TOP
LINK
INDEX

KAMWOOD SYNDROME
〜とある神林狂いの日常〜

■過去の日記20(`03年4/3〜4/30)

<ふりむけば……>
 わー、ファイルサイズが30K越えてる〜、何ヶ月ぶりだろう……と、よせばいいのに調べてみる(^^;;)。
 あぎゃぎゃ、昨年の9月以来ですか……。そうか、あの翌月から突然焼けぼっくいに火がついたり、仕事が殺人的に忙しくなったり、転職したりで超低空飛行の3ヶ月が続いて、年が明けてからボツボツと持ち直したものの、低め安定の3ヶ月が続いて……ってな感じだったのか。過ぎてみれば、半年なんてあっという間ですね〜(しみじみ)。<こら!

 で、話題はというと、新刊が出たわけでも、OVA関連でなにか動きがあったわけでもないのに、何をそんなに話していたかといったら……食い気一筋(苦笑)。いや、冗談抜きで、神林作品では「食」が重要なポイントになっていることがしばしばあると感じるのですよ。……と言う割には、神林キャラ中最大の食欲魔神の某黒猫型異星人についてはまったく言及していないので、あんまり説得力ないかな(^^;;)。
 そーいや、まだ『敵海』の既刊分読み終わっていないんだよなー、ここらでそろそろ手をつけるか……。

(2003.05.07 kayako拝)

次の日記へ
最新の日記へ
前の日記へ

所帯じみた話題(4/30)

 今日の夕飯はハムバンにする予定だったのですが、冷蔵庫の中に、そろそろ賞味期限の近づいてきたソーセージがあったもので、またしても「蜂蜜たっぷりホットドッグ」(^^;;)。2日ほど前に1束100円につられて2束買っちゃったサラダ用の水菜もそろそろヤバイので、一気にかたづけるべく、熱湯にくぐらせておひたし風に(それでも半分余った……明日の夕飯まで保つだろうか(^^;;))。
 で、もぎゅもぎゅ(川原泉風擬音)と食しつつ思うのは……昨夜、さんざん「零の食事シーンは不味そうだ」って書きましたが、そういう奴が心底「うまかった」と感じているシーンが、よりによって「チキンブロス」だというのは、いったいどういう皮肉だろうか……と(^^;;)。いや、ちょっと思っただけで、それ以上思考は先に進まなかったんですけどね。
 で、「そうとは知らずに相棒の肉を食ってしまった」ことが多少なりともトラウマになってるっぽい描写が出てくる割には、零ちゃん、肉が食えなくなったりはしてませんねぇ……。『グッドラック』の終盤の「最後の晩餐」では、ハムバン注文してるし。チキンじゃなければ大丈夫なのかな(^^;;)。まぁ、菜食主義じゃパイロットは勤まらないってことで、おぞましい記憶よりも「雪風に乗りたい」って気持ちが強かったということにしときましょうか(^^;;)。


『雪風』味ごよみ(4/29)

 で、ここで話は『雪風』に移るのですが……この話も、「チキンブロス」のようにストーリーの重要なネタになっているものを除いても、旧シリーズ『グッドラック』ともに、飲食シーンが結構多いです。が、読んでいて思わず同じものを作ってしまった(即、真似できるほど調理が簡単なメニューだったというのも大きいですが)『ライトジーンの遺産』のコウに比べると、こちらの主人公・深井零氏の食事シーンはというと……

 チャーハン、チキンブロス、スパニッシュサラダにミートローフという昼食をたいらげる。
■『戦闘妖精・雪風』(p.102)『戦闘妖精・雪風<改>』(p.119)

