『孤影再び』関連の検索でいらした方へ。こちらの感想は小説版についてです。アニメに関する感想は、2011年1月の日記、同2月の日記の方にあります。
先日、連載当時の感想をサルベージしたページを作ったところ、そこそこヒットがあったのと、先月の日記で「TVシリーズ終盤〜『赫奕』における、キリコのフィアナにたいする視線の変遷」を集中的に洗い直しているうちに、『孤影』の連載終盤の大ネタに触れざるを得ないことに気づいたので、ついに観念して(っていうと大げさですが)全17回を読み返しました。
リアルタイムで追っかけてたときには「文章がヘタ! 今なにが起こってるのかわからない!」ってさんざんぶーたれてたですが、「結末」を既に知った状態で、また、当時「何が」わからなかったのかのポイント(キャラクターの区別
、そこに至るまでの状況…等)を自分の中で押さえながら一気に読むと、それほど気にならなかったです(^^;;)。
#連載終盤の誤記の嵐だった回はさすがに気になりましたが。
でも、やっぱり構成はすごくヘタだと思う(爆)。キリコが街の外で戦う〜街に入ってバニラ達(ないし街の住人、テイタニア)と会話〜また街の外へ〜ってなパターンが幾度も繰り返されるけど、これ半分以下に減らせると思うし……その辺り、OVAではかなり整理されると期待していいのかな?
というわけで、連載当時はまともに書く気になれなかった感想…というより、気になったところや気づいたところを、連載の順番問わずにランダムに上げてみようかな……と。OVA公開までまだ2ヶ月半もあることですし、時間つぶしもかねて、よろしければ、おつき合いください。終盤のネタバレについては、いきなり見てしまうことがないように、できる限り配慮いたしますので……
で、最初のネタは、日経エンタテイメント誌上のヘッダ(ページ上部の見出し)の件。
「弧影再び」になってるんですよ、初回から最終回までずっと(^^;;)。監督直筆のタイトルが達筆すぎて読めなかったのかしら…にしても、ゲラなり刷本なりもらった時点で作者サイドから指摘しろよ(^^;;)。
もっとも、目次の方は、間違ってたのは初回のみで、2回目以降はちゃんと「孤影〜」になってます。ということは、そこでは誰かが気づいてくれたのでしょうが……なんでヘッダはそのまんまだったんだろう……
……す、すみません(^^;;)。次回はもっとまともなネタをふります。
サルベージ編でも書いたように、実はリアルタイムで追いかけても、作中で何が起きているのかさっぱり把握できていなかったもので(^^;;)、再読に際しても、後半(どころか、大半…かも)はかなり「初見」に近い感覚で読めてしまいました。「敵キャラ」が途中で入れ替わってたなんて、気づかなかったよ(爆)。<「覚えてない」ではないところがポイント(^^;;)
厳密に言うと、敵キャラA、B、Cがいて、最初は「胡散臭いヤツ」ではあっても、一応「敵」には見えなかったBが実はAと組んでいて、しかも正体を明かして間もなく、一方は退場してしまい、入れ替わるようにCというキャラがちょっとだけ出てくる……というカンジかな。んで、わたしはそもそもAとBの区別
がほとんどついていなかった(一方の属性=元凄腕のスナイパーを、もう一方の属性だと間違って記憶していたし(^^;;))上に、終盤になって登場したCのことは正真正銘まったく覚えていなかったです(^^;;)。
まぁ、この辺りは劇場公開がもっと近づいた頃にでも予習を兼ねて整理するとして、とりあえず後回し(^^;;)。今回取りあげたいのは、連載も終盤に入った(って、リアルタイムで読んでるときにはそうとは気づきませんでしたが)「第14回」。
日経エンタテインメント! 2007年6月号掲載のこの回で初めて、それまで「新作決定!」とだけ告知されていた作品が「装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ 07年夏より開始」と、タイトルが掲載されています。
そのご祝儀…というわけでもないでしょうが、作中では、(無謀な行動に出たバニラの息子を助けるために)投降したキリコ
と対面した敵キャラが、こんなセリフを:
「我々軍人の間に流布されたペールゼン・ファイルズという怪情報がある。それはもう随分と古いものなのだが、定期的に亡霊の様に蘇る。ま、一種の超人伝説なのだが……レッドショルダー創設者のヨラン・ペールゼン少将の見果 てぬ夢でもあった。またその夢にたまたま惑わされるものが出現する。たとえばメルキア情報省次官フェドク・ウォッカム。彼はそれでギルガメスにとって取り返しのつかない犠牲を払った上身を滅ぼした」
