映画のページ

サイン /
Signs /
Signs - Zeichen

M. Night Shyamalan

2002 USA 106 Min. 劇映画

出演者

Mel Gibson
(Graham Hess - 元牧師、現在農夫)

Joaquin Phoenix
(Merrill Hess - グレアムの弟、元野球選手)

Patricia Kalember
(Colleen Hess - グレアムの妻)

Rory Culkin
(Morgan Hess - グレアムの息子)

Abigail Breslin
(Bo Hess - グレアムの娘)

Cherry Jones
(Caroline Paski - 警官)

見た時期:2002年7月

ストーリーの説明あり

後記の後記:  サインには腹を立てていたのですが、こういう作品でもできあがると、パロディーを作ろうという輩が出て来ます。なかなかできのいいパロディーが登場しました。是非そちらをご覧下さい。

後記: (が始めに来るというのも変ですが): ハリウッドでは業界の人からも俳優からも高く評価されている監督なので、詐欺に遭ったみたいな気分になる自分に鑑賞能力がないのかと思っていたら、一緒に文句を言ってくれる人が現われました。

どうも私はこの監督とは相性が悪いようです。この10年に5本ほど撮っていて、ファンでもないのにうち3本見たことになります。そして3本とも「気に入らなかった」というのではなく、「嫌いだ」という感想を持っています。驚いたことにあのスチュアート・リトル (1) の脚本も書いています。1 は見ておらず、この間スチュアート・リトル 2 は「気に入らなかった」と書いたばかりです。監督は写真などを見ると優しそうな顔をしていて、個人的には嫌いというタイプではありませんから、彼の作風との好みが合わないんでしょう。

とにかく暗いです。始めから終わりまで暗い映画はあまり好きではありません。ダークシティーみたいにタイトルからして暗く、暗さにストーリーの必然性があるのなら仕方ありませんが、ハードボイルド(フィルム・ノワールと言ってもいいかも知れません)の非常に暗い話を物凄く明るい画面で撮った作品などを見ているので、暗い話だからといって何も画面まで暗くしなければ行けないとは考えていません。

サインの舞台はアメリカの普通の農場。太陽がさんさんと照っていてもおかしくありません。とうもろこしの実がなって収穫の前です。子供が映画に出て来ると無邪気さや明るさが強調されることが多いですが、ここに出て来る子供たちはアザーズパニック・ルームの子供と比較してもいいぐらい暗い表情。ま、筋が筋だから仕方ないんでしょうが。アメリカの農場というとつい暑いと思ってしまう私の方が偏見を持っていたのかも知れません。

筋はあるのかないのか分らないような話です。世界中の至る所に何百年も前からあると言われる現象が現代、メル・ギブソンとホアキン・フェニックスが住んでいる農場にも起きたという設定です。ある日突然畑のとうもろこしがきっちりした巨大な輪や直線のデザインに倒されているというのです。こういう事件は確かに何度かあったようで、映画の中では取材フィルムがテレビで放送されるシーンが何度か出て来ます。このシーンがサインのために作られたフィクションだとしても、実際に世界中にいくつかこういう現象が見られ、学者がまじになって原因追求に取り組んでいるようです。一時「自分たちがやったいたずらだ」と申し出た人がいて、研究熱は急速に冷めてしまったそうですが、それでも現代の科学で解明できない疑問は残るそうです。

さてサインではオスカーを取ったメル・ギブソン、取り損ねたけれど結構上手いホアキン・フェニックスが共演。あの名子役ケビンの弟ローリーもギブソンの息子役で出ています。決して安い映画ではありません。それにしては2人の一流俳優は演技を見せるチャンスがあまり無いように思えました。そして何やらエイリアン風の生物がいるような気配なのですが、その表現の仕方が思わせぶりで、なんだか詐欺に遭ったような気分になります。直接恐怖の対象を画面に映さず、近くの影を映したり、人が怖がっている様子を映して怖い映画を作るという手法はありますが、どうもこの作品ではそれがうまく行っていないように思えます。ロジャー・コーマンに下請けに出した方が、無い予算で削れるものは全部削ってもおもしろい物に仕上がったのではないかと思います。一流監督と一流俳優を呼んで来るほどのことはなかったのでは、と思います。

ピッチブラックを思い出してみると、スピールバーグやルーカスみたいな大掛かりな事は やっておらず、着陸時ロケットが地面を擦った跡を地面に延々と描いて見せたり、空にいくつもの輪を描いて宇宙の規模を感じさせたり、となかなか上手いことをやっていました。それに比べサインの怪しげな記号の見せ方はそれほどミステリー風にならず、効果があまり伝わって来ません。

シックス・センスアンブレイカブルを思い出してみましたが、この2つで私は腹を立てています。AI 坊やの名演技と言われているのですが、私には今でも最終絶叫計画のウェイアンズの迷演技の方が勝っていたように思えます。アンブレイカブルを機に私はブルース・ウィリスとサミュエル・L・ジャクソンが嫌いになってしまったというおまけもついています。ウィリスは隣のヒットマンでは冴えていたのでやはり役者としての使われ方の問題なんでしょうか。

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