 カロリー高そう…。やっぱり、パイロットって重労働なんだろうな……というのはさておき(^^;;)、個々のメニューそれ自体はわたしもわりと好きなものですが(スパニッシュサラダは何が入っているか謎ですが)、なんか食欲そそられないんですよね〜。その直前に出てきたブッカー少佐の昼食メニュー「ハムバンとコーク」の方が、よっぽど美味しそうに見える。
 #コークは苦手なので、ドリンクはオレンジジュースかウーロン茶にチェンジ願いたいですが(^^;;)。
 本文中では「質素」「わびしそうにぱくつく」と描写されているにも関わらず、むしろその描写故にいっそう、「だったら同メニューでもっと美味しそうなの作ってみようかな」って気分になってしまうんですよ。
 それってやっぱり、コウの場合と同じく、「それなりに人生を楽しんでいるヤツの食事は美味しそうに見える」ってことなのかも。「わびしそう」って形容から、ブッカー少佐の「食事は楽しむものだ」って基本姿勢が伝わってくるような気がするんですよね。質素なメニューになってしまった原因からして「カードで負けて、食券をまきあげられてね」だそうですし……(^^;;)。
 これが零だったら、そういう「質素」なメニューも、先に引用した(少なくとも品数とカロリーだけは豊富な)メニューを片づけるのと同じような顔をして淡々と片づける……というか、そもそも「カードで負けて食券をまきあげられる」なんてハメにならないと思う。だって、零って、カードに限らず、賭け事全般をやるような相手がいない(持とうとしない)じゃん(笑)。
 #もしかしたら、ジャックとはやってるかもしれませんが、それでも7:3でやってない確率の方が高いと思う。
 で、食事についても、引用箇所のように具体的な料理名が挙げられているのは、ジツは「ブッカー視点」で、零自身は、自分が何を食べてるかロクに認識していないんじゃないか、とすら疑っていたり……(^^;;)。いや、「炭水化物XXg、タンパク質XXg、脂質XXg……総カロリー……」なんて大まかな計算はしているかもしれませんが(爆)。たぶん、このメニューに決めたときも、(食堂がカフェテリア形式だったとしたら、ですが)ケースに並んでいる現物(サラダの葉っぱの鮮度とか)じゃなくって、壁だかケースに貼られてる栄養成分表やカロリー表示だけを見て選んだのよ、きっと。<決めつけるなって(^^;;)
 零の場合、もはや「食事」ではなく、「燃料補給」って感じで黙々と食べてそうな気がします。一応、咀嚼はしていそうですが、それだって「味わう」ためじゃなくって「消化に必要な手順を踏む」みたいな感じで、直接胃に放り込むことが可能なら、その方が手っ取り早くていい、なんて思っていそう……と、なんかもう、考えれば考えるほど、零の食事シーンって、不味そう〜〜〜〜(^^;;)。<だから、決めつけるなって

 というわけで、OVA版ジャックと零の初対面のエピソードのセリフは、ジツはワタシ的には非常〜〜〜にツボ、というか「内心そうじゃないかな〜って思っていた処をズバリと突かれた」モノだったんですよ。

「(前略)癇に障る飯の食い方をする奴だと思ってな」
「ありゃあ、メシ食うときの顔じゃなかったぜ」
「旨いか不味いかも感じてなかったんだろう」

■「戦闘妖精・雪風 解析マニュアル」収録 OVA脚本最終決定稿より

 こちらを読んだのはOVA発売前、脚本読んだだけでも全体のデキに「?」がつく予感はヒシヒシとしておりましたが、それでも、このシーンだけは、思いっきり期待してたのですが、実際は……(^^;;;;;;)。
 ジャック曰く「メシ食うときの顔じゃない」顔っていうのは、ああいうのじゃなくって、もっとこう、心ここにあらずというか、とことん無表情で機械的に手と口だけを動かしているんだと思うんだけどなぁ……。「パーティー」のシーンも、どうせなら、冷凍ピザじゃなくって、ジャックの手料理だったらよかったのに。キッチンに「ミード夫人の家庭料理百科」広げてエプロン(あ、フリフリじゃなくって、キャンバス地のシンプルなのね、念のため)着けて奮闘するジャックと、テーブルでは、無理矢理押しつけられたボウルのジャガイモをめんどくさそ〜〜に潰す零ちゃん、とかだったら万々歳だったのになぁ……ブチブチ。<今更ですがグチ


『ライトジーン』の食卓(4/28)

