、非公式側ランボード下の配管の後方のピンを引き抜いて外しました。
特に発電機とその配管は切れやすいです。付ける時に、無理に押し込んでクネッと曲がってしまい、切れてしまうことがあります。

キャブ

キャブは、ナンバープレート裏の穴に、動力部脇の小さな爪がはまって固定されているようです。
キャブの裾を片側ずつ慎重に広げ、爪を外すことを意識して持ち上げました。

妻板側のボイラーをまたぐ形状が、Ω形の下すぼまりなので、爪が外れたあとも引き抜くのにやや力がいりました。

外す際、キャブ後方の手すりを押えないよう要注意です。

プリント基板

ライトのプリント基板の後方を気持ち浮かせながら、後方に引き抜いて外しました。
この基板が上下を固定するカンヌキを兼ねています。

上下分離

片手でダイキャストブロック後方を持って固定し(ランボードもそちら側に残ります)、もう片手でボイラー後部の基板が付いていたあたりに指をかけ、もぞもぞとゆっくり上部に引き上げました。
そのうち「もそっ」という鈍い手ごたえがあって、上下が浮きました。

分離後

最後の最後に、煙室あたりのパーツがばらばらになることがあるので、そのへんに軽くを手をかけて完全に上下を分けました。

動力ユニットの上には透明な細い棒(ライトの導光プリズム)が載っているので、うっかりなくさないようにします。

動力ユニット

動力自体はばらしていないので外見上のことですが、やはり8620の動力はC50にそっくりで、フライホイールの形状などが微妙に異なる程度です。
C50のライトは固定式、8620は脱着式のため、導光プリズムの先端形状は異なります。

C50記念品の動力は他のコアレス機よりも一段とよいように感じたので(個人見解)、それが維持されたのは良かったです。運転の体感も抜群で、今までのKATOの蒸機の中ではC50に並んで最高ではないかと思います。

低速発進の滑らかさ(注:KM-1+KC-1使用)、揺れの少なさ、ロッド類のクリック音の少なさ、集電の安定性、どれをとっても良好です。個体差はあると思いますので念のため。

色々な目的でいくつか買いましたが、1両、先台車のバネが非常に強くて、常に車体前方が軽く浮くものがありました。
走りには何ら問題がなかったのですが、ちょっと気持ち悪くて、バネを2.5巻程度カットして直しました。普通のKATOのカプラー用スプリングと同じものだと思います。

8620 フロント構造

8620のフロント周辺のおもなパーツ割です。

ボイラー前方にふたをする形で、フロントデッキ・デフと一体になった煙室枠が重なり、その前に煙室扉が重なります。

シリンダー上部のランボードはフロントデッキ側のパーツにはなく、動力のランボード側についています。

C50 フロント構造

こちらは同じ箇所のC50のパーツ割です。

煙室扉は煙室枠と一体で、煙室の下側も作られています(先ほどの「アゴ」の部分)。

シリンダー上部のランボードは、フロントデッキ側のパーツについています。結構このへん、色々違いますね。

アリイ9600のキャブ

最近の蒸機はキャブから外すものが多いですが、どこでどのように留まっているのかわからず、中途半端な位置で抜き差しならぬ状態になると焦ります。

逆にアリイの8620など、ボイラーから分離しない構造になっているはずなのに、憎らしいほどポロポロ取れたんですけどね(このころの製品に特有)…。

付属品など

付属品

ナンバープレートは4種(28643、48685、58698、68656)です。そう厳密に対応しているわけでもなく、ゆるやかに遊べるようになっています。
指先でもぎ取って押し込めるタイプですが、きれいに取れないと穴にまっすぐ差し込めなくなり、ナイフなどで整えたほうがよいこともあります。

東北仕様ということで、キャブに取り付ける防寒カーテンが付いています。スノープローは通常のダミーカプラー用と、重連用カプラー・重連用ナックルカプラー用の2種が付属します。

さらに、スノープローを取り付けるとフロントのステップが干渉するため、ステップのない解放てこパーツも付属しています。

後方ナックルカプラー

テンダー後部の交換用ナックルカプラーも付属しています。蒸機ではおなじみのCSナックルカプラーです。

テンダーがC50とほぼ同じのため、カプラーポケットもC50と同じ方式です。端梁・ハシゴと一体化したカプラーポケットの爪を外して後方に抜き、交換します。 私はカプラーに穴を開けて、自動解放用のトリップピンのみ付けておきました。

