中級室 バランシング 2 2003/05/10
  説明
バランシングの根拠
バランシングの効果
T型バランシング
  U型バランシング
他のバランシング
参考事項
   ( '03/08/27/2e )
 

 


■ T型バランシング

N E S W
1 / / ?
(A) A874
4
Q653
AQ43
(B) A874
4
6543
A543

T型のバランシングは上図のように、オプナーがスーツの1でオープンし、パスが2つ続いた場合に起こります。
このバランシングの根拠は「味方にもHCPが20近くある」ということでした。

では、どうビッデングを再開したらよいのでしょうか。

Wのハンドが(A)なら常識的にダブルとコールしますが、(B)の場合はバランシングの技法を覚えていないと一寸コールできません。
(B)は8HCPしかありませんが、この場合、ダブルをコールします。

バランシングの基準に適合しなければパスするのですが、まず、それを勉強しましょう。


 バランシングしない時

バランシングの目的は、オポーネントに楽なコントラクトでプレイさせず、チャンスがあれば、自分達でコントラクトを買うことにあります。

しかし、バランシングの条件に適合しなければ、パスもやむをえません。次の場合はパスします。

  •  HCPが足りない時。
  •  オポーネントのスーツが強く、アンバランスな時。
  •  バランスすると、オポーネントが良いフィットを見つける恐れがある時(例えば、スペードが弱い時)。

(1)
N E S W
1 / / ?
98
97
KJ1043
AQ107
1とオーバーコールしても、オポーネントにメジャーのフィットをみつけられそう。クラブも強いのでパス。
(2)
N E S W
1 / / ?
A87
1043
1096
10942
HCPも足りないし、よいスーツがないので、パス。
(3)
N E S W
1 / / ?
A874
1043
KQ6
1094
ダイヤモンドが強く、バランスハンドだが、1NTにはポイントが不足。
ノンバルなら、1。バルならパス。


 バランシング・コール

T型バランシングでは次表のコールを使います。

@ シンプルオーバーコール
A ダブル
B NTオーバーコール
C ジャンプオーバーコール
D キュービッド

□ シンプルオーバーコールとダブル

T型バランシングでは、@とAは、便宜上、3HCPをパートナーから借りてきてハンドの評価をする約束になっています。

  バランシングシートでは、シンプルオーバーコールとテイクアウトダブルは、3HCP を加算してハンドを評価する。

これを、Principle of the transferred king (PTK)といいます。

このように3ポイントを加算して、ダイレクトシートの場合の条件に適合すればコールします。

N E S W
1 / / ?
  A874
4
6543
A543
 

このハンドは、8+3=11HCP に分布点3ポイントを足して14ポイントになるので、ダブルをかけます。


□ ジャンプオーバーコールとNT

これらのビッドは使用基準が決まっていて、PTKは適用されません。

コール HCP 分布
ジャンプ
オーバーコール
12-16 6枚以上
1NT 11-15 バランスハンド。
オポーネントのスーツにストッパー1個保証。
2NT 19-21
ダブル後の
最低NT
16-18

(1)
N E S W
1 / / 2
ジャンプオーバーコールはウイークではありません。6枚スーツのオープンできるハンドです
(2)
N E S W
1 / / 2NT
アニュージャルNTではありません。ダイヤモンドにストッパーのある、強いバランスハンドです。本講では、HCP は19−21を採用しています。
(3)
N E S W
1 / / 1NT
ポイントレンジは合意事項です。
本講では11−15HCPとしています。

1NT,2NTのポイントレンジはいろいろな決め方があるので、パートナーとよく打ち合わせることが必要です。

□ キュービッド

キュービッドの使い方は@マイケルズ・キュービッドとA強いキュービッド(オポーネントのスーツがボイドのテイクアウトダブル)の二通りがあり、パートナー間の合意事項です。本講では、マイケルズ・キュービッドとして使用します。

強いキュービッドはオーケーブリッジSAYCで使っています。

コール HCP 分布
マイナー・キュービッド 8+ 5+5. 有利なバルなら、メジャースーツは1枚減可。
メジャー・キュービッド 10+ 5+5.

