皇帝の正しくないチェス

15.4 Analysis of a rook ending


はじめに

 エンディングが大事だ、エンドゲームを勉強しなくてはならない、というのは、よく言われる事ですし、皆様も一度は耳にした事があると思います。
 今回は、あるRook Ending のAnalysis を紹介しますが、その前に、今一度、「エンディングを勉強する意義」について考えてみる事にします。
 押し付けがましい意見になってしまうのではないかと心配ですが、皆様の思考の一助となれば幸いです。

 私の個人的な意見ですが、テニスやボクシングやチェスは勝負ですが、陸上やボーリングは勝負とはまた違ったものであると思います。前者は、相手のスタイルや状況に応じた駆け引きや作戦が求められるのに対し、後者は性質上、誰が相手であっても自分のベストを尽くす事に主眼が置かれていて、前者がグループの勝負、すなわち、「相手との戦い」に対して、「己との戦い」の要素が強いと感じるからです。

 チェスを指すのは面白いが、どうもチェスソフトと勝負するのは面白くないという意見をしばしば耳にします。

 例えば Fritzとブリッツをして結果を出したいと願うとき、Fritzと「勝負」しているようで、実のところ、「チェスソフト(Fritzなど)に勝つ技術」の高低を、Fritzでない人間の他人と競っている、という側面はないでしょうか。
 この側面からFritz とのBlitzを見てみると、それは「勝負」でなく、前述のグループ分けでいうと陸上やボーリングに近い「自己鍛錬型」の競技に近くはないでしょうか。

 対人間のブリッツは大好きだが、対ソフトのブリッツは、なかなか勝てないという理由(笑)、を差し引いても、どうもつまらないように感じるという貴方、貴方は人間との駆け引きを楽しむ「勝負師」です(^^;

 さて、では、駆け引きとは何でしょうか?

 駆け引きの根本は、「相手の最も嫌がる戦術を採用すること」だと思います。
 ネガティブに聞こえるかもしれませんが、「自分の得意を、自分のチェスを指すだけだ」なら、それは駆け引きというイメージとは違うような気がします。
 (もっとも私はどちらかというと、駆け引きを楽しむ勝負師型でなく、チェスを「自己鍛錬型競技」という捉え方で、ストイックに(?)楽しむ方が好きなのですが)

 駆け引きについて、チェスの例を出しましょう。2000年にロンドンで行われたマッチで、Kramnikは世界チャンピオンの称号をKasparovから奪取しました。見ていた人は未だ記憶に新しいと思いますが、Kramnikの戦術の核となったのが、黒盤でのRuy Lopez, Berlin Defense という序盤でした。
 簡単に言うと、序盤早々クイーンを交換する戦術で、白やや良しのエンディングを耐えようという、黒からみてドロー狙いの色彩の濃い序盤ですが、Kasparov自身が「これを破らねば結局勝利はない」、という考え方のもと、強情に.1.e4を白盤のメイン・ウェポンとして採用し続けたこともあって、Kramnikはマッチの黒盤の大部分をこのBerlin Defenseで戦い、ただの一度の失敗もなく守りきる事で、Kasparovにジリジリと心理プレッシャーをかけ続け、最終的にはこのマッチをものにしました。
 結果論ですが、その戦術選択、心理戦が、彼の勝因であったと言われています。

 さて、「相手の最も嫌がる戦術を採用する」といいましたが、それは相手から見ても同じ事です。
 では、そのような駆引きの面でどちらが優勢に立つかは、何によって決まるでしょうか。

 私は、All-Rounderである事が、重要だと考えます。

 テニスで、サービスが得意なプレイヤーがいたとすれば、欠点に目を瞑ってでもサービスを極め、全盛期のサンプラスやイワニセビッチのように自分のサービスゲームを十中八九、取れるまでになれば、目立つ弱点があっても、試合を有利に運ぶ事が可能です。
 ボクシングで、懐に飛び込むダッシュ力と、一発で相手をなぎ倒すパンチ力を持っている攻撃型ボクサーは、自分の長所だけを磨いていれば、たとえ防御に難があったとしても、「打たれる前に打つ」、それを露呈する前に試合を決める事ができるでしょう。

 ところが、チェスは、そうはいきません。
 チェスでは、一手自分が指したら、必ず相手の手番になるからです。いかにもAll or nothingの、この攻めを受けきられるか、うまくメイトにできるかという激しい試合にするか、はたまた、うって変わって、なんでもないポーンのちょっとした位置の違いが結果を左右する繊細で渋味のあるエンディングに持ち込むか、それを決める権利の約半分は、必ず相手にあります。