 ワタクシ的「食べ物が美味しそうな神林作品第一位」は、文句なしに『ライトジーンの遺産』です。この作品、「ウイスキー」が旨そうに書かれていることは、巷の書評で既に幾度も触れられていますが、「食事」のシーンも同じくらい美味しそうなんですよ。別 に『銀英伝』のように珍しげな料理名を羅列しているわけではなく、「温めたパック入りソーセージ」とか、「カビの生えている部分を切り落としてトーストしたパンと蜂蜜」とか、「出稼ぎ先の工事現場の食堂の特大オムレツ」とか、一人暮らしの、ぶっちゃけて言っちゃうとビンボーな(^^;;)中年男らしい、いかにも慎ましやかな食生活で、味についてもほとんど描写がないんですが、読んでいると不思議に「あ、食べてみたいな〜」って思っちゃうんですよね。
 やはりこれは、コウのの人徳というか、のほほんとしたキャラクターの賜物と言えましょう。酒を愛し(でもけっして「アル中」ではない)、本を愛し、人生を愛する彼は、おそらく日々の食事も心底楽しんで食べているんだろうなぁ……というのが読んでいてジンワリと伝わってくるんですよね。『ライトジーン』はコウの一人称で話が進むので、自ずと読者は彼の感覚を共有することになるのかも。
 だから、冒頭に述べた私見:「食べ物が美味しそうな神林作品第一位は『ライトジーンの遺産』である」というのは、正確には、「美味しそうにものを食べる神林キャラ第一位は『ライトジーンの遺産』の主人公セプテンバー・コウこと菊月虹である」ということになるのかな。


SFマガジン6月号(4/26)

 世間ではGW初日の本日、カイシャ帰りに(T_T)、立ち読みしました。>SFマガジン6月号
 新刊・重版情報は、神林関連では『戦闘妖精・雪風<改>』『グッドラック 戦闘妖精・雪風』と『敵は海賊・猫たちの饗宴』の重版情報のみで、新刊予定はナシ。多田版『YUKIKAZE I 戦闘妖精』の情報もナシ(^^;;)。
 『雪風』はまだまだ快調ですねー。昨夏のOVA1巻発売&神林長平フェア以来、いったい何回重版してるんでしょうか?(^^;;) まぁ、再販一回あたりの部数が昔よりも少なくなっているのかもしれませんが……。なんにせよ、売れ続けているのはめでたいことです。『敵海』の重版は、やっぱりDVD効果ですかね? こちらもジンワリと盛り上がっていって欲しいものです。シリーズものって、間が空きすぎると読者が待ちくたびれて離れちゃって、ようやく新刊が出ても、あんまり売れないってことがあるらしいので(^^;;)、ここらで新規や「出戻り」読者の開拓をしておいて、その読者層が維持できている間に新刊発行……ってなると良いですねぇ。
 後は、巻末のコメントによると、ハヤカワ文庫より来月出る『不在の鳥は霧の彼方に飛ぶ』(パトリック・オリアリー)なる作品に神林が解説を書くとか。件の作品については、SFM今月号の中の方の二色グラビアのページに見開きで記事が載っていたのですが……うーん、よくわからん(^^;;)。神林のコメントいわく「自分が死んでいることに気がつかない者に死の世界への道筋を教える(<このあたり、かなりうろ覚えです)、『死者の書』」……って、神林作品で言うと『死して咲く花、実のある夢』なんでしょうか?(^^;;)  正直、現時点では買う可能性はかなり低いのですが、とりあえず解説だけは立ち読み決定です(笑)。


「蝕」ではない(4/24)

 いわゆる「SF」と呼ばれるジャンルでは、「食」というと、「蝕に入る」とか「腐蝕性ガス」とか、「虫」つきの「蝕」の方を発想する人の方が多そう…なんて言ったら、偏見だろうか(^^;;)。ちなみに、ATOKでは、そのままだと「日食」「月食」「腐食」……と、みんな虫ナシの「食」で変換されました(^^;;)。もしかして、新聞や教科書では今はこっちの字を使っているのだろうか……