日経エンタテインメント! 2007年7月号 p.151より(以下引用箇所同じ)
……「予告編」どころか、思いっきり結末ネタバレしてんじゃん!(爆)
もし、当時のわたしがマジメに(^^;;)この連載読んでたら、数ヶ月後にリリースされたPFでウォッカムさんが登場した瞬間、「この見るからに傲慢エリート(その上いきなりホモホモしさ全開!)な彼が、ペー様に弄ばれた挙げ句捨てられるオトコなのね…(違!)」と分かってしまったのか……。そう思うと、内容ろくに覚えてないのは、逆によかったのか?(笑)
しかし、ウォッカムさんって、やっぱり歴史に残っちゃってましたか……。そりゃ、モナドの「軍事的政治的争奪ポイント丸ごと消滅、死者一億二千万」は、あの年がら年中戦争やってるボトムズ世界の中でも、記録に残る天文学的な犠牲だろうから、その作戦の「発案者(いいだしっぺ)」として、後世に汚名を残すのは当然のこととして(たぶん、ついでにこれ幸いと他の人間のやったこともイロイロ押しつけられて、最終的にはかなりの尾鰭がついただろうし…)、それだけじゃなくって、「ペー様に弄ばれ…(以下略)」ってところまで、
(ごく一部限定とはいえ)後世に伝わってしまうのは、真にお気の毒という気がいたします……(^^;;)。
って、ご紹介したい本命はこちらではなく、その直後。「ペー様のファイル」の話が出ると言うことは、むろん、先方が興味を持つのは「ペールゼンの夢(←作中記述ママ。「野望」とか「野心」じゃないのね(^^;;))を砕いた兵士」、我らがキリコちゃんのこと。
「不適格。その兵士は軍人に於けるもっとも大事なことが欠けていたのだ」
(中略)
「上官に対し、いや軍そのものに対する徹底した不服従」
……と、視聴者にとっては既に耳タコなフレーズが続くわけですが、それに対して、キリコちゃんが反駁するという、驚天動地の展開が!!
「それは違う」
キリコが初めて口を開いた。
「あれは、病理現象だ。病気の反射行動としての反抗だった。その証拠にあの後俺はペールゼンの立てたサンサでの作戦に参加し兵士の責を果 たしたつもりだ」
え〜っと、相変わらず言葉遣いが固いんで(読点もないし…郷田さんが息継ぎ困りそう…)、柔らかく言い換えると
「ちっっげーよ!
あれは、病気の発作だってーの!
こっちは別に上に逆らったつもりねーし!
っつーか、あの後オレ、サンサではきっちりシゴトしてっし!」
みたいな?(爆)……って、す、すみません、動揺のあまり崩しすぎました。 先程、『ROOKIES』のメイキングDVD(ドラマの方)観たばかりなんで、安仁屋役の市原隼人君の口調が脳内に染みついちゃって……(^^;;)
#あんにゃ口調は非常に洗脳度が高いらしく、『メロウリンク』で原稿書いてるときも、油断すると、メロウが「…るせーよ、バァカ!」とか言いそうになって困りました(^^;;)。
…って、脱線してすみません。いや、わたしの記憶にある限り、キリコが「他人が自分に貼ったレッテルに対して文句つける」なんて、前代未聞、少なくとも現時点では『幻影編』を入れても「空前絶後の大事件」ではないかと思うのですよ。
基本、他人に何か追求・要求されたときは「知らない」「俺には関係ない」(深井零@『戦闘妖精・雪風』かよ!)でかわしちゃってる印象が強くて、こんな風にまともに抗弁する彼を見たのって、このシーンが初めてという気がします……
#フィアナへの「そんなに見つめて何がいいたい」(@「二人」)や、「許してくれ、ワイズマンを騙すために…」(@「流星」)は、「反駁」「抗弁」とはニュアンス違う気がするし……
が、そんな稀にみる現象が起きてるというのに、敵キャラはあっさりとスルー(^^;;)。キリコちゃんの方も、またまたお得意の「俺には関係のないことだ」に戻っちゃって、この場は終わるのですが……いや〜、なんでこの異常事態に気づかなかったんだ!>初読時の自分
たぶん、この下りはアニメの方ではカットされてる気がするので、「良輔の筆がすべった(んで、キリコのキャラがちょっと変わっちゃった)」ってことで終わってしまう見込みが濃厚ですが(^^;;)。万一、将来、何かのシーンとふっと繋がって「これがキリコちゃんの内面 の変化の兆候だったんだ」ってことになるかもしれないので、一応ここに記録しておきます。