cello_repair6-2 側板が割れてしまったチェロの修復 2.  Oct. 09 HOME


また、裏板は一度すっかりニスを落とし、上から塗ったあとも伺えました。
しかも、(この写真では分かりにくいのですが・・・)着色剤の刷毛跡がムラになって出ているのです。
剥がした表板を元通りに接着。
ただし、エッジの出は極力修正して貼り付けました。
特に裏側は汚かったので、ペーパーがけして元のニスを薄くし、何度も何度もオーバーニスを塗って仕上げました。
表板側も、オーバーニスを何度も塗ってきれいに・・・。

Before

After
二股に大きく割れた部分の、その分岐点の一部には、 コクソ・パテで埋め、ならして仕上げてありますから、若干、 傷跡のように残って見えていますが、割れに関してはきれいに仕上がったと思っています。

エンドピンもしっかりとおさめました。
これは、右のイラストで説明したように、元穴の空け方が悪く、
そのためソケットが不安定になっていたのです。

この穴の奥側に、カエデ材の薄い経木を丸めるようにして貼り、穴の形状をペグ穴同様、ストレートの三角錐型に修正しておさめました。
ついでに、削りっぱなしだったペグの軸などにもレタッチニスを・・・。

削りっぱなしだと、ご覧のように、あきらかに白っちゃけて見えます。
それに、ニスを塗ると、ずっと沈んだ色になり、落ち着いてくるのです。
ペグボックスの、側面に出る先端部分も一緒。
折角のローズウッドも、削りっぱなしでは台無しです。

わたしは、こんなときのために、アルコール系ニスを不用になった娘のマニキュア・ビンに詰め替え、それを使っています。

ちいさな刷毛もついているし、そのまま使え、また、刷毛を洗う必要もありません。
弦を張り、駒を調整、魂柱を立てれば完成です。

今回のこのチェロも、Tさんにはたいへん喜んでいただきました。
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