 それはさておき、前回は「SF作品に美味いものなし」的な書き方をしてしまいましたが、実は、国産超有名「SF」の中で、それこそレシピ集や食エッセイで本が作れちゃいそうなくらい、食べ物が頻繁に登場する作品があることにお気づきの方はいらっしゃいましたか? わたしも別に失念していたわけではないんですよ〜。ただ、諸々の事情で、取り上げると長くなりそうだったので、とりあえずスルーしてしまったのです(^^;;)。
 というわけで、改めてご紹介。その作品の名は

『銀河英雄伝説』 田中芳樹

 印象的なエピソードやシーンの中で登場する料理名だけでも、「アンネローゼ姉上のフリカッセとチシャのサラダ」とか、「マダム・キャゼルヌのラズベリー・パイ(密書入り)」とか、「フラウ・ミッターマイヤーのブイヨン・フォンデュ」……等々、おそらく十指に余ります。特に派手なエピソード付ではないシーンでも、たとえば、フレデリカさんとユリアンがイゼルローン内のカフェ(だったと思う)でお茶した時、フレデリカさんが食べているケーキの種類に具体的な名前を挙げていたり、寝起きのユリアンがベッドの中で半覚醒の頭で朝食のメニュー(これがまた、やたらと凝ってるんだ)を考えていたり……と、こちらも枚挙に暇がない。家庭料理だけでなくレストラン(『三月兎<マーチラビット>亭』や『白鹿<ホワイト・ディア>亭』、『海鷲<ゼー・アドラー>』等の店名もでたり)のメニューから、ファーストフード(ヤンとビュコック提督がフィッシュ・アンド・チップス片手に公園で密談、なんてシーンありましたよね?)まで、そちらの方面でのバリエーションも多彩……と、マジで料理関係の専門家の監修で「銀英伝の食卓」ってな本を出してくれないだろうかと期待してしまう(^^;;)。

 ただ、こうして列挙してみると、『銀英伝』の食べ物と、神林作品の食べ物って、やっぱりかなり違うなぁ……という気がします。
 『銀英伝』の食べ物って、極言しちゃえば、「異国情緒」を出すための「文化的記号」なんですよね。帝国側で使われるドイツ語や二人称の「卿」なんかと同じ「言語によるファッション」のひとつとも言える。重要なのは、「料理名」の方であって、食べ物それ自体ではない。きちんと統計を取ったわけではありませんが(^^;;)、「名前」に比べたら、食べ物それ自体の描写(作るシーンとか味とか)の登場頻度は、意外なほど低いと思いますよ。
 その描かれ方は、翻訳物の「児童文学」に登場する食べ物に似ているかもしれません。最近でこそ、世界の食材や料理が簡単に手にはいるようになりましたが、わたしが子供の頃は、「ビスケット」と言えば、森永のマリーのような薄くて固いもので、柔らかくてシロップをかけて食べる「ホットビスケット」や、クリーム(それも、ケーキにかけるホイップクリームとは違うものらしい)とジャムをつける「スコーン」なんて、具体的にどんなものかなんて、想像もつかなかった。ローズマリーやミントがどんな香りのするものかも知らなかったし……。でも、原語でそれを読む文化圏の子どもたちには日常的なものだから、作中で具体的な作り方や味についてこまごま説明されることはない。それだけに、日本語で読む読者には聞き慣れない食材や料理の「名前」だけが、「なんだかよくわからないけれど美味しそうに思える夢の食べ物」として認識され、「異世界」をイメージする強固な手がかりになったんですよね。

 対して、神林作品の食べ物は、食材や料理自体はごくありふれたもので、どうかするとまともな「料理名」すら出てこなかったりしますが、ジツにこう作中で「生きている」んですよね。「美味しそう」であればモチロンのこと、マズければマズイなりに。ある意味、食事するキャラクターの人間性や内面まで象徴しているんじゃないか?って感じるときすらある。
  ……というところで、今夜は時間切れにつき、これまで(^^;;)。具体的な説明は、また次回に。

 職場ネッターさんの方は、もしかして、次においでくださるのは5月の連休明けかしら? それまでには、続きをまとめるつもりですので、またご来訪いただければ幸いです。


文学の中の「食」の話(4/21)

