映画のページ

トータル・フィアーズ /
The Sum of all fears /
Der Anschlag

Phil Alden Robinson

2002 USA 132 Min. 劇映画

出演者

Ben Affleck
(Jack Ryan - 歴史家、CIA 分析官)

Morgan Freeman
(William Cabot - CIA 長官)

James Cromwell
(Robert Fowler - 米国大統領)

Ciarán Hinds
(Alexander Nemeroc - ロシア大統領)

Alan Bates
(Dressler - テロリスト)

Liev Schreiber
(John Clark - CIA エージェント)

見た時期:2002年8月

短期間に CIA の映画を3本も見ることになりました。どれも違う特徴があって楽しかったのですが、順番が逆だったら良かったと思います。1番はらはらするもの(ボーン・アイデンティティー)を最初に見、頭を使うもの(スパイ・ゲーム)を次に見、最後にこのポップコーン・キノを見ました。ドイツ語のタイトルは「陰謀、暗殺・襲撃計画」といった意味です。

要注意: 結末のネタばれあり!

結末までばらします。見る予定の人は退散して下さい。目次へ。映画のリストへ。

クロムウェル演じるファーラーが大統領を務める米国。フリーマン演じるキャボットが大統領の重要なアドバイザーの1人、そのフリーマンにリクルートされ重用されているのがアフレック演じるところの CIA 分析官ジャックです。アメリカとロシアを戦争させて片付けてしまって、両国が滅んだ後に登場しようとたくらんでいるネオナチの親分ドレスラー。60年代に墜落したイスラエル軍の軍用機に積んであった不発の原子爆弾を掠め取って、アメリカでフットボールの試合中に爆発させます。短絡にロシアが犯人だと思い込み、報復措置に出るアメリカ、新しいロシアの大統領はこういう事をするタイプの人間ではないというジャックの分析は無視され、ネオナチの思う壺にはまります。最後はむろん事の次第が分かって両者は平和協定、犯人は秘密裏に片付けられてしまい、ほっとするという筋です。

この作品が3本の中で1番ひねりが効いておらず、リアリズムもなく、絵空事です。俳優はみな実力を節約し、一世一代の演技などはありません。見所は他にあります。爆弾が爆発するシーンが凄いです。本当に爆発したらもっと修羅場になったと思いますが、それでもなかなか迫力あるシーンでした。それにしてはあまり大怪我をしないヒーローと大統領。その辺は深く追求しないでおきましょう。放射能はハリウッド映画ではそれほど被害が出ないものと考えられるんでしょうかね。生き残った人にその後どのぐらい被害が・・・(こちらはアスベスト被害)なんて現実的な事を考えると、ベン・アフレックもロマンスだなどと喜んでいられる立場ではないはずなんですが。

3本の映画に共通しているのが、情報収集。アフレックの私生活、今朝起きて婚約したら、昼間にはもうプレゼントを持って来る人が現われるという驚き。スパイ・ゲームではレッドフォードが話しかける時にピットの経歴を全て知り尽くしていたので、ピットは嫌な顔をします。ボーン・アイデンティティーではフランカ・ポテンテがただの市民で、たまたま困っている男を車に乗せただけのつもりだったのに、自分がマット・デイモンと一緒に写真付きで手配されているのを見て怒ります。これはウィル・スミス主演のエネミー・オブ・アメリカでも似たような事になっていました。こういう世界になっていることだけでも恐ろしい話ですが、そういう事にどのぐらいの税金が使われているのか、そしてどこかで1つ情報が間違っていたら無関係者が巻き込まれるといった、恐ろしさもあります。未来世紀ブラジルの世界に迷い込んだら大変です。

3本の中では1番軽い作品ですが、敢闘賞をあげたい部分もあります。マット・デイモンに負けずアフレックとリエフ・シュライバー演じるところの CIA エージェント、ジョン(ジャックは事務職ですが、ジョンはジェームズ・ボンドばりに情報収集や暗殺もやります。ボンドよりはリアリティーがあります。好演。)はあっけらかんとスラブ語を話します。スラブ語と言ってもいろいろあるのですが、ロシア語と、ウクライナ語が出て来ます。残念ながら映画を見た日にはロシア人は連れていなかったのですが、ウクライナ人などの知り合いもいるので、一緒に行って、発音がどうだったかなどを聞いてみたかったです。ロシア語をしゃべるロシア人大統領を演じている俳優が北アイルランド人だったりするので、どうなっているんだろうと思いますが。仮に五十歩譲ってここの部分が吹き替えだったとしても、最近アメリカ人俳優には英語以外の言葉ができる人が出て来ています。国全体の傾向ではないのかも知れませんが、欧州市場も考慮しているのではないか、と肯定的に受け取ることにしました。

この話にも有名な原作があるのだそうで、以前はハリソン・フォードを使った映画かもあったのだそうですが、ボーン・アイデンティティーにはかなり水をあけられているように思います。まだ本を買って読もうという気になりません。

後記: 映画自体はつまらなかったですが、CIA の分析官の報告が無視されるという話は2004年には本当になってしまいました。

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