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インデペンデンス・デイ/ Independence Day

Roland Emmerich

1996 USA 145 Min. 劇映画

出演者

Bill Pullman
(Thomas J. Whitmore - 合衆国大統領)

Mary McDonnell
(Marilyn Whitmore - 大統領夫人)

Mae Whitman
(Patricia Whitmore - 大統領の娘)

Jeff Goldblum
(David Levinson - コンピューター技師)

Judd Hirsch
(Julius Levinson - ダヴィッドの父)

Margaret Colin
(Constance Spano - ダビッドの元妻)

Will Smith
(Steven Hiller - 戦闘機のパイロット、大尉)

Vivica A. Fox
(Jasmine Dubrow - ストリップのダンサー)

Randy Quaid
(Russell Casse - 元ベトナムの戦闘機乗り、現在は農薬散布の飛行気乗り)

James Duval
(Miguel Casse - 農家の息子)

Lisa Jakub
(Alicia Casse - 農家の娘)

Giuseppe Andrews
(Troy Casse - 農家の息子)

Robert Loggia
(William M Grey - 将軍)

James Rebhorn
(Albert Nimziki - 国防長官)

Brent Spiner
(Brackish Okun - 秘密基地51の科学者)

Adam Baldwin (Mitchell)

Harvey Fierstein
(Marty Gilbert - ダヴィッドの同僚)

見た時期:公開後暫くしてからと、2004年6月

見たのは2度目。恐ろしく寒い夜野外で見ました。こういう日はタイタニックアイス・エイジにしてもらいたい。

つい最近同じ監督のデイ・アフター・トゥモローを見たので、ついでにインデペンデンズ・デイもと、欲張ってみました。なにしろタダだったものでつられてつい。前日は雨天で中止。この日も寒くなりそうだってんで、毛布などを持参で完全武装。

同じ映画を後でもう1度見るというのはなかなかおもしろいものです。筋は知っているのでリラックスして、枝葉末節に当たる部分を見ていました。画像のエマリッヒ色は劇場版スターゲートからみるとどんどん薄れていますが、インデペンデンズ・デイにはまだわずかに残っています。彼の個性的な部分は SF の円盤などの出るシーン。かっちり決まった画像を出します。私はここが好きです。

キャラクターではスターゲートでジェームズ・スペーダーが好演していたちょっと変わり者の学者の役をインデペンデンズ・デイではジェフ・ゴールドブルームに持って来ています。インデペンデンズ・デイで出て来た親子関係のテーマは、デイ・アフター・トゥモローに引き継がれましたが、円盤の特殊撮影効果はデイ・アフター・トゥモローでは消えています。

インデペンデンズ・デイを数年前に見た時はなんとなく当然と思ったので特に目に付かなかったシーンがデイ・アフター・トゥモローを見た後でははっきり目につきました。テーマは環境保護です。そういう目でインデペンデンズ・デイを改めて見ると、リサイクリングと書いてあるごみ箱に空き缶を捨てるとか、ニューヨークなのに自動車に乗らず自転車に乗っているコンピューターの技術者。前に見た時にはドイツで普通の話が入っていたので、当たり前だと思って気にしなかったのですが、その後アメリカはあまり環境保護に関心が無い国なのだと知り、8年前にエマリッヒはもうアメリカ人に催促をするようなメッセージを出していたのかと今になって思いました。

日本には細かいごみの分別の規則があって、新しく引っ越してきた人はかなり戸惑うようです。しかしそのおかげで、リサイクルとか、ごみ処理はうまく行くようです。ごみを集めて島を作るのも、ごみ処理で出た熱を他の目的に流用しているのも日本は世界の先端を行ったようです。ドイツ人も熱利用には大きな関心を持っています。そのドイツもごみの分別には結構熱心で、たいていのアパートの裏庭には数種類のごみ箱があります。ガラス製品は透明、グリーンなど色別に分けてあります。紙専用のごみ箱、包装専用のごみ箱、生ごみ専用のごみ箱などがあります。大型粗大ゴミは特別に人を呼んで引き取ってもらいます。電気製品は店が引き取る場合もあります。パソコン・プリンターのインクの空容器、電池などを引き取ってくれる店もあります。最近では飲み物の空き缶、ペットボトル問題であれこれもめましたが(引き取りの方法が愚かに見えても)、必ず何らかの方法で引き取ってくれる所があります。エマリッヒは緑の党の支持者だと公言している人で、緑の党は環境保護を積極的に進めている党です。主人公が自転車に乗っているのも、ニューヨークのような町では却ってその方が早く目的地に着くという意味だけでなく、体を動かすので本人のためになる、その上排気ガスが出ないと三重のメリットを承知の上で出したシーンです。ベルリンではエマリッヒと同じ事を考える人が多く、自転車専用道路が整備されており、たいていの場所には自転車駐車場があります。私は特に緑の党に傾いているわけではありませんが、納得の行く事はやっています。