 世の中には小説に登場する食べ物を集中的に扱った本がいくつか存在しますが、わたしが見る限り、かなりハッキリした二系統に分かれるような気がします。一つは、『赤毛のアンのお料理ノート』のような、純然たるレシピ集というか「お料理本」で、装丁も写真やイラストを豊富に使ったカラフルなもの。もう一つは『鬼平料理帳』のような、レシピはナシ、作中の登場箇所を引用しつつ、作品解説したり、背景の蘊蓄を披瀝したりといった「食い物エッセイ」の類。『剣客商売包丁ごよみ』や、『ミステリ亭の献立帖』みたいにレシピ付きの本もありますが、そちらもどちらかというとエッセイの方が主体になってる感じ。
 この両者は、題材となる小説にもハッキリとした傾向があります。前者は『赤毛のアン』以外では、『メアリー・ポピンズ』『くまのプーさん』『大草原の小さな家』といった、いわゆる「児童文学」に分類される類の本。後者の方は、『鬼平』『剣客商売』『梅安』の池波正太郎もの以外では海外ミステリ。……と、なんか、見事に「女子供向け」「オトナ(の男)向け」に色分けされちゃってるんですよ。著者も、わたしが知る限り前者は女性、後者は男性と、100%分かれてますし。わたしゃ、どちらの系統の本も好きなだけに、なんとも釈然としないものを感じますな(^^;;)。
 池波作品は女性読者(もしかしたら料理好きの男性読者も)多いんだから、グラビアをいっぱい使った豪華な料理本やお店紹介本が出たっていいし、「児童文学」ネタでも、英文学者さんが、飄々と、あるいは(多くのグルメエッセイにありがちなように)ややイヤミったらしく(^^;;)食に関するウンチクを傾けるエッセイ集(出口保夫の紅茶エッセイみたいな)なんてのがあってもいいと思うんだけどなぁ……。別に『イギリスはおいしい』のリンボウ先生のようにご自分でお料理される方でなく、自分じゃ包丁を持ったこともないような方が、ひたすら「食べる側」に徹して話をしてるだけでもいいし。もっとも、「児童文学」の食べ物は「家庭料理」が圧倒的に多いから、そういうネタで「食べるだけオヤジのウンチク」ってのは非常に難しい上に、読者ウケが悪いような気がしますが(^^;;)。<だったら言うなよ。

 ……と、前置きが長くなりましたが、ここからSFの話。「ミステリに登場する料理エッセイ」が存在しても「SFに登場する料理エッセイ」が書かれない(寡聞にしてわたしが知らないだけかもしれませんが)のは、やはり、とっさに『ソイレント・グリーン』とか『ひとめあなたに…』とか、はたまた筒井康隆とか、食欲減退な方向に発想が行ってしまうせいでしょうかね?(^^;;)
 #わたしゃ『ひとめあなたに…』以外は未読なのですが。
 そんな中、読んでいて思わず同じものが食べたくなってしまうような食事シーンが登場する神林作品は「SF」としてはもしかしたら少数派なのかもしれません。でもこれって、作者が食道楽であるからというよりは、「食事と排泄というのは生きていることを実感させてくれる強力な現実感覚だ」(『ライトジーンの遺産』「ダーマキスの皮膚」より)という意識が常にあって、作中の「現実」ないし「非現実」の境界線として「食事シーン」を使うことが多い、ということなのかも。
 『狐と踊れ』のように、本来「強力な現実感覚」であるはずの「食事」に非現実的な様相を見せることで、「作中人物ならびに読者にとっての『現実』」を揺り動かしてみたり、逆に、『太陽の汗』のように、ハタ目からは「幻想」としか見えない世界の中で、主人公に「食事」をさせることによって、「主人公にとっての『現実』」がどちらであるのかを示してみたり……等々、神林作品での「食事」や「食べ物」に注目すると、また違った光景が見えてくる……かも(^^;;)。
 勿論、そういう理屈なんてぶっ飛ばして、「美味しそうな食べ物」が出てくるシーンを数えるだけでも充分楽しいんですけど。


フェイント喰らった(^^;;)(4/19)

