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2009 Russland/Schweden 107 Min. 劇映画
出演者
Andrei Merzlikin (Smirnov)
Yevgeni Tsyganov (Herman)
Mariya Mashkova (Katya - 報道番組の制作担当者)
Sergey Garmash (Killer)
Maksim Konovalov (Kley)
Aleksei Frandetti (Orda)
Pavel Klimov (Kolyan)
Sergei Vesnin (Kon)
Artyom Semakin (Valery)
見た時期:2009年8月
出演者は誰がどの役をやっていたのか分からなくなってしまいました。カーチャという女性は重要な役です。
★ 完全リメイク
香港の杜h峰の大事件完全なリメイクで、台本は1行も変えていないと言ってもいいぐらい、今時珍しいほどオリジナルに忠実に作られています。私は両方を見たことになりますが、それでいて2つは違う作品に思えます。見事なリメイクです。
大事件の解説に
詳しくは井上さんの解説を参考にしていただきたいですが(導入部が特に詳しく書かれています)、デニーロ、パシーノ主演のヒートの中の1番いいシーン15分をもって来たかのような白熱戦で幕を開けます。
と書きましたが、この部分は Горячие новости にそのまま流用できます。その後も大事件の解説が完全に合います。
マスコミが警察のPRを兼ねて事件現場に張り付き、緊迫する現場からのニュースをお茶の間に持ち込むというプロットはそのまま使われていて、そこに登場する番組制作担当者はカーチャという女性。彼女は警察か軍の上層部にいた人の娘という設定になっていて、そこの部分は香港映画と同じか、変えてあるかちょっと記憶にありません。
カーチャは大事件の担当者と同じく、えぐい部分をセンセーショナルに取り上げて視聴率を上げようと試みます。モラルはどこかに置き忘れて来たらしく、警察の側も必ずしも彼女のプロジェクトに賛成しているわけではありません。
きっかけになる事件、その後のエスカレートも大事件と同じで、バズーカまで出て来る撃ち合い、人質、そして細かい所も手を抜かずにパクっています。と言っては行けませんね。忠実にリメイクしています。
★ 気持ちのいいリメイク
まあ、真似のしまくり、そして大事件の制作は2004年ですが、見たのは2006年。それから3年しか経っていないので、大事件の記憶はまだ残っていて、本来なら「またかよ」ってな感想になってもいいはずです。ところが Горячие новости は見ていて気持ちが良かったです。ロシアの大都市と香港では町の雰囲気が違います。そのため全く同じストーリーを見ていてもそれほど「2回見させられている」という気がしません。
出演者の設定、メンバーは見事なほどそっくりなのに、両者の雰囲気がかなり違い、別物という印象になります。私などは大事件をよく覚えている方なので、次に何が起きるかは大体分かってしまいます。それでもロシア版の方は、例えばギャングの一味はチェチェンに武器の密輸を試みているとか、最後に狙われる男は近隣の国と関係があって暗殺対象になっているのだなどと(地名や国名は別にチェチェンでなくても)勝手な解釈ができ、うまく作品にはまります。
要するに大事件と全く同じ経過があり、撃ち合い、アパート占拠などをして、そこにロシア特有の解釈をつけても全く違和感が生じないのです。そう考えると杜h峰は見事に国際的に通用する雛型を作ったのだと改めて感心します。
アクション・シーンの迫力はアクション映画と銘打っても良く、ロシアも負けていません。最近ちょくちょく来るようになったとは言え、まだドイツでロシア映画が公開されることは非常に稀。ファンタはできるだけロシアの参加も促すようなスタンスで、私も来た時にはできるだけ見るようにしています。実は Горячие новости を選んだのはただただロシアだからという理由で、内容については今年は不作の年だったのでほとんど期待していませんでした。
しかも見始めて数分で杜h峰の焼き直しだと分かったので、その時点では期待は地に落ちました。ところがアクション・シーンがヒート並みの迫力だったことから、徐々に心の中で株が上がり始めました。そして見終わって「これは人に推薦できる」という結論に達しました。
★ 監督はスウェーデン人
・・・のようです。名前からすると。
2006年にあまりまじめでないバンパイア映画を見たことがあります。その時の感想は「かなりだめ」でした。
それが2作目で、 Горячие новости が3作目なのですが、 Горячие новости を見るとアクション、犯罪映画のベテランのように見えます。自分で脚本を考えず、ただ人の脚本を流用しただけだと考えても、かなりの実力が発揮されています。ということはあのできの悪いバンパイア映画は監督に取って間違ったジャンルだったのでしょうか。まだ3つしか作ったことのない人なので、そんな初期から「自分はホラーに向いている」とか「犯罪映画に向いている」と分かるはずはないのですが。
いずれにしろバンケ監督は3作目にして人に薦められるような成熟したアクション犯罪映画を作り上げました。
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