 言い方を変えるならば、結果を出すという観点に立つとき、チェスは、他の競技に比較して、オールラウンダーである事がより重要度を増す競技だと言う事ができると思います。
 攻めと守り、中盤と終盤、Strategy とTactics、人間ですから、どちらかが得意でどちらかが不得意という事が多いでしょう。 オールラウンダーである事が大事だ、という事は、長所を伸ばすよりも、現状における弱点を補強する事が大事である事を意味します。

 そして、チェスプレイヤーの大部分の弱点と言われているのが、「エンディング」です。

 以前は、これは日本人プレイヤーに特有の、すなわち日本特有のゲームである将棋に、エンディングと対応させるべきフェーズがない事に起因する弱点だと思っていたのですが、どうも違うようです。

 今、同じレベルにいるプレイヤー群と比較して、「比較的」オールラウンダーであると自負している自分(残念ながら、確たる長所に基づく将来性が薄く、小さくまとまってしまっている、とも言えますが)から見て、チェスオリンピックで戦った海外選手の大部分も、やはり弱点というとエンディングであるように思えましたし、実際、IM Lysenko コーチの指示は、大抵「エンディング勝負に持ち込め」でした。
 私自身の大金星も、局面評価としてはドローのルックエンディングを勝ちきる事で生まれたのです。

 何故多くのプレイヤーが、エンディングを不得意としているのだろう、と考えてみると、いくつか思い当たる節があります。

 エンディングは、全ての試合で必ず到達されるフェーズではない為に、不必要だという誤解が生まれがちだということ、そして、小難しい論理パズルのような側面を持つエンディングはとっつきずらいという事実、あるいは退屈だという誤解です。

 加えて、日本の大会は殆どが比較的短いタイム・コントロールで行われる為に、いざエンドゲームにたどり着いた時には両者時間切迫で、なんとなくミスを連発しても仕方がない、あるいは反省を怠ってしまう、という雰囲気がある事が挙げられます。

 エンディングは不必要だという誤解についてコメントしましょう。
 以下は、Jacobsの著作、'Excelling at Chess' の第5章、'Why Study the Endgame?'からの引用です。


 Someone told me during a recent tournament that he did not need to study the endgame because of his last twenty two games only two had reached this stage. Later in the same tournament I saw him self-destruct in a position where he could have made it to a slightly worse endgame that offered drawing chances.
I am sure that this is the usual pattern for him; he does not know the endgame very well and therefore he avoids endings at all costs. His reasoning comes afterwards. Obviously you can do this if you like, but why should you?


 どうでしょう・・・、思い当たる節がある方も多いのではないでしょうか。

 とっつきずらいのは残念ながら事実だと思いますが、エンドゲームが退屈だというのは誤解であり、反例は枚挙にいとまがありません。
 以下に紹介するRook Ending が説得力のある反例の一つとなってくれれば、と願っています。

 エンドゲームがとっつきずらい、エンドゲームをたのしむ為には素養、下地が求められる、というのは事実だと思いますが、実際に勉強してみると、非常に味があって、退屈とは程遠いものです。

 エンドゲームは実に繊細です。ほんのちょっとしたポーンの位置の違いや、指し手の順番の違いが、命運をわけます。

 ちょっと突飛ですが、エンディングを、味付けの繊細な日本料理やフランス料理にたとえてみましょう。
 こちらに繊細な味覚がそなわっていなければ、その機微を味わうことはできません。私はフランス料理コースを食べたことは一度しかありませんが、同じ値段でラーメンでも5杯ほど食べたほうがいいなぁ、と感じたものです。
 「なんじゃぁ〜〜 味が全然せんわい〜〜」といってフランス料理に醤油をドバドバ掛けるタイプのおじさん、個人的には大好きですが、ことエンディングに関しては、それではダメなのです。
 味覚を磨いて、微妙な味つけを楽しめるようになりたいものです。

 さて、以上の事から、エンドゲームは弱点というよりも、「多くの人が、ほとんど手付かずに残してある白紙領域」と呼んだほうが適当なのではないか、と推測されます。

 ここに、もう一つのエンドゲームの勉強をお勧めする理由が隠されています。

 人間の上達曲線は、多くの場合上に凸であり、はじめに急速に上達し、ある程度のレベルに達すると上達は遅くなります。
 もしそうであれば、手付かずの領域をそのまま残して、自分のすでにある程度発達した長所ばかり鍛えるのは、時間的に効率が悪いことになってしまいます。
 この事もまた、「弱点補強を第一に」という考え方と調和的です。

