Russian Tetrode "GU-84B" を50MHzで研究するページです(ハイパワーが目的ではありません!)

ご意見・ご質問大歓迎です・・・e-mailまたはBBSへお願いします!

回路図は随時更新されますのでご注意下さい!

総合回路図GU-84Bのスペック・・・クリックしてください。

グラビア(PDF)・・・クリックしてください。


Jul. 2005 〜 Now( 2006)
Aug 31. 2006 GU-84Bの奇妙な振る舞い調査

     
前項の如くG1の地絡と思われる現象が発生しGU-84Bが代替管に入れ替わっている。動作は極めて良好だ。取り外した球が気になっていたが、ようやく電源の用意が出来たため簡単にG1-K間の直流抵抗を測定した。電源は27Vの物が無かったため手持ちのPC用電源とIC-756の電源(ALINCO DM-330MV)をカスケード接続し、負荷状態で24V(DC)を供給した。このとき電流は約4Aであった。プレート(アノード)とスクリーングリッド(G2)はオープンとしているが、これら電極の取り扱いでG1-K間の直流抵抗は微妙に変化し、電子の振る舞いを体感出来る。ヒーター電源供給から2分未満はテスターは∞を示していたが、2分を経過した辺りから数百KΩを示し始めると徐々に低下し最終的に8KΩ程度に落ち着いていく。カソードの余熱に3分程度必要である意味が良く分かる。グラフはその様子を1分間隔で示したものである。測定はデジタルテスタ(SANWA PM-7)のΩレンジを読んだ。当然だがG1側がプラス、K側がマイナスで、この逆ではG1-K間はダイオード関係なので電流は流れない。
この状況を見る限り問題は無いような気がしてきた・・・如何だろうか。8KΩの直流抵抗値はG1側がプラスでないと発生しないし測定電圧を上げれば更に低下するだろう。しかし、実機ではG1回路は130V程度でマイナスバイアスされるから、G1-K間の直流抵抗は非常に高くG1回路を接地してしまうなど考え難い。では他に原因が・・・戻して再調査か。オンマウスは測定スナップ。

Jul 16. 2006 GU-84Bの奇妙な振る舞い

     
変更検査も無事終わりやれやれと思っていた矢先、奇妙な現象が発覚した。電源SW投入後約3分で1次高圧が投入され、更に2秒後2次高圧が投入するタイミングでブレーカーが飛んだ。当初は電源を再投入すれば問題なかったが本日毎回再現するようになった。受電ブレーカーの容量が30Aと少ないため、家の電力消費状況との関係と思っていた。それで調べると以下の事が判明した。
@電源SW投入後2〜2分半程度でCg回路が地絡する(Ecg/130V電源は正常)
ACgバイアスをテスタで診ると、地絡と同時にほぼ0Vに落ちる
Bこの状況はオンエアLEDが点灯するので分かる
Cこの状態から高圧が投入されるとGU-84Bに膨大なIpが流れブレーカーが飛ぶ
D球を取り出してCg-K間をテスタであたると100KΩ程度の値を示し温度低下とともに無限大になり復旧する
EDは方向性があり逆は最初から無限大
F球を抜いた状態では高圧投入のシーケンスやオンエアLEDの表示は正常
G球の不良と判断、予備球に交換して復旧

状況から見てCg-Kのタッチに思える。単純なタッチか或いはガスか・・・。そう言えばミーティングの時、台車でアスファルトをガタガタと運んだ時電極が動いたのか。後日ヒーター電源を用意してデータを収集する予定である。

Jul 9. 2006 GU-84B・マルチメーター周りメンテナンス

     
ほぼ1年ぶりに整備のために上蓋を開けた。整備内容は以下の通り。
@ファンの吹き上げが弱い
ファイナルボックスの上蓋を開けGU-84Bを取り出しプレートフィンの下側を確認した。「埃が詰まっている」と決めてかかったのだが、フィンは思いの他綺麗だった。では原因は・・・ファンの電圧を測ると60V程度しかかかっていない。元々200V電源にコンデンサ2.2μF/250Vを直列にして分圧して100Vを得ているものだが、コンデンサの容量低下かモーターの状況が変わったのかは分からない。後日コンデンサの容量を確認する。
Aマルチメーター針の引っかかり
多湿期になると目盛板に使用した高質紙が湿気を吸い外側に反り返るため針に触ってしまう。通電して温度を上げると回復するが、気持ちが悪いので思い切って取り外し分解した。ところが湿気の影響だけと思っていたが、実はカバーをはめ込んだ時に両サイドから目盛板を圧迫する事も原因と分かり、目盛板の端を0.3mmほど切り落とした。これで多湿の今日でも問題の無い状態になった。
写真は取り出したGU-84B・チムニィ・タイマーリレー・エアフィルタ、それにエアブローとドライバー。タイマーリレーは誤って高圧が投入されないように外しておく。オンマウスは取り外し分解したマルチメーター。こう言う時に保守性良さが効いてくる。