1996年と言えばもう8年も前の話ですが、ドイツでは当時すでにエマリッヒが描いているような話は当たり前でした。現政権で外務大臣になった人は、本当なら環境省の大臣にぴったり。緑の党の顔とも言える知名度の高い人物です。大臣になってベルリンに引っ越して来てすぐやりたがったのがジョギング。肉は食べないという徹底した人です。

私は自分がやっているからと言って他の人にもやれと強くは勧めるのは好きではないですが、そういう事をやる理由を紹介するのには賛成。どういうメリットがあるかを説明するだけですと、聞いた人は、押し付けられたという気持ちにならず、自分の方で納得してやり始めます。ドイツは健康や環境の問題に取り組んだため、現代の人はインデペンデンズ・デイデイ・アフター・トゥモローに出て来た環境の話にはすぐ納得します。しかしアメリカ人にはあまり効果が無かったようで、京都議定書の問題が宙に浮いてしまったりしています。

さて、環境問題以外でもインデペンデンズ・デイを2度見ておもしろかったです。ウィルスミスの映画はインデペンデンズ・デイの後いくつか見たのですが、彼はメグ・ライアンやジュリア・ロバーツよりできのいい俳優だなあ、と感心しました。普段はアホをやって笑っていますが、チラッと不安や悲しみを見せるシーンがとてもいいのです。彼の本職は音楽家。そのことを考えると驚くべきことですが、やはり人生をメロディーに乗せて3分で語れる人は俳優もできるのかと思います。また、作品を選ぶのが上手だなあと思います。実はマトリックスにという話もあったのだそうですが、結局は出ませんでした。代わりに奥方を出しています。彼がマトリックスの主演になると、全然違った印象の作品に仕上がり、それなりに見られる物ができるとは思います。しかしスミス自身が自分には向かないと判断したようです。MIB の方が良かったのでしょう。スケールの大きさから言うと確かにマトリックスMIB ではかなり開きがありますが、スミスに合っているかどうかという点ではずいぶん賢い判断をしたものだと思います。

エマリッヒはこの作品でユダヤ教の主人公を中心に据え、滅び行く世界をアメリカ人が中心になって救うという、ごく簡単な筋、直球を投げて来ます。その単純な筋に、色々なメッセージを満載。例えば50年代からある UFO の噂は実は本当だったというエピソードの中に、国防省が政府の予算をごまかして秘密基地を作っていた、大統領にも知らせていなかったなどという、現代では報道関係でわりと知られている話を入れています。これで政府をチクリ。宇宙人は私たちでも理解ができるようにあまり変わった存在にせず、SF 映画で見慣れたエイリアン・スタイルにしてあって、会話はテレパシーで行う、しかも、人類でも理解のできる暗号とか、大統領が襲われた時に、相手の考えている事がテレパシーで分かるなどと都合のいい話になっています。その宇宙人というのが侵略を目的に1つの星にやって来て、そこを食い尽くすだけ食い尽くすと、次の星に移り、そこでまた食い尽くすという話。ですから地球はこの宇宙人と平和的に話し合う余地は無く、撃退しなければ行けないというプロットです。

そこまで分かっても、大挙して来ている上に、知能ではずっと進んでいるので、かなわない・・・と最初に悲観的な見解を出しておいて、そこへジェフ・ゴールドブルーム演じるコンピューターのエンジニアが信号を傍受して、暗号を解読してしまう、人類にも時にはできのいいのがいるという話になります。やや数学、物理学的に動いた後は、ビールス話に変わり、相手の宇宙船のバリアーを解除するためにはハッカーがやるトロイの馬と似たような事をやればいいと言い出すのです。今でこそ古い話に見えますが、1996年ですと、このテーマはまだ斬新に見えます。無論ハリウッドの話ですから最後は何もかも上手く行きます。

2004年に1996年の映画を見て、古いなあと感じるのは携帯や PC の形。洋服、自動車などではそれほど感じませんが、電気関係の商品は8年経つとかなり古く見えます。ですから夏の無料映画会程度ですといいですが、1人前の料金を取って劇場で見るとなるとちょっと考えてしまいます。しかし2度目、寒い夜に145分でもおもしろいなあと思ったことは確かです。途中で帰ろうという気にはなりませんでした。

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