良い子は信じちゃいけません
超偏向極私的 各話解説
(ウド編)

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7話「襲撃」

主人公が強盗を働く回(爆)……ウ、ウソは言ってないもん!
いえ、話自体は情報収集から始まって、二転三転する状況の中、まんまと目的のブツは頂くという実に痛快な展開で、子供の頃、ワクワクしながらルパンを見ていたときの感覚で楽しめたのですが…。よく考えると、ちょっとマズイかも(^^;;)。泥棒は人を殺さないけど、強盗は必要とあれば殺傷OKですものね。
あとは、随所に見られる『ブレードランナー』モチーフとか、「エウノイ」とか、ストーリーには直接関係ないんだけど、細かい部分が印象的な回でした。
ああ、そうそう! ウド編の冒頭では、治安警察と対等の勢力を誇っていたブーンファミリーの皆様ですが、この回に入る頃にはすっかり零落(?)してしまった模様。空港でのバトルを最期の花道に、物語から退場なさいます。「入れ替わり」のように、バッテンタイン閣下の命を受けて、ロッチナがウド入り。
以後は、「治安警察(組織)」「メルキア軍」「キリコ」の三つ巴が展開されることになります……。

 

◆キリコの行動フローチャート◆ チャートのみ呼び出す

ヘリで、バニラの塒へ戻る*1 >> バニラ達をはぐらかして(また(^^;))外へ

>> 捨てられたマネキンに「素体」を思い出す

>> 屋台(ブレラン風(^^;))で「ジジリウムの運び出し」の情報をGET

>> アヤシゲなペットショップ(ここもブレラン風(^^;))にてエウノイ入手

>> エウノイ攻撃で警官を尋問。「運び出し」の時間・場所を訊き出す
(キリコをマークしていたココナ、「運び出し」情報をゴウト&バニラへ)

>> バニラの塒へ帰還*2 >> ココナ帰還*3。情報が暴走族に洩れたことを知る

>> ためらうゴウト&バニラをそそのかす(^^;;)*4 >> 予定通り空港襲撃

>> 暴走族VS治安警察のドサクサまぎれにジジリウムをかすめ取る   
「なにもかもが上手く運んだ。手に入れたジジリウム、おれには何の値打ちもないものだが、
こいつが素体と関係があるなら、今度は彼女が乗り出してくるかもしれない……おそらく…」

 

……なんか、こうやって書いても面白くともなんともないな(^^;;)。
この回の見どころは、「あ、『ブレラン』だ〜っ!」って「パロディ」の雰囲気にアリ……というのは、前述の通りですが、後はキリコの「セリフ回し」っていう、これまた「粗筋」ではこぼれてしまう部分なんですよね〜。
実はわたし、この回を見たのは、4年前のビデオ再販の際が初めてだったんですよ。「総集編」では、この辺りのエピソードはカットされていたもので……。
で、その時点で本放送から既に13年の歳月が経っていたわけですが、正直言って、この回のキリコには、「誰っ!? 誰よ、このヒト〜〜! アタシ知らない!!」的な衝撃を受けました。(笑)
無論、その筆頭は、「エウノイ」の解説をする、ナニカにとり憑かれたように喋りまくる(ジェスチャー付き!)キリコですが、その直前、お巡りさんを呼び止めるときの

「運び出しですよ。ダンナ……(中略)……商売あがったりなんでね」

のセリフも、わたしにはインパクト強すぎでした(^^;;;)。
キリコって、確かに元は「一兵卒」ではあるから、「上官」に「敬語」使うのは別に構わないんですけど、「営業用スマイル」や「お愛想」は、絶対似合わない!って感じでしょ? つまり、根っから「商人」や「芸人」には向かない……正確に言うと、「他人を“ダンナ”と呼ぶ階級や人種(商人・芸人等)には絶対見えない」男というか……
あ、「階級」とか「人種」って言っても、別に「差別的な意味合い」ではなくって、なんて言えばいいのかなぁ……
時代劇で、尾羽打ち枯らした浪人が、豪商に「用心棒」として雇われて……ってシチュエーションでも、「雇い主」である「商人」の方が「実際の立場」は上でも、「言葉」の上だけでは「浪人」の方を、「ダンナ」とか「先生」とか言って立てているでしょ?
「貧乏なのに“ダンナ”って呼ばれる」っていうと、現代劇では、「刑事(警官)」に対する「カタギでないヒト(の下っ端)」の呼びかけがそうかな……
で、キリコって、確かに「貧乏そう」で、「雇われて、食わせてもらっている」側の人間だけど、他人を「ダンナ」と「呼ぶ」立場に身を置くことはない……っていうのが、わたしのイメージです。
「浪人」とか、「刑事」みたいな、「貧乏だけど“ダンナ”って呼ばれる」立場なら似合いそうだけど……。
そう思う「理由」っていうと、単に、「妙にエラソー」で「態度がでかい」というのがほとんどではありますが(^^;;;)、やっぱり一つには「言葉遣い」っていうのも大きいかな…と。
#「げっ、マジかよ?」とか、「やっべぇ」とか口走るキリコなんて、想像つきます?
そのキリコが、「お上」に対して「ダンナ」って呼びかけるっていうのが(態度はやっぱり、「妙にエラソー」とは言え)……わたしとしては、元々「イジメられっ子」タイプのエイジ君(@『レイズナー』)が、「乞食ルックで敵の靴を舐める」シチュエーションよりも「落差」が大きく感じられて、ショックでした。(笑)
仮定の話ですが、もし、あのままゴウト達と親しくならなかったら、さすがのキリコも、「食うため」に、「商人」の仕草や言葉を身につけたりしちゃうんでしょうか? ……やっぱり想像つかない(^^;;)。