 え〜、来月、『ライトジーンの遺産』が、NEXTからソノラマ文庫本体にレーベルを移して新装版で再刊される模様。NEXTでは上下巻でしたが、再刊にあたり合冊されて1冊に戻るそうです。ちょっと気になるのは、

 >装画は、あの名小説誌「グリフォン」で登場した高河ゆん

 …ですが、これって、雑誌初出時の挿画を再録って意味……ってことはないよなぁ(^^;;)。いくらなんでも。
 いや、石堂藍さんのサイトの「初出順リスト」によるとですね、『ライトジーンの遺産』って、ほとんどは単行本書き下ろしですが、第一話の「アルカの腕」のみは、単行本の発行に遡ること3年半前(!)、「グリフォン」93年夏号に発表されていたらしいんですよ(単行本収録に当たってかなり加筆訂正はしたらしいですが)。で、その時の挿し絵が高河ゆんさんだった……と。
 最初にこの情報を知ったときは、結構衝撃でした。「高河さんのコウ? 無精ひげを生やしたU都宮とかだろうか? んじゃ、タイスは哲っちゃん? キャラ的には哲っちゃんはMJの方だと思うけど……」……とかとか(^^;;)。それでも、コワイもの見たさ(爆)で一度は見てみたくはあったのですが、まさか今頃、こんな形で実現しようとは……

注:わたしがちゃんと知ってる高河キャラは、某バンドのプロモアニメ(と言っていいんだろうな)の怪作『CAROL』のみです。とりあえず、声優陣だけはやたらと豪華だったんですけどねぇ……フラッシュ役の某氏も演技の質はともかく、「ビッグネーム」という点だけなら、「豪華キャスト」のウチだし(爆)。
うわっ、今検索かけて知った。キャロル役って、久川綾さんだったんだ。あの当時も、「新人なのに上手だなー」って思った記憶があった(また相手役が相手役だけに、いっそう…(^^;;))けど、道理で。

 まぁ、何はともあれ、この名作が再び店頭に並ぶのはメデタイことです。私見では「神林作品中、最も普通の(特に神林やSF好きというわけではない)読者向けにオススメ」だと思っていたのに、気がついたらNEXTの方では品切れになってて、秘かに嘆いておりましたもので……。


神林料理帳(4/18)

 神林作品を読んでると、しばしば、作中に登場する食べ物が無性に食べたくなることがあるのですが、実際に作ってみたのは、今回の「蜂蜜たっぷりホットドッグ」で2回目です。
 ちなみに、一番最初は、『ライトジーンの遺産』の「エグザントスの骨」に登場する、「真空パックのソーセージをパックごと鍋で温めたもの」でした(^^;;)。え、そりゃ「作った」とは言わないって? いえいえ、一番最初は作中に登場するような「パック入りソーセージ」がなかったもので、シャウ○ッセン(わが家の冷蔵庫にはほぼ常備している)を、丼にあけ、ポットのお湯を注いで数分放置……という、一応、「料理」と言えないことはない程度(生卵かけご飯も「料理」に含むとすれば、ですが)の手間はかけたのですよ〜。結局、翌日改めて「真空パックのソーセージ」も買いましたけどね。
 そのうちブッカー少佐の「ナン付カレー」とか、全神林作品中最も有名な(と思われる)料理「チキンブロス」にも挑戦してみたいなぁ……とは思っているんですけどね……。『七胴落とし』で、麻美ちゃんが作ってた「はまぐりの潮汁と、わかさぎの天ぷら」に比べたら、難易度はかなり低そうですし(^^;;)。
  #しかも、麻美ちゃん二つを並行して作ってるし〜〜〜。


実験しました(4/15)

 結局この週末も、神林作品は読まず……。『ランブルフィッシュ』の2巻を読み終わって、グインの最新刊(え…っと、89巻だっけ?)を半分ほど読んで、週明けのカイシャ返りには『御宿かわせみ』の新刊と関連本を買ってしまったので、おそらく今週いっぱいはこの辺を読むだけで終わってしまうことでしょう(^^;;)。