Jul 5. 2006 1KW変更検査合格(指示事項なし)

     
50MHz/1KWの変更申請を提出した2月27日から4ヶ月余り、ようやく変更検査にたどり着き7月5日「 指示事項なし合格」となった。申請から落成までの流れは当HPの50MHz/1KW変更申請で詳しく公開している。
工事設計書の50MHzバンドは、エキサイタ(IC-756)の後IC-PW1とGU-84Bの切替による2系統のアンプで構成されている。ダミーロードによるコモンモード輻射(TVI)チェックで気付いたのだが、IC-PW1は筐体輻射が以外と多くエキサイタ出力(50.25MHz/100W)をスルーするだけで、最寄のTV(9ch)にビートが発生した。CMFによる対策やノーマルLPFによる対策で問題ないレベルまで追い込んだが、何も対策しないGU-84Bの筐体輻射レベルと比べるとその差はかなり大きいと言わざるを得ない。当局の場合は、ダミーロードで問題が無ければアンテナをつなげても問題なく、TVIの殆どが筐体輻射によるものと考えている。なおここで説明しているTVIレベルは薄いビートレベル(近隣では問題ない)を言っているのでご注意を。
IC-PW1の状況はicomさんにもお伝えした。恐らく装置内の同軸配線に問題があり、RFが筐体に流れ込んでいるものと推測している。
写真は東海総通からの検査官を受け入れる準備に忙しいオーナー。中央右に当サイトで公開製作したGU-84Bアンプが見える。その上の黒い部分がIC-PW1。オンマウスするとシャックの系統図に切り替わる。

Feb 27. 2006 1KW変更申請投函

     
懸案だった50MHz/1KW変更申請のため重い腰が上がった。変更申請書を書いている内にGU-84B/50MHz/1KWアンプの他に、2年前製作のGU-74B/144MHzアンプの事が気になり、思い切って月面反射通信による500W申請も追加する事にした。その結果変更申請内容は下記の如き状況となった。この変更申請については50MHz/1KW変更申請と題して進捗状況を公開している。
@エキサイタの交換・・・IC-756:1.9〜50MHz/100W
Aアンプの交換・・・・・・IC-PW1:1.9〜50MHz/1KW
Bアンプの追加・・・・・・GU-84B:50MHz/1KW専用
C144MHz設備増設・・・GU-74B:144MHz/500W/EME専用
IC-PW1は50MHz/1KW対応であるが、工事設計上のPA(電力増幅器)は、GU-84Bアンプと2系統切替としている。また出力終段デバイスや電圧についても別々に記入している。東海総通に尋ねると、変更申請書の他に「電波防護指針データ」「空中線設置概要」「1kWを必要とする理由書」等が必要である事が分かり、必要なデータを集め添付資料として作成した。担当者宛依頼文を添えるとA4で7枚になった。
申請に当っては電力制限が確実にかけられている事が必要と思われるので、別途パワーコントローラを製作し、これを入力リレーとアンプ間に挿入している。エキサイタフルパワー(100W)でドライブしても出力は1KWに押さえ込まれる必要がある。

Dec 15. 2005 半年振りに電源投入・・・30分の連続キーイング

     
季節も12月で毎日この冬の最低気温を更新している。この日の朝は静岡でも-1.6度と初めて氷点下を記録した。一緒にGU-84B(50MHz)アンプを製作された愛知のY氏からメールが届いた。電力計をBIRDに変えたら出力変動が全く無くなった。今まではまさか測定器が不良だったとは夢にも思わなかったとメールに記してあった。
そのメールの刺激もあり、あの暑い夏のテストを思い出しながら、凡そ半年振りにアンプの電源を投入しダミー運転してみた。冬場の真空管アンプは大変頼もしく見える。高々20度程度の気温差だが、排気口から吹き上げる空気温度がまるで違う。
電源スイッチをオンするとパイロットランプが点き3分後に1次高圧が投入され、更に2秒後に最終高圧が投入される。突入電流によるショックは全く感じられずスムーズに立ち上がる。エキサイタIC-756の出力を20W程度に落としてキーイングを行う。アンプ側の同調には手を触れず様子をみたが、安定にKWを出力している。キーイングを自動キーイングにして凡そ30分放置する。
転勤によりHOME-QTHが近くなったので、HOMEシャックの整理を行い現在変更申請を考えている。という事は電力制限の為に入力にATTを挿入するか、実験済みのALC回路を組み込む必要がある。