まぁ、その辺は置いておくとして〜
この回あたりから、キリコの、三人組との会話も、だんだん「リラックス」というか、「カドが取れて」きている感じがします。まぁ、エウノイの時の、「ナニカにとり憑かれて」いる状態が続いているから……という疑いも捨て切れませんが(^^;;)。でも、つきあいも結構長くなったし、幾度も一緒に危ない橋を渡ったし……なんてことを考えると、この辺りから、ぼちぼちキリコの方の「警戒心」が解けてきてもおかしくないかな……と。

たとえば、*2〜*4のシーン。

「ココナのか? よせ。また一緒になるのはこりごりだ」

「あんたらが武器の手入れとは、珍しいこともあるもんだな。……何を企んでいる?」

「誰がつきあえと言った? (中略) ただし、こいつをオレ一人で修理するとなると……」

「心を許した」なんて、お世辞にも言える状態ではない。*4も、「手を組もう」という呼びかけではなく、「相手を利用するために、弱みにつけこんでカケヒキしている」って風にも取れる。
けれど、なんだかんだ言いながら、相手の「人格」を認めてきているっていうのか……「ココナ」って、「名前」を口に出すあたりなんて、その「象徴」じゃないか……なんて、思うのです。
それ以前は、「相手を個別認識していない」というか、キリコの中での3人組の存在って、「うさんくさい闇商人の年寄り」「鳥の巣頭の若い男」「赤毛の小娘」てな感じに、「名無しの存在」だったんじゃないかな……。
キリコが「名前」に対して(あるいは「言葉」全般について)、鋭敏な感覚の持ち主だということは、「フィアナ」の一件でも明らかですが(詳細は11話の解説で後述します(^^;))、それは、こんな部分からも窺えるように思います。

それとは同じ意味なんだけど、ちょっと毛色が違った面白さがあるのは、*3の直前のシーン。
ココナの帰りが遅いのに苛立つバニラに、「気になるのか?」って、キリコが突っ込みいれるでしょ? これ、取りようによっては、バニラ本人が意識するよりも前から、彼がココナに惚れてるってコトに感づいて、わざと突っついている……と言う風に見えなくもない(^^;;)。
#その後のゴウトのセリフは確実にそれだと思う。
果たしてキリコがそこまで気の回るヤツか? キリコ本人には、そんなつもりなんかなくって、単に何気なく口にした科白だろうというのが、妥当な見方なんでしょうが……。
でも、キリコって、見た目ほど他人に「無関心」ってわけでもないのかもしれない。基本的に、見るところはちゃんと見ていて、「周囲の雰囲気」とか、「他人の心情」みたいなものに対しても敏感なんだけど、それが自分の身に「危険」として降りかかって来ない限り、「放っておく」だけで……。
あるいは、彼自身も「自分が気づいていることに気づかない」のかもしれない。
いずれにせよ、全部、見て、知っていながら知らん顔を通すのが、それまでの彼のやり方だったのかもしれないけれど(やなヤツだなー(^^;))、でも、腐れ縁でもつきあいが続けば、だんだんそうも言ってはいられない。他人同士の感情のもつれに首を突っ込むようにもなる…。
このシーンって、そんなニュアンスがあるのかもしれない。
#「かもしれない」がやたらと多い文章ですね(^^;;)。