 エンドゲームが明らかな弱点である場合、そのままにしておいては、狙われるのは確実であり、また当然です。

 「ちっ! 序盤早々クイーン交換のドロー狙いかよ!」、などと嘯いてみても始まりません。

 相手の弱点を狙うのは勝負の鉄則、もし貴方が終盤に弱点がある事を知られているなら、局面は完全な互角、あるいは貴方がやや優勢であったとしても、貴方の相手はドロー狙いでなく、相手は勝ちに来ていて、これから、実際の盤上で、エンドゲームのスキルを厳しくテストされると思わなければならないでしょう。

 逆に自分がバランスのとれたオールラウンダーであれば、「相手の弱点を攻める」という駆け引きをリードするのは自分になります。

 多くの人が弱点として、あるいは白紙領域として放置しているエンドゲームを勉強する事が、戦い方を広げる、という言い方が出来るかもしれません。
 逆にいうと、さっきのJocobs氏の引用ではありませんが、エンドゲームに限らず、明らかな弱点を持つ事は、自分の戦い方を非常に狭めてしまっています。

 エンドゲームは、努力に比して正直に実力をつけることのできる分野でもあると思います。
 最近では、メイルで情報を流通しながら、エンドゲームを共に勉強しようというCyber勉強会なんかもあるようです。時間を捻出して少しずつでも、続けていく姿勢を保つ事が何より大事なのでしょう。私も見習いたいところです。

 さて、なんだか長くて生意気なイントロになってしまいました。

 いよいよ、問題のエンドゲームに入る・・・前にひとつだけ捕捉をしておきます。
 結果を出す為に、オールラウンダーたるべし、という私の意見は、「今の実力をもってして、効率よく結果を出すためにはバランスのとれたオールラウンドタイプの方が作戦のたてようがある」という事に過ぎず、伸び盛りのプレイヤーなどが実力自体を底上げしようという時には、この限りでなく、得意分野をとにかく伸ばし、後からそれに追いすがるように苦手分野を追従させるやり方ももちろん有効だと思います。
 もし読んでくださっている読者の中に若くて伸び盛りの人がいて、チェスのある一分野が得意で、そこを伸ばしているのなら、その事になんら間違いはないのです。
 悲しい哉、突っ走った先に壁や限界を感じた時、それが弱点に目を向ける時といえるでしょうか。

Chernikova - Ramzina, Adorpov 1986 
Analysis by [Yuhki,Tanaka & Friends]

図−15.4.1
【図−15.4.1】
[White to move]

 さて、先週の末尾に紹介したE-チェス新聞、「Chess Today」の紙面上でのアナリシスコンテストの題材となった局面で、白番です。

 皆様は、どちらが良いと思われるでしょうか。
 エンドゲームの難しい所は、時として局面判断さえ難しく、一つのミスや小さなニュアンスが局面評価をガラリと変えてしまうところです。この局面も、具体的に考えてみない事には、どちらが良いのかすらわかりません。

 黒がワンポーンアップで、g,h コネクティッドパスポーンをもっていますから、根本的にこれを止めることはできそうにありませんから、白は自身の Passed b-pawn にすべての望みを託す事になります。実際、白のルックはb-pawnを後ろから支えていて良い形ですし、黒のルックはいかにもパッシブで、すぐにこのb-pawnとルックを交換しないといけなくなるだろうという予想がつきます。
 すると白ルック vs 黒のConnected Passed Pawns という戦いになりますが、さて、どうでしょう。

 まず目を引くのが、素直にキングがd5-c6と入ってゆき、黒ルックをどかせる、あるいは(b-pawnに対して)切らせるというものでしょう。しかし、結果生じる g,h connected passes pawn は白ルック一枚ではとめられず、負けてしまいます。


(a) Straightforward Plan with Kd5-c6

   
1 Kd5 g4
2 Kc6(図−15.4.2)
図−15.4.2
【図−15.4.2】
              
2 ... Rb8
3 Kc7 Rh8
4 b7 h4
5 b8Q Rxb8
6Rxb8g3!(図−15.4.3)
図−15.4.3
【図−15.4.3】

(6. ... h3 7.Rh8 Ke5 8.Rh4 Kf4 9.Kxd6 Kg3 10.Rh8 Kg2 11.d4 g3 12.dxc5 h2 13.c6 h1Q 14.Rxh1 Kxh1 15.c7 g2 16.c8Q g1Q)