 ……というわけで、更に引っ張る「蜂蜜たっぷりホットドッグ」ネタ(^^;;)。ジツは日曜日の夕飯に実験してみたです。
 材料は、

  • (パスコかヤマザキの)セミハードタイプのドッグロール
  • 東急ストアのVマーク蜂蜜(アカシア)
  • デパ地下で買った粗挽きソーセージ(1ダース入り500円)<ちょっと贅沢(^^;;)
  • 他、マーガリン、マスタード、ケチャップ

 パンはオーブントースターで軽く焼き、マーガリン、マスタードを塗ったところに、フライパンで表面に焦げ目がつく程度に軽く炒めたソーセージを挟む。
 通常の場合、ここでケチャップをかけるところですが、今回は替わりに蜂蜜を「たっぷり」…とりあえず端の方にだけ(^^;;)、かけて食す。

 結果は……意外にイケました(笑)。
 ソーセージの塩分が(普段食べ馴れてるシャ○○ッセンに比べると)やや強かったのですが、それがちょうど蜂蜜で緩和されてまろやかになる感じ。食べた後、口の中に残る蜂蜜の匂いが多少違和感でしたが(^^;;)、クローバーのようなもっとクセのない蜜にすれば、もっと美味しいかも。その後、いつも通りにケチャップもかけてみましたが、蜂蜜の後のせいか、トマトの酸味がえらく気になっちゃいました(^^;;)。
 #ケチャップが古くなっていたかも…という可能性も捨て切れませんが(爆)
 なんというか、ワタシ的には「トマトに砂糖」以来の発見ですね。最初は抵抗があるけど、一度馴れてしまうと、元の「トマトに塩」の方に違和感を感じてしまうという……
 #ちなみに、北海道の方ではジツはデフォルトだという話ですが本当でしょうか?>「トマトに砂糖」
 今回はたまたま、蜂蜜との相性がいいソーセージだったのかもしれませんが、今度はシャ○○ッセンで試してみよう……


ハヤカワ版『ルナティカン』が(家の中で)見つからない…(4/11)

 この土日は、本格的に室内を発掘しないとあきませんな(苦笑)。ふと気がつけばハヤカワ版の『蒼いくちづけ』もずっと行方不明だし〜……と、それはともかく。

 昨夜出た、「蜂蜜たっぷりのホットドッグ」は、『ルナティカン』の中盤、ヒロインと主人公(たぶん)が痴話喧嘩の末、落ち着くところに落ち着いてステージは暗転(笑)。場面変わって……というシチュエーションの中に登場します。
 仲良くスーパーにお買い物に行って(ここで某OVAを思い出さないように!)、彼女がホットドッグ作って、彼がコーヒーをいれて……と、なんか、いかにも「出来上がったばっかりのカップル」の初々しくてほのぼのした感じが漂っていて好きなシーンですね。

 蜜が玉になってゆっくりと落ちる。きらめきながら。まるで時間が遅くなったみたいだとリビーは、それに見とれた。リックはホットドッグでそれを器用にうけとめた。二人は顔を見合わせて笑った。

■『ルナティカン』(光文社文庫版 140ページ)

 えー、念のために(後、『ルナティカン』未読の方のためにも)解説しますと、舞台は月で、ヒロインのリビーは地球からの旅行者、主人公のリックは生粋の月人(その中でも「ルナティカン」と呼ばれる、月社会での被差別階級の出身)です。当然、蜂蜜が落ちる速度は地球より遅く(6分の1、でいいのかな?)、地球からやってきたリビーには「まるで時間が遅くなったみたい」に非常に不思議な光景に見えるわけです。
 ここで、落ちるのがピクルスやチリビーンズだったら、やっぱりサマになりませんよね(^^;;)。キラキラ光る透明な玉というビジュアルと、できたてホヤホヤの恋人達の甘甘ラブラブぶりの象徴という意味では「蜂蜜」というのは妥当な小道具だとは思いますが……。
 が、しかし、何もよりによってホットドッグと合わせなくたっていいじゃん!っていう気がどうしてもしてしまう(^^;;)。話で聞く限りでは、到底美味しそうに思えないんですもの。引用箇所の直前でリックは「うまい」って言ってますけど、シチュエーションを考えたら、たとえ口が裂けても「マズイ」とは言えないと思うし〜〜〜(^^;;)。