マグネティックナックルカプラーS短・TNカプラー

メールでお知らせいただいたのですけども、KATOのマグネティックナックルカプラーS(短)がそのまま付けられるそうで、実際に付きました。首振り角も問題なさそうです。 てっきり、CSタイプには置き換えできないと思い込んでいたので、耳寄りな情報でした。ありがとうございました。

また、トミックスのC57に付属していた、自連型TNカプラーもそのまま付けられ、連結・走行も大丈夫でした。トミックスのC57のカプラーは、当時のKATOのC62のカプラーポケットと、暗黙の互換性みたいなものがありました。

動輪押さえ

テンダーつながりですが、今回の8620は今までの蒸機に比べ、特にテンダーが取れやすいような気がします。
一度取れるとクセが付くのか、繰り返しポロポロと取れてしまい、非常に扱いにくくなります。動輪押さえ後部の爪が緩くなることがあるようで、念のため爪を調整のうえゴム系接着剤で仮止めしました。

C50ではこういうことがないので、組み合わせ構造が異なるのか、部品の微妙な製造上の誤差かはわかりません。8620では私の取り扱いがぞんざいになっている説…?この記事を書くために、色々弄り回しているからというのもあるかもしれません。

集電線が外れたドローバー

悪くすると、テンダーが外れる時に、ドローバーの集電線も外れてばらばらになってしまうことがあります。集電線をなくしてしまうとテンダーから集電できなくなります。

組み直したドローバー

集電線はドローバーの溝にはめてあるだけなので、取れやすい代わり、直すのも簡単です。またこの部品は前後対称のようです。

そういえば、昔の製品では集電線が外れないように真ん中に留め具がついていたのですが、今はありませんね。

外れた加減リンク

脱線ついでに(笑)。
これは偶然の話ですけども、ケースから出したら、いきなり加減リンクが外れたことがあったんです。目の前で、ただポロッと。

普通自然に外れないものなので、ちょっと焦りました。リターンクランクなんかはメーカー問わず、結構外れたりするものですけど。

取り付け

ピンセットで元の場所に差し込むだけですから直すのも簡単ですが、ということはまた外れるのかも、と警戒しています。→今のところ大丈夫。

この模型、量産品の中では外観・走りとも最高に近い出来かと思うのですが、もしかしたら構造には微妙な部分が多く、初心者には取り扱いが難しいのかもしれないと思い始めました。
特にテンダーポロポロは始まると絶対よくないので、また外れだしたら本格的に何か対策しないとだめかもしれません。

そのほか

8620は日本の鉄道シーンには欠かせない形式だけに、遊び方もいくらでもありそうで、考えるだけで楽しくなります。

東北仕様パーツ

製品付属のスノープローと、防寒カーテンを付けた姿です。

グレーの防寒カーテンは、黒い機関車においてちょっとしたアクセントになって、なかなかよいですね。

アリイの箱テンダー

いわゆる箱テンダー(原形テンダーに初めから増炭枠を付けたスタイル)もよく似合うと思います。写真ではアリイの箱テンダーを並べてあるだけですが、ドローバーを工夫して改造するか自作すれば案外簡単に付くかもしれません。

特にアリイの8620や9600を探して流用しなくても、プラ板や紙などでまとめてみるのも楽しいと思います。

ライト交換

ライト交換は多くの方が計画されたり、実際になさったりしていることと思います。

左はシールドビームを外し、D51長野式の大型ライトを無加工で差し込んだものです。ただ、付けた感じは別に普通なので(笑)、まずは自分があまり使わない、シールドビームの姿のままにしようと思い直しました。

同じく、ロングキャブは切り詰めて、デフも切り取ったものをひとつは用意して…などと考えていたのですけども、この模型自体が全体的に大変よいので、しばらくはこのまま走らせて遊ぼうかなと思っています。
模型が良いと、その装備まで好きになってくることがあるのだなと、今感じています。

レイアウト上で

買って日が浅い段階での感想はひとまず以上です。使っていくにつれて変わっていくと思うので、何か気が付けば付け足したり消したりするかもしれません。
こんなに素晴らしい模型を手にすることができ、本当に嬉しいです。個人的に感じた難点はもちろんありますが、全体的にそれらを吹き飛ばす出来栄えだと感じました。

過去にKATOに一度でも8620を出してくれと考えた人は、これ買わないの禁止じゃないかと思います。断言はしませんけど。

8620はその時代の何を牽かせてもいいですし、機関車を2両・3両つないでも、列車の前へ・後ろへ、またどちら向きにつないでも似合うというのもいいですね。

8620 東北仕様

(おわり)


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