   
7 Rg8 Ke5
8 Kc6 Kf4
9 Kxd6 h3
10 d4 h2
11 Rh8 g2-+(図−15.4.4)
図−15.4.4
【図−15.4.4】

(8.Kc6のところで 8.Rg4とすると、8. ... Kf5-+となります)

 とまぁ、こんな感じです。
 このラインを見ると、白としては単にb-pawnとルックを交換するだけでは負けてしまうのですから、意味のあるカウンタープレイを作るには、白自身もb-pawn とc-pawnを連結したConnected Passed Pawn を作り、簡単にルックを切らせない工夫が必要だという事がわかります。

 そうなるとまず思いつくのが、キングでd6とc5のポーンをとってしまってb,c ポーンを突いていくやりかた、そしてとにかく早くConnected Passed Pawn をつくためにd6を取った段階で d3-d4 とぶつけるアイディアが出てくるかと思います。


(b) Fast Plan with Kd5-Kxd6 and d3-d4

   
1 Kd5 g4
2 Kxd6 h4
3 d4(図−15.4.5)
図−15.4.5
【図−15.4.5】

 こうして、とにかく早く連結パスポーンを作ろうというのが、ライン(b)のアイディアですが、キングがb-pawn を守っていないことが、後々響いてきます。

   
3 ... g3!
4 dxc5 g2
5 Kc6(図−15.4.6)
図−15.4.6
【図−15.4.6】

 3. ... g3!のところで、3. ... cxd4? はテンポを失う大悪手です。
 こうなると白は、黒ポーンが2段目に達する前にポーンをc6まで突くことができ、形勢は逆転です。4.c5 g3 5.c6+-

 4. ... g2とルックでポーンを切れるように、2段目にポーンを進めることが肝心です。
(4. ... h3? 5.c6 Rxb6 6.Rxb6 g2 7.Rb1 h2 8.c7 g1Q 9.Rxg1 hxg1Q 10.c8Q Qd4+=)

   
5 ... h3!
6 Kxb7 h2
7 c6 h1Q
8 Rxh1 gxh1Q(図−15.4.7)
図−15.4.7
【図−15.4.7】

 スピードのある魅力的なプランでしたが、結局キングがb-pawnとコンタクトを取れずに失敗しました。
 では、という事でキングがポーンを取りあさるプランですが・・・。


(c) Three Connected Passes Pawns

   
1 Kd5 g4
2 Kxd6 h4
3 Kxc5(図−15.4.8)
図−15.4.8
【図−15.4.8】

 このプランはポーンを2つとも取ってしまい、Kxc5〜Kb5 とb-pawnをキングで後方支援しながらb,c-pawnを進めていこうといういたって単純なプランです。
 アナライズコンテストの問題にする位だから、これが正解ではないだろうということで後回しにしていた我々ですが、このラインをすすめてみて、非常に重要なヒントが隠されているいことに気付きます。

   
3 ... g3
4 Kb5 h3
5 c5 g2
3 c6 Rxb6(図−15.4.9)
図−15.4.9
【図−15.4.9】

 この瞬間にルックを捨てることで、キングを強制的にb6に引っ張り出すことができます。
 そしてその位置は、黒ポーンがg1にて昇格した時にチェックとなる魔の升目なのです。

   
7 Kxb6 h2
8 c7 g1Q+
9 Rxg1 hxg1Q+ -+(図−15.4.10)
図−15.4.10
【図−15.4.10】

 にて黒勝ちとなります。

 このポジションを見て、皆様はどう思われますでしょうか。

 クイーン対ポーンの基本形を勉強した人なら、「あぁ、d-pawnさえなければ例のドローなのに残念だ」と思われた筈です。

 我々もそう考え、一歩すすんでそのアイディアを実現させる筋に気づいたという訳です。
 エンドゲームに関して、基本というのは、応用と比べて「簡単」という意味ではなく、基盤、というか、上にいろいろなものを乗せることができる、あるいはいろいろな応用が利く、という意味に理解するのがいいと思います。
 エンドゲームの基本はエンドゲームの応用よりも難しい位ですが、その応用にはいろいろな旨みが隠れています。


