Huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye



清平樂

六盤山
一九三五年十月


天高雲淡,
望斷南飛雁。
不到長城非好漢,
屈指行程二萬。


六盤山上高峰,
紅旗漫捲西風。
今日長纓在手,
何時縛住蒼龍?


******

六盤山


天 高く  雲 (あは)く,
南飛の(がん)を 望斷す。
長城に到らざれば  好漢(かうかん)に非ず,
屈指(くっ し )の行程  二萬。


六盤山(ろくばんさん)(じゃう)高峰(かうほう)
紅旗 西風(せいふう)(ゆるや)かに ()かる。
今日  長纓(ちゃうえい) 手に在り,
(いづ)れの時か 蒼龍(さうりゅう)を縛り()げん?


































             *************

私感註釈

※清平樂:詞牌の一。双調。四十六字。仄平換韻。韻式は「aaaa BBB」。詳しくは「構成について」を参照。

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地図中央に「六盘山红军长征纪念馆
(六盤山紅軍長征紀念館)とある。

※六盤山:長征途上、三五年九月に突破した最後の高山。陝西省、甘粛省、寧夏回族自治区にまたがる山脈。黄土高原上を北北西から南南東へ走る山脈。主峰が六盤山で、2928メートル。(西安の北西400キロメートルのところ)。なお山名の由来は(山頂に到るには山を
六回ぐるぐると回りながら登る山道(=六盤道)を辿らなければならないことに因る。左の地図では、赤い矢印の終わりの部分が六盤山。梁詩の『隴頭歌辭』で「隴頭流水,鳴聲幽咽。遙望秦川,心腸斷絶。」と詠われる隴山のこと。

※一九三五年十月:江西省の井岡山や瑞金の根拠地の紅軍が、一九三四年夏に、国民党政府軍の数度に亘る包囲攻撃を受け、革命の根拠地を支えきれず、江西省根拠地から撤退し、追撃を受けながらも、苦難の末、一年後、陜北根拠地にたどり着いた。この長征の最後の難関が、この六盤山。

※天高雲淡:(秋)空が高くまで晴れ渡って、雲は淡い。北宋・張舜民の『賣花聲・題岳陽樓』に「木葉下君山。空水漫漫。十分斟酒斂芳顏。不是渭城西去客,休唱陽關。   醉袖撫危欄。
天淡雲。何人此路得生還。回首夕陽紅盡處,應是長安。」とある。

※望斷南飛雁:遥か彼方に、南に向かって飛んでいくガンを見えなくなるまで見送る)。 ・望斷:(去っていくものが)見えなくなるまで見送る。遠くをながめて見えなくなるところ。南宋・張孝祥の『六州歌頭』に「長淮
望斷, 關塞莽然平。征塵暗,霜風勁,悄邊聲。黯銷凝。追想當年事,殆天數,非人力。洙泗上,絃歌地,亦羶腥。隔水氈ク,落日牛羊下,區脱縱。看名王宵獵,騎火一川明,笳鼓悲鳴,遣人驚。   念腰間箭,匣中劍,空埃蠹,竟何成!時易失,心徒壯,歳將零。渺~京,干瀦懷遠,靜烽燧,且休兵。冠蓋使,紛馳鶩,若爲情?聞道中原遺老,常南望,剃ワ霓旌。使行人到此,忠憤氣填膺,有涙如傾。」とあり、後出・南宋・岳飛の『滿江紅・登黄鶴樓有感』に「遙望中原,荒煙外,許多城郭。想當年,花遮柳護,鳳樓龍閣。萬歳山前珠翠繞,蓬壺殿裏笙歌作。到而今、鐵騎滿郊畿,風塵惡!   兵安在?膏鋒鍔。民安在?填溝壑。歎江山如故,千村寥落。何日請纓提鋭旅,一鞭直渡C河洛。却歸來、再續漢陽遊,騎黄鶴。」とある。 ・南飛雁:南に向かって雁が飛んでいく。秋にガンが南に飛ぶ光景が眺められるのは北国。