食欲の春(4/9)

 春ですねぇ……。異様に早かった昨年よりはゆっくり咲いた(それでも過去の平均よりは早いとか)東京の桜はそろそろ終わりですが、東北、北海道の方々はこれからでしょうか? 
 ……と、時候の挨拶から入るのは、陽気のせいか、どうも今ひとつ脳みその方が神林モードになってくれないせいでして(^^;;)。ここしばらくの「通勤の友」も、三雲岳斗(ご本人のサイトはこちら。情報の内容、見やすさ、操作性等「良いWebサイト」のお手本のようなサイトですな。作品同様「イヤミなくらいスキがない」というか……)の『ランブルフィッシュ』(現在2巻の後半に入りました)ですし。同じ作者でも日本SF大賞新人賞受賞作『M.G.H』なら、まだ神林に絡めてお話しできたかもしれませんが、あちらは、だいぶ前に図書館で借りたものの読めずに返してしまったという前科があるもので、イマイチ手が出しづらい(^^;;)。
 #『ランブルフィッシュ』既刊分を読了したら再挑戦しよう、とは思っているのですが……

 そんな日々の中で、ここしばらくず〜〜っとアタマの片隅に引っかかっている神林関連のモンダイは、

 「蜂蜜たっぷりのホットドッグ」(@『ルナティカン』)って美味いのか?

 だったりして(^^;;)。
 ジツは、試そうとして、ソーセージもパンも買ったのですが、イマイチ勇気がでなくて実行に移せない(^^;;)。どなたか、試した方、いらっしゃいませんか?


更新されませんねぇ……(4/4)

 ……って、ウチの話ではなく(^^;;)。
 現在発売中のSFマガジン5月号を立ち読みしたところによれば、多田由美作コミック『YUKIKAZE I 戦闘妖精』の発売は「4月以降」(でも90%4月には出なそうだ)に延びたそうですが、ハヤカワのサイト、4月に入っても更新されませんねぇ(^^;;)。多田『雪風』は勿論ですが、刊行予定の光文社文庫系の再刊スケジュールも気になるのですが……。
 #SFマガジンによれば、とりあえず、今月は出なさそうですが。

 ところで、些細なことですが、ハヤカワのサイト「刊行予定」の項目の「記事はありません。」ってのは、ヤバイんじゃなかろうか(^^;;)。「刊行予定」自体がない=新刊が出ない→企業の危機……かと一瞬誤解してしまうじゃないですか。「ただいま作成中」とかにしておけばよいのに……


1983年4月(4/3)

 この4/1前後の数日、『ボトムズ』関連では「放映開始20周年」という話題がひっそりと流れておりました。何故「ひっそり」かというと、「20周年」の後にはほぼもれなく「なのに何も目新しいニュースがない」という愚痴がセットになっているからだったり……(^^;;)。
 まぁ、それはともかくとして、ジツは、『雪風』も、今年が「第一シリーズ完結20周年」なんですよね。特に、最終話「スーパー・フェニックス」が発表されたのは、石堂藍さんのサイトの初出順リストによれば、「SFマガジン83年6月号」。もし、当時の発売日も現在と同じ「号数の前々月の25日」だとしたら、「1983年4月25日」ということになりますな。
 # 『ボトムズ』で言えば、4話が終わったあたりですか……キリコがバトリング会場でパクられたところですね。
 商品展開としては先細る一方の『ボトムズ』に対して、『雪風』の方はOVAのおかげで良くも悪くも(^^;;)にぎやかに盛り上がり、新しいfanも獲得しているようで、めでたい限りです。

 ……って、こう書くと、なんか何かのスピーチみたいだな(^^;;)。久々に『雪風』ネタで書きたいことはいくつかあるのですが、今日は久々に残業で午前様で、へばっているので、今夜はここまで(^^;;)。明日(っつーか、もう今日だよ)は早く帰れると良いなぁ……


次の日記へ
最新の日記へ
前の日記へ
kayakoにメール
TOPに戻る
アクセス解析タイ・バンコク情報