中級室 バランシング 5 2003/05/29
  説明
バランシングの根拠
バランシングの効果
T型バランシング
  U型バランシング
他のバランシング
参考事項
   ( '03/08/27/2e )
 

 

 ウイーク3に対するバランシング

N E S W
3 / / ?

プリエンプテイブ・ビッドの場合、オプナーはHCPが11以下で、攻撃力の強いハンドです。
しかし、彼のパートナーはパスしていても、必ずしも弱いハンドとはかぎりません。オポーネントはフィットがないけれど、HCPが少し足りなくてパスしているかもしれません。

ダイレクトシールと同じ基準で同じコールを使います。

オポーネントの弱いビッドに対し、弱いコールはしない。

コール   HCP 分布
ダブル T/O 13+ サイド3枚保証
3NT NF 16-22 バランスハンド
ストッパー保証
シンプル
オーバーコール
NF 13-16(注1) 6枚以上
ジャンプ
オーバーコール
F1 16+ 6枚以上
キュービッド F1 15+ 5+5
(注1):LTC=7-8

ビッドシーケンス例

N E S W 意味 説明
3 / / X T/O 13 HCP以上。3枚保証。
      3/ NF 6枚以上。13-16 HCP
      3NT To play ソリッドなスーツ。
16-22 HCP
      4 NF 6枚以上。13 HCP以上。
      4 CUE 5+5。15 HCP以上。
      4/ INV 6枚以上。16 HCP以上。

【 例題 】

N E S W
3 / / ?

  Wのハンド ? 説明
(1)   AJ72 KQ97 3 A543 X  
(2)   AJ7 Q875 K85 A94 /  
(3)   85 AKJ764 A4 QJ4 3  
(4)   K8 AJ A9 AKQJ1052 3NT  
(5)   AK1082 AK1072 2 54 4  
(6)   AK10852 AK2 2 A74 4  

 
 


■ 参考事項

Principle of the Transferred King
1NTのポイントレンジ(T型)
□ キュービッド
□ プリエンプテイブ・リレイズ
□ トリックレショウ
BWSのバランシング

□ Principle of the Transferred King

T型の場合、シンプルオーバーコールとテイクアウトダブルの所要ポイントはダイレクト・シートでのコールより2〜4HCP低くなっています。
この量はパートナー間の合意事項ですが、ここでは3HCPを採用しています。ROOT, SEAGRAM, KLINGER, MENDELSON がこれを採用しています。
タイトルはKLINGERのものですが、MENDELSONは"Theory of the Deferred King"といっています。K=3で覚えやすいでしょう。


□ 1NTのポイントレンジ(T型)

これは、百家争鳴でいろいろな基準があります。一部を下表に示しますが、どれを採用するかはパートナー間の合意事項です。

ここでは、1NTSAYC(*2)、その他はROOTに因りました。

  SAYC(*1) SAYC(*2) ROOT/SEAGRAM
/SENOIR
KINGER
1NT 10-15 11-15 12-15 11-16
ダブル・最低NT 16-17 16-17 16-18 17-19 
2NT 18-20 18-20 19-21 20-22

(*1):LONDON ( OK-Bridge )
(*2):DOWNEY ( BRIDGE FORUM INTERNATIONAL )

  TRUSCOTT BERGEN BWS2001 Munson
1NT 10-14 10-15 10-14 10-15
ダブル・最低NT 15-17 16-18 15-17 16-18
2NT 18-19 19-21 18-19 19-21
ダブル・ジャンプNT 21+ * 20+ *

□ キュービッド

バランシングシートでのキュービッドは合意事項です。
T型とウイーク2では、キュービッドに関する約束は
 @ストロング・キュービッド、Aマイケルズ、Bその他
といろいろあります。

ウイーク3では、マイケルズです。

  T型
ストロングキュービッド SAYC (OK-Bridge)
マイケルズ TRUSCOTT; BERGEN;
MUNSON; BWS2001
  ウイーク2
マイケルズ 2に対し
ストッパー・アスキング 2/2に対し


最初のパートナーと組む時は良く打ち合わせましょう。

□ プリエンプテイブ・リレイズ

U型バランシングのシーケンスで、オープンサイドがバランシング対策として使うことがあります。

N E S W  
1 / 2 /  
3        
N E S W  
1 / 2 /  
3        

左図のオプナーはミニマムハンドです。
したがって、普通なら、パートナーのレイズをパスするのですが、3の代にレイズしてオポーネントのバランシングを妨害します。

メジャーオープンの場合はバランシングレベルが3になるので 使う必要はないでしょう。


□ リーピング・マイケルズ

オポーネントが22(ウイーク2)でオープンした場合、普通のキュービッドは3NTトライに使い、2スーターを示すのにこのコンベンションを使います。

2オープンの例です。

N E S W   N E S W  
2 4       2 / / 4  

スペードが5枚、クラブが5枚のハンドです。


N E S W   N E S W  
2 4       2 / / 4  

スペードが5枚、ダイヤモンドが5枚のハンドです。


N E S W   A3
4
K72
AKQ8432
 
2 3      
         
         

このハンドはサイドにソリッドスーツがあり、ハートにストッパーがあれば、3NTができます。
このような場合、キュービッドでストッパーの有無を尋ねます。

   キュービッドに対するレスポンス:
 ストッパーがあれば:3NT
 ストッパーがない時:(弱ければ)4;(強ければ)5


□ トリックレショウ

競り合いビッデングでは、どこまでせり合うかの判断が大切です。
この判断に必要なのは、味方のHCPと切札の枚数とバルネラビリテイです。

味方のHCPと切札枚数が分かれば、獲得できるトリックを推定できます。これが「トリックレショウ原理」で、下表のようになります。

切札枚数 17HCP 20HCP 23HCP 26HCP
7枚
8枚 10
9枚 10 11
10枚 10 11 *
11枚 10 11 * *

詳細はJAGO : "The Trick Ratio Principle" を見ていただくとして、競り合い時の参考にしてください。


□ BWSのバランシング

BWS(Bridge World Standard)は雑誌BridgeWORLDの制定したシステムです。現在2001年版が最新ですが、北米のブリッジプレイヤーが使うスタンダード・アメリカンの標準規格と見てよいでしょう。BWSのバランシングに関する規定は次のとおりです。

(A)
N E S W
1 / / 2
  マイケルズ
(B)
N E S W
1 / / 2
  マイケルズ
(C)
N E S W
2 / / 3
  ストッパーアスキング
(サイドにソリッドスーツがあり、3NTを狙う)
(D)
N E S W
1 / / 2
  13-16 HCP
6枚スーツ。
(E)
N E S W
1NT / / ?
  カペレッテイ
(ダイレクトシートより基準を下げて使う)
(F)
N E S W
1 / / 1NT
/ ?    
  1NT オープンに対するレスポンスと同じ要領。
(G)
N E S W
1 / / 2
/ ?    
  F1: 2NT or New suit
(H)
N E S W
1 / / 1
1 2    
  F1 & Artificial


□ 参考文献

ROOT: Commonsense Bidding
TRUSCOTT: The Biddibg Dictionary
KLINGER: Understanding the Contested Auction, etc.


 

前頁 表紙