Jul 18. 2005 出力ステアタイトポスト交換

     
秋葉原を訪れる機会があり坂口電熱でステアタイトポストを購入してきた。πL回路の出力と出力同軸を接続しているステアタイトポストが、今まで10mmΦ/20mmHi/3mmビスのモノで締め付けがやや心持たなかった。今回20mmΦ/4mmビスのモノを幾つか購入し交換を実施した。
写真の太い方が購入したステアタイトポストで左の細いのは取り外した従来モノ。締め付けは4mmビス(スプリングワッシャ付)で行うが、3mmビスに比べより確実になった。なお右端に見えるのはステアタイト製の貫通端子でネジサイズは4mm・・・ここでは使う予定は無いが、中和回路ルートを構成する場合などに便利そうである。
オンマウスすると実装した20mmΦ/20mm高のステアタイトポスト周辺の様子が伺える。これで、この辺りは暫くは覗く事は無いと思っているが・・・本当だろうか?。
こうした細工は身近に部品を購入できる環境があれば製作初期段階でクリアしている話なのだが、田舎ではどうしても後回しになってしまう。部品を手にしながら購入が出来る秋葉原近傍のハンドメーカーの皆さんが羨ましい!。

Jul 10. 2005 吸入口エアフィルタの状況と特異なプレートフィン構造

     
昨日の作業で上蓋を開けたついでにエアフィルターの様子を見てみた。写真はその様子だが結構埃がくっついていて驚く。当然エアの吸入量に影響するだろう。
単身赴任先の住まいはそんなに埃っぽくないため、思い切って外そうと思ったがその前にプレートフィンの様子を見た。過去にフィンに埃が詰まっている事を確認し、上部からエアを吹き込んで埃を飛ばした経験がある。実は今回も同様でフィンの入り口(下部)は綺麗でも内部で詰まっている様子を確認できた。そうなる理由はオンマウスで見えるように、GU-84Bのフィンは互い違いに数段に渡って構成されているため、ストレートに埃が流れ難くい構造になっているからだ。恐らく管の冷却効果を直径を増加させないで上げるための工夫であろう。GU-74Bなどは非常にシンプルなフィン構造になっているが、GU-84Bは非常に巧妙に作られていると言っても良いのかも知れない。ある意味で新技術だったのかもしれない。Eimacの球でもフィンに折り目やスリットを入れて冷却効果を上げたものがあるが、ここまではやっていなかったと思う。
と言うことで目論見はあっさり却下で、エアフィルタは必須と判断し洗浄して元に戻した。フィルタは水洗いして汚れを落とし乾かすか、掃除機で埃を吸い取れば元通りに使うことが出来る。このタイプのフィルターは見た目は詰まっているように見えるが、逃げ道が一杯ありエアの通り道はかなり広い。

Jul 9. 2005 再びEsgを上げてみると・・・Esg可変JP設置

     
終了宣言をしたばかりなのに時間があると色々と欲が出てくる。実は調整段階当初、EsgとEpの関係を探っている時、Esg=360〜370Vで出力が伸びる(ホップ)現象が気になっていた。それで本日再びEsg=360Vの環境で再現テストをした。写真左側のメータがEsgを示す。オンマウスするとEsg変更が楽なように低圧ボードに設置した、ツェナーをジャンパーするJP端子が見える。この状態で310V、抜くと360Vになる。
Esg=310VからEsg=360Vにすると50V程度の上昇で(Bias=250mAに調整)あるが利得が上昇し9W入力で出力500W、12.5Wで1KW、15Wで1.5KW、23Wで2KW(以上Isgマイナス領域)、30Wで2.5KW(Isg=0mA)、55Wで3KW(Isg=10mA)を出力する(Ep≒3.2〜3.1KV)。2.5KW以上は飽和カーブに掛かっている。この数字から分かるように1KW以上から急にホップして飽和領域に達する傾向がある。この現象は過去にも紹介したが、Ep-epがEsg値に近づき(或いは割り込み)悪戯をしているものと考えられる。GU-84Bではなく仮に4CX1000A等の旧式の球ではSgがプレートの如き動作で相当な暴れ方をする筈である。なおEpとEsgの関係についてはApr1でも触れている。
もくろみは見事に基の結果と同じになったが、この結果から可能な限りEsgは低めに、Epは高めにする事で、Ep-ep>Esgの条件を満たすことを改めて認識した。OK1BAF/Jhonが「Esg=315V以下で!」とメールを送って来た事があったが、これはEpを見てのアドバイスだったのかと今になって感心している。