幕張メッセで開催の恒例のホビーショーです。今年はKATOの新しいD51(498号機)の試作品が発表されています。
2010.10.16
すでに14日〜15日に業者公開されているため、ネット上にも鮮明な写真が多数掲載されていて訪問の事前参考になります。
私は実物を見ないとよくわからないので行ってきました。説明のため入門用カメラ×ISO1600で汚い写真も撮りましたが、真面目に汚いです。
10月16日昼時点のものなので、その後展示内容や試作品が変わっているかもしれません。
ついにヴェールを脱いだKATOのAll New D51です。★あくまで試作品です。
先にメーカーサイトで公開された写真はエンジンのみでしたが、テンダーもできていました。
一般公開日(16日)では、外観の静的な展示と周回走行のデモのみで、動力部など細部は非公開でした。
他に比較になるものがないので、大きさははっきりとはわかりませんでした。
いつも見ている天賞堂のD51と同じです、などと書けるほどの目力はありません。
復活機のテンダーもきちんと作られています。実物の復活機が、なるべく現役時代のシルエットを損なわないように配慮されているので、この模型も自然に標準型として見ることができます。
キャブ屋根後部には散水管もついています。実物はここから水を出して石炭を濡らし、細かい粉を吸着させてよく燃えるようにしております。
ちょっと気が早いですが側面比較です。他社製品は、コンセプトの似ている天賞堂とリアル・ラインです。
会場試作品とは枕木のピッチを合わせましたが、他の写真のレールと枕木ピッチが同一である保証はないので、そのつもりでご覧ください。
KATO 旧製品 | |
KATO 新製品試作品(D51 498) 会場にて撮影 | |
天賞堂 D51 498 | |
リアルライン |
過去の展示会でCAD図面が公開されたとき、まず気になったドームの形状です。図面は1方向の角度なので、立体的にどう見えるかわからなかったためです。
これはD51を特徴付けるパーツのひとつです。
とりあえず安心しました。ドームは十分な横幅が確保されており、ボコッとしたボリューム感のある実物のイメージはあります。
側面の丸みがもう少し下がっていてもよいような気がして、手に取ってよく見てみたかったのですが、これは発売までかないません。
非常に格好がよいです。太鼓判が押せます(私が押してもしょうがないですが…)。先輪の手前にさりげなくピストン尻棒がついていますが、決して飾りではなくこのまま曲線を通過できます。
ここに目が誘引されたところで、トミックスのC57でも実現されていた先輪のスポーク抜きがないのは謎です。まあ私はどちらかといえばシルエット重視なので、細かいディテール部分はそれほど注目しないのですが。
これで煙突が土管だったらKATO何やってるの(笑)という感じになるのですが、そこは抜かりなく作られています。
キャブもよい形です。498号機は旋回窓が側面と癒着して変わった形になっており、その感じも出ていますが、一般形として見てもしつこくありません。
キャブ下の配管は相当高密度にモールドされているため、写真ではそこだけディテールのバランスが重く見えるかもしれません。
しかし実際はとても小さいので、あまり心配要りません。つい忘れがちになりますが、これNゲージなんですよ…。しかもプラ量産品の。
よほど凝る人を除き、これ以上このへんに手を入れようと考える人はいないでしょう。
KATOの場合、窓は開けておいてくれるだろうと思いましたがそのとおりでした。ちゃんと走っている姿になっています。
窓ガラスは個別のはめこみではなく、C62と同様に、左右がつながったパーツを内側から入れているようです。
一部のブラス製品やリアル・ラインと同様、後部台枠は固定式で、従台車がその内部を横動する構造のように見えます(はっきりわかりませんでした)。周辺のドロダメの配管や速度検出器などがとても立体的に表現されています。
この試作品ではキャブ屋根の下端と、テンダー上端の段差が大きく見えます。実物の屋根下端は増炭枠上端よりも下に来ますので、製品がそうなっていればOK。
旧製品では適切だったので、写真の試作品ではテンダーの集電バネがないか何かで、テンダー側が下がっているのかもしれません。でないとズレすぎです。
なお数多いD51の中にはこれぐらいの段差に見える機体もありますが、どこからその違いが来るのかはっきりしません。石炭積みすぎ?
少々生々しい498号機のテンダー下部の配管もモールドされています。真ん中の箱は足のあたりが目立つので改造対象かもしれませんが、たぶん破損しやすい場所なので強度優先にしているのでしょう。
機炭間隔も実感的で、もうドローバーの短縮改造なども要らないでしょう。なお天賞堂製品に付いている機炭間の渡り板はないようです。
※注:すでにこのレベルになると、比較対象が高価なブラス製品になってしまうほどです。
ちょっと目をひくのは雨樋です。手すり兼用の縦樋と、屋根上を横に走っている雨樋が、一体で別パーツになっているようにも見えます。
台湾に渡ったDT650にも改造しやすいような気がします(DT650は少し雨樋が上方にあり、後部手すりは樋を兼用しておらず、手すりのみとなっている)。
実物にも煙室扉の直径の違いなどでいくつも表情がある部分です。
何の違和感もなくD51に見えました。煙室扉が大きめに見えるタイプで、よくできた旧製品のイメージを極力受け継いでデザインしたのかもしれません。
上部の手すりは別パーツですがオーバーではありません。デフの手すりは外側のみモールド表現で、内側は省略しています。プラ製デフの厚みがあるため、無理に内側にも作るとオーバーになりがちなので、これで無難かと思います(金属製品だとそれなりに効果的なのですが)。
給水温め器のパーティングラインがちょっと写真では目立ちます。発売までの日数を考えると量産品で直るかどうかは微妙な気も。
できるだけ遠くから撮りました。給水温め器が片側に寄っているように見えますが、それで正解です。この装置は左右対称ではありません。
トミックスのC57と同様にエアホースが付きました。厚みのあるプラ製品なのに、スノープロー、前方ステップ、先輪、ピストン尻棒が共存するという離れ業をやってのけています。
12系客車6両を引いて、スロー走行のデモをしていました。
一部のパネルに「超スロー」と書かれています。ギヤの1歯1歯の動きが目で追えるほどの超スローではありませんが、長時間ずっと普通のスロー走行を持続していました。
しばらく見た感じでは大変に安定していました。ギヤ連動が少ないので音も静かではないかと期待しますが、現状不明です。
スロー走行デモは平坦線にて行なわれていました。
この誤変換、よくやってしまいますよね。誤字や誤変換ならこのサイトでもしょっちゅう。
私は鉛筆の芯を最後まで使い切りたい性格なので、新しい製品を歓迎しつつ古い製品も使い続けるのですが、
この試作品を見て、自分が作ってきた何十両ものD51が、すうっとフェードアウトしていくのを感じました。
もう半透明になって向こう側が透けている感じです。
この内容でありながら、税抜¥11,000という価格に抑えられているので、今後も息長く発売されることが予想されます(あまり値段の高い製品は、償却期間内に回収して終わりという感じがして、長く続かないのではという不安を持ったりしまして)。
1973年の初代製品が¥5,500円ですから、ちょうど2倍です。
D51発売年 | 価格(税抜) | 大卒初任給(一例) |
---|---|---|
1973年(旧製品) | ¥5,500 | ¥80,000 |
2010年(新製品) | ¥11,000 | ¥200,000 |
なお1973年当時はオイルショックによるインフレが大きくて、初任給もそうですが物価が短期間で急騰していきました(狂乱物価)。ですから物の値段についての感じ方は今と同じではありません。