□ まとめ

コール PTK 分布 HCP・その他
ダブル 不明(*1)  
シンプル
オーバーコール
1レベル:4枚
2レベル:5枚
 
ジャンプ
オーバーコール
  6枚(強い5枚) 12-16 HCP
キュービッド   5+5 マイナー:8+ HCP
メジャー:10+ HCP
1NT   バランスハンド
ストッパー保証
11-15 HCP
2NT   19-21 HCP
パス 上記以外

 練習問題

では、練習問題をやってみましょう。

【 問題1】 N E S W
1 / / ?

   Wのハンド ? 説明
(1)   9 AK8762 AQ Q954 2  
(2)   J75 A7A972 K1054 1NT  
(3)   J53 Q8764 4 A954 1  
(4)   K85 AQJ8 AJ10 KQ5 2NT  
(5)   10973 KQ76 32 AJ5 X テイクアウトダブル。
(6)   K107 A6 AJ32 KQ54 X 次回にNTをビッドする。
(7)   98 76 A8432 AJ95 / ダイヤモンドが長い。
(8) KQ984 KJ765 2 85 2 マイケルズ・キュービッド。

【 問題2】 N E S W
1 / / ?

   Nのハンド ? 説明
(1)   8 853KQJ1032 AQJ 3  
(2)   QJ6 AQ6 KQ10 AJ54 2NT  
(3)   AKJ73 86 KQ862 5 2 マイケルズ。
(4)   K63 AQ6 KJ96 Q106 1NT  
(5) 83 5 KQ963 AJ654 2 UNTは使えません。
(6) KJ53 6 K764 Q965 X テイクアウトダブル。
(7) 109832 6 A103 AKJ6 1  
(8) 863 Q83 KJ96 Q105 / NTにはポイント不足。

【 問題3】 N E S W
  1 / / ?

   Wのハンド ? 説明
(1)   1065 62 K8632 A95 / HCPが不足。 有利なバルなら
2
(2)   KJ105 A107K2 K1054 1NT スペードが強く、バランスハンド。
(3)   J65 Q83 104 AK542 2  

 レスポンス

□ ダブルに対し

自分のハンドから3ポイント引いて、ダイレクトシートでのダブルと同じ要領でレスポンスします。

N E S W
1 / / X
/ ?    
(A)
A874
Q65
43
A543
(B)
A874
QJ5
43
AK43

(A)は11ポイントあります。ダイレクトのテイクアウトダブルに対しては、ジャンプして2とレスポンスします。しかし、バランシングダブルに対しては、11−3=9ポイントなので、1とレスポンスします。
(B)は14−3=11ポイントなので、2とレスポンスします。

□ オーバーコールに対し

シンプルオーバーコールの場合は、自分のハンドから3ポイント引いて、ダイレクトシートの場合と同じ要領でレスポンスします。

N E S W
1 / / 1
/ ?    
(A)
A87
Q65
432
A543
(B)
A87
Q65
432
AK43

unassuming cue-bidを使っているなら、(A)は10−3=7HCP なので、2とレスポンスし、(B)は13−3=10HCP なので、2とレスポンスします。

ジャンプオーバーコールの場合は、ポイントと分布が明らかなので最適のコントラクトを探します。

□ NTに対し

この場合はポントレンジが明らかなので、自分のポイントをそのまま加算します。そして、ポイントレンジとハンドの分布からコントラクトを探します。
Nがビッドしなければ、システムはオンです。

N E S W
1 / / 1NT
/ ?    
(A)
A874
Q65
43
AQ43
(B)
AJ74
Q65
43
AK43

(A)は2とレスポンスし,2なら3と誘います。

(B)は2とレスポンスし,2なら42以外なら3NTと決めます。

2NTの場合も同じ要領でコントラクトを探します。

□ キュービッドに対し

キュービッドの場合は、パートナーのスーツ分布とポイントが分かるのでレイズします。1/1オープンの場合、メジャースーツをレイズできない時は2NTでマイナースーツをたずねます。

N E S W
1 / / 2
/ ?    
(A)
A87
Q65
432
A543
(B)
87
65
A432
AK543

(A)2とレスポンスし、(B)は2NTとレスポンスします。

 

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