URAtop厨房裏地下食料庫

illumination

 jaune
vert
blanc
rouge
bleu

 
 

 

イルミナシオン
illumanation
 

vert






 


 
 
 
 
 

4
 
 
 
 
 
 
 

この館に来て一週間。
ゾロもようやくここの暮らしに慣れはじめた。
クロコダイルは朝は8時に朝食をとる。
それから会社に出かけ、
昼からはバロックワークスの仕事をする。
それらしいメンバーも時々この館を訪れている。
ゾロは興味のない振りをしながらも様子を観察していた。
時々、
「アルバーナ」
だの
「国王」
だの
「反乱軍」
だの聞こえるが、
ビビの名は話には上がっていなかった。

そして夜になるとお決まりの情事。
毎日、毎日、飽きねえもんだぜ。
「夜、出歩かないので楽でしょう?」
ミス・オールサンデーは臆面もなく言う。
情事の最中はその辺にあるものは物色できる。
ゾロも何度か手がかりになりそうなものを探したが、
元々そういう面には向いていないのだろう。
何一つ見つけることは出来なかった。
 
 
 

前の護衛はミスター・プリンスに手を出して「処分」された。
クロコダイル寵愛の相手。
どのくらい寵愛かというと、
仕事を軽減させるために、
トナカイみたいなのをもう一人の「ミスター・プリンス」にしたほど。
バロックワークスの機密事項だそうだが笑っちまうぜ。
まったく腐ってる。

今夜もいつものようにヤってたようだった。
オレはふと、妙な気配を感じて目をさました。
庭に人の気配がする。
月明かりに目をこらすと確かに木陰に誰かがいる。
刀をきっちりさすと、
気配を殺して近づく。
ゆっくり鞘から刀を抜く。

「動くな」
押し殺した声で相手を制する。
不意に相手はかすかに動き、
カチリいう音とともに明かりがついた。

・・・・ミスター・プリンス・・・。
ゾロは目の前の相手を確認した。
月明かりの元にひきずり出すと、
金の髪や白いローブがかすかに光るようだった。

「・・・んだよ。
用なんてねえだろ」
毎日接している割にはほとんど口を聞いたことはない。
普段はかっちりとスーツを着て、
メガネをかけてる。

ゾロはミスター・プリンスの姿を見て、
一瞬言葉を失った。
おそらくローブしか身にまとっていないのだろう。
素足のままで、
胸元が大きくはだけている。
乱れた髪。
メガネなしの瞳が妖しくゾロを誘う。

前の護衛が「処分」されたわけがなんとなく分かる。

「お前はサーの護衛だろ。
そっちいけよ」
そう言うと、また元いた場所に戻ろうとする。

「何すんだよ。
・・・ヤリてえなら他をあたんな」
きつい言葉とは裏腹にふりほどく力は弱い。
上目づかいに睨んでくるが、
かすかに開かれた唇は誘っているようにも見える。
コイツ、わざとか?
それとも本当に弱ってるのか?
放っといた方がいい。
本能が危険信号を出す。
ゾロはなんとか思いとどまった。

コイツの言う通りだ。
オレは、クロコダイルの護衛だ。
そう割り切って、建物の中に戻る。
だが、いつもの扉のところではなく、
ミスター・プリンスの見下ろせる場所に腰をおろす。
人影はうずくまったようになったまま、
じっと動かなかった。

やがて影は移動しはじめた。
ゾロのいつもいる扉の前をミスター・プリンスは通ることはなかった。
アイツはどこかこの扉でないところから外に出ている。

アイツが降りれるってことは、
他の奴でも可だ。
ということはクロコダイルの寝室に行けるということだ。
クロコダイルの生死などオレにはどうでもいいことだが、
一応、気に止めて置かねばなるまい。

生死が重要なのは、
ルフィ達だ。
ちっ。

このままでは情報は手に入らねえ。
なんとかしねえと。

・・・なんとか。
 
 
 
 
 
 



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