(d) The Correct Drawing Method

   
1 Kd5 g4
2 d4!!(図−15.4.11)
図−15.4.11
【図−15.4.11】

 ここまで読んでこられた貴方には、アイディアの説明は不要でしょうか。

 上のライン(c)最終図において、d-pawnさえなければTheoritical Drawのポジションでした。
 2.d4!! のアイディアは、この邪魔なポーンを予め交換してしまおうというものです。
 ここで 2. ... cxd4? と取ると、3.Kxd6とした局面が、プラン(b)の 3...cxd4? のラインにトランスポーズしますから、黒はこれを無視してポーンを進めますが・・・。

   
2 ... h4
3 dxc5 dxc5
4 Kxc5 h3
5 Kb5(図−15.4.12)
図−15.4.12
【図−15.4.12】

 2. ... cxd4?とすると、3.Kxd6 g3 4.c5 g2 (4...h4 5.c6) 5.Rg1! で黒が危ないですね。

 図−15.4.12の局面、ポーンとコンタクトを失わないよう、塊になって前進します。
 私は 5.Kc6?でも構わないと考えていました。しかし、ザ・エバーリソースフル:尊敬すべき松尾先輩が、鮮やかにこれをRefuteしました。

   
5 Kc6? Rb8
6 Kc7 Rh8
7 b7 h2
8 b8Q Rxb8
9 Kxb8 Ke6!(参考図−1)
参考図
【参考図−1】

 c-pawnとキングが離れているため、この微妙なキングムーブで一手を稼ぐ事ができます。
 こうしたちょっとしたニュアンスで局面ががらりと変わってしまうのが、エンドゲームの面白い所です。

   
10 Rd1 g3
11 c5 g2
12 c6 g1Q
13 Rxg1 hxg1Q
14 c7 Qb1+
15 Kc8 Kd6
16 Kd8 Qb6-+(参考図−2)
参考図−2
【参考図−2】

 14. ... Qb1+のところでジョークを一つ: 14. ... Qb6+ 15.Ka8 Kd7?? 16.c8Q+!
(^^; やってしまってはしゃれになりませんね)

 さて、図−15.4.12に戻りましょう。

図−15.4.12
【図−15.4.12(再掲)】
   
5 図−15.4.12から h2
6 c5 g3
7 c6 Rxb6+
8 Kxb6 g2
9 c7 g1Q+
10 Rxg1 hxg1Q+
11 Kb7=(図−15.4.13)
図−15.4.13
【図−15.4.13】

 5. ... h2のところで、5. ... Ke7では、6.c5 Kd8 7.c6 Rh7 8.Ra1+-

 7. ... Rxb6+のところで、7. ... Rb8では、8.c7 Rxb6 で何も変わりません。

 さて、図−5.4.13の局面、クイーンvs7段目のポーンは大体の場合勝ちですが、ビショップポーンでキングがある程度以上離れている場合はドローとなります。

 コーナーに、この場合はキングがa8 に逃げ込んだ時、クイーンがc7のポーンを取るとステールメイトになってしまうからですね。
 皆様ご存知とは思いますが、自信のない方は、なにかエンドゲームのマニュアルをご覧になってくだされば必ず載っています。


 さて、長くなってしまいましたがどうだったでしょうか。

 この原稿を書いているのは5月6日ですが、昨日まで一週間、皇帝と同じように全日本選手権に参加していました。
 次回はこの全日本選手権から、比較的マシな試合を一試合紹介しようかと思います。皇帝より先に出してプレッシャーをかけたいところですね(笑)。

 いつものように、感想、批評などお気軽にお寄せください。
 読んでくださったという実感があるとうれしいものです。

 ではでは皆様、ご機嫌よう。

皇帝による「終わりに」

 今回の講座、特に「はじめに」の部分は、私のために書いてもらったと言っても過言ではない内容でした(苦笑)。

 私はエンディングをすっぽかしたまま、レート1700超まで来ました。オープニングとミドルゲームでは、きっとここらへんが限界なんですね。
 zahhak君とも話をしたことがありますが、「皇帝がエンドゲームをきちんと勉強すれば、レート1900は見えてきますよ」と言われました。
 個人的にはホントに耳の痛い内容でした。hiyagon先生、ありがとうございます。

 実は、hiyagon先生からは全日本の自戦記も既に頂いています。ああっ、僕はまだ1局も書いていないんだぁっ!プレッシャー!!
 とりあえず、自分の自戦記を掲載せぬまま、hiyagon先生の自戦記を掲載するわけにはいきませんっ(冷汗)!