ちょっと話は先にとびますが、『ザ・ラストレッドショルダー』で、キリコがバイマンの手に火をつけるシーンあるでしょ? 初めて見たときは「コイツこんなに気の回るヤツかい?」って、多少疑問だったんですけど…。こうして初めから三人組とのつきあいを見て、ようやく納得できました。
なんとなく思うんですけど……、「バイマンの義手と屈折した心理に気づく」までは、「ウド以前」のキリコでもできたとは思うけど、「火をつける(ムーザに見せる)」行動や、「見ている方が辛い」のセリフが出るのは、「ウド以降」のキリコだからじゃないか……なんて。

…っとお、肝心なこと忘れるところでした。

「なにもかもがうまく運んだ。(中略)こいつが素体と関係があるなら、今度は彼女が乗りだしてくるかもしれない…」

……なんか、もう完全に目的すり変わっちゃってません? “謎”を突き止めたいのか。“彼女”のことを知りたいのか…。彼にしてみればその二つはイコールなのかもしれませんが、ハタから見ると、もう…ねぇ? 次の回の冒頭でも、「あの女に会えば…」なんて、言ってます。前回の「治安警察の署長に会えば…」と、形の上では同じセリフなんだけど、実際に「会った」時の態度が違いすぎ(^^;;)。

一目惚れっていうと、最初っから「このひとこそ自分の求めていたひとだ」って確信する自覚症状アリ型をまずイメージするけど、このタイプって、しばしば「確信」が「錯覚」だったりするのに比べて、キリコみたいな自覚症状ナシ型は、本人にはまったくそのつもりがないだけに、どんどん深入りしちゃって、気づいたときにはもう重症。手の施しようがなくなって……と、まさしく「恋の病」(^^;;)。


*1:バニラ機を追跡する治安警察のヘリ。その視点から映るウドの街並み。
宙に浮かぶ巨大なバニーちゃんのイルミネーション……って、この辺も『ブレラン』(^^;;)。
#「本家」はバニーちゃんじゃなくって、「ゲイシャ・ガール」でしたが……

*3:この時の、ココナちゃんのピンチについては、別に雑文コーナーにて私見を述べております。
よろしければご覧下さいm(__)m。


フィアナフリーク、ちょっとだけ語る。

この後しばらくは、また「今日のファンタム・レディ」状態ですね(^^;;)。
でも、今回はセリフ付き〜! ちなみに、前回は「セリフ」はなく、「あ…っ」という“声”とも“息”ともつかないものが、2つあっただけでした(^^;;)。後に、アニメ誌で「こぼれ話」として語られた「出番がない予定だったのに(弥永さんが)来ちゃったから、しかたなく“息”だけを入れてもらった回」というのは、6話のことだったのかしら……。

ともあれ、ファンタムレディの「今日のお言葉」。
「おまえの浴室にあった汚い足跡はなんだ!?(キリコ達を見ただろう!?)」と詰問するボローに対して、冷ややかに答える。

「彼がそこへ来たからでしょう。でもあたしは会っていないわ」

ふぅ〜〜………ウットリ(*^_^*)。
なんか、この回の彼女って、妙に「強気」ですよね。ボローに対してもタメ口きいて、「悪の女幹部」というカンジ(^^;;)。
ウド編も終盤は、もうちょっとおとなしめ……というか、ボロー達への口調も丁寧語になって、「囚われのお姫様」的な儚げなイメージがあるように感じます。わたしとしては、そちらの「おとなしい」方を、「組織の中にいた頃の彼女」の基本イメージとしているのですが、こういう彼女も、もちろん好き。むしろ、この路線で押していった方が、人気も高まったんじゃないか……なんてことを、ちょっと思ったりもしました。
で、この回の「強気」と以後の「弱気」の差の説明としては、たとえば……
「誕生前にキリコを見てしまったことを、ボロー達に知られ、“欠陥品”と判断された」ことが、彼女を微妙に「弱気」にさせていた……とでも、してみましょうか?
或いは、自分の中に生じた「キリコ」に対する「想い」を扱いかねている、自分で自分が解らなくなるという「不安」の故、とか……。
#「制作側の方針が定まっていなかった」というのは、「禁句」です(^^;;)。

この回も、ボローに答えた後、硬い表情のままオルガンを弾く彼女の意識にフラッシュバックするキリコの姿、「こいつにウソをつけるはずがない、裏切れるはずがない」と語るイスクイとボローの言葉に、微かに揺らめく瞳……なんて演出が、なんとも色っぽくてドキドキしました(*^_^*)。
「氷の女王の中に生まれた密かな動揺」とでも申しましょうか……

……しかし、どうでもいいことですが、「手袋はめたまま」オルガン弾くのは、ちょっと〜(^^;;)。
「超薄手の特殊な材質で、鍵盤の微妙なタッチも伝わる」とか言うようなシロモノなんでしょうか?

 

To be continued >> 


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