※不到長城非好漢:万里の長城に達しなければ、立派な男ではない。最後の目的地に到達しなければ、りっぱな男とはいえない。成語で、初志を貫かないものはりっぱな人間ではない。目標をめざして最後まで頑張らないものは男子ではない。 ・不…不(/非)…:もし…しなければ、…しない。…せずんば、…せじ。前句は仮定条件、後句はその結論。また、…ならずんば…ならじ。推量。なお、現代語では…せざるを得ない。…しないわけにはいかない。…しないはずはない。二重否定。ここは、前者の意。
到黄河死心/(到黄河心死)」。明・唐寅の『流水詩』に「淺淺水,長悠悠,來無盡,去無休。曲曲折折向東流,山山嶺嶺難阻留。問伊奔騰何時歇,不到大海不回頭。」とある。 *蛇足だが、万里の長城には、この句碑があったり、この句を大きく印刷したTシャツも売られている。 ・不到:…に達しない。 ・長城:万里の長城。 ・好漢:立派な男。

※屈指行程二萬:指折り数えられるほど、際だった二万里(≒10000キロメートル)の(長征の)行程(だった)。 ・屈指:際だった。指折り数えられるほど、すぐれている。指折り数える。 ・二萬:二万里。現代中国の一里は500メートルなので、二万里は1000キロメートル。

※六盤山上高峰:六盤山の上の高峰では。

※紅旗漫捲西風:紅旗が西風を緩やかに巻き込んで(はためいている)。 ・紅旗:紅軍の旗。五八年香港出版の「毛澤東詩詞十九首」では「旄頭」としている。 ・漫捲西風:(紅旗が)秋風に緩やかに動いている。西風:秋風。毛沢東は「東風圧倒西風」という具合に、東風、西風を社会主義陣営、資本主義陣営に使う場合がある。『満江紅』に「正西風落葉下長安」がある。その意味を加えて訳せば、「紅旗は、蒋介石の流した反革命の風で揺らいではいるが…」になろう。

※今日長纓在手:今、(捕虜にした匈奴を縛る)纓
(えい)を手に持っている(が)。 ・長纓:纓:冠のひも。典故に則って、捕虜にした匈奴を縛る縄。ここでは、敵である蒋介石とその幹部を指す。『漢書・巻六十四下 嚴朱吾丘主父徐嚴終王賈傳 第三十四下』に「南越與漢和親,乃遣軍使南越,説其王,欲令入朝,比内諸侯。軍自請:『願受長,必羈南越王而致之闕下。』…」。からきている。南宋・岳飛の『滿江紅・登黄鶴樓有感』に「遙望中原,荒煙外,許多城郭。想當年,花遮柳護,鳳樓龍閣。萬歳山前珠翠繞,蓬壺殿裏笙歌作。到而今、鐵騎滿郊畿,風塵惡!   兵安在?膏鋒鍔。民安在?填溝壑。歎江山如故,千村寥落。何日請提鋭旅,一鞭直渡C河洛。却歸來、再續漢陽遊,騎黄鶴。」とあり、初唐・魏徴の『述懷』に「中原初逐鹿,投筆事戎軒。縱計不就,慷慨志猶存。杖策謁天子,驅馬出關門。繋南越,憑軾下東藩。鬱紆陟高岫,出沒望平原。古木鳴寒鳥,空山啼夜猿。既傷千里目,還驚九折魂。豈不憚艱險,深懷國士恩。季布無二諾,侯嬴重一言。人生感意氣,功名誰復論。」とある。 ・在手:手にある。手許にある。

※何時縛住蒼龍:いつになったら、(あの忌まわしい)蒼龍(蒋介石)を縛り上げることだろうか。 ・何時:いつ。 ・縛住:縛り上げる。 ・-住:動詞の後に付き、確実、安定、固定を表し、しっかり…する、ちゃんと…する、という意味を持たせる。 ・蒼龍:想像上の動物。凶を表す。ここでは毛沢東の当時の敵である国民党政府の蒋介石を指す。毛澤東自身の註で、「蒼龍:蒋介石,不是日本人。因爲当前全副精~要對付的是蒋不是日(日本)。」とある。

          ***********





◎ 構成について:

   双調。四十六字。仄平換韻。韻式は「aaaa BBB」。脚韻は「淡雁漢萬」は第七部去声十六諫(雁)十四願(萬)。「峰風龍」第一部平声一東(風)、二冬(峰龍)。

   
(仄韻),
   
●○○●(仄韻)。
   
○○●●(仄韻)。
   
○●●(仄韻)。


   
●○○(平韻)。
   
●○○(平韻)。
   

   
●○○(平韻)。
2001.9.25
     9.26
     9.27完
2013.3.20補
     4.15
2017.5. 8